2018年07月24日

仕事中に熱中症!それって労働災害です。

 労働者は「災害」的暑さの中でも、働いています。屋外でも、エアコンの無い現場でも、環境に問題のある工場でも、働いています。
 暑いですねーー。気象庁がこの暑さを「災害」と認定しました。世界気象機関は「温室効果ガスの増加による長期的な地球温暖化の傾向と関係がある」と分析しているようですから、突発的な自然災害とばかりいえない人災かもしれませんが、とにかく殺人的な暑さであること、そしてこれは続きそうなことだと言うことが確かなことです。今年の熱中症の死亡者数は昨日までで94人だそうです。本当に危ない。

 高齢者や子供が熱中症で搬送されたと言うニュースも多いですが、昨年まででも、熱中症の死傷で労働災害と認定された人数はちょっと半端な数字では有りません。厚生省労働省の調査をみると、昨年平成29年が528人、平成28年が462人、平成27年が464人、それぞれ二桁の死亡者がいます。労使共に労災の概念が薄くて労災扱いになっていないなんて、ケースもあるかもしれませんから、仕事中に労働災害としての熱中症になった方はきっともっといると思います。
 仕事中に頭がクラクラしたり、熱中症の症状が出たら、直ちに仕事を中断して横なったり、救急車を呼んだりしましょう。そして、すぐに労働災害の手続きをしましょう。もし労災保険に加入していなくても、会社が労災扱いを拒んでも、直接労働基準監督署に手続きを取れば、大丈夫です。不安があるときは、いつでも労働組合に相談 http://zsantama.org/form.html してくださいね。

熱中症の労働災害判例では、裁判所は次のように言っています。「労基法施行規則三五条、別表第一の二第二号八は、「暑熱な場所における業務による熱中症」を業務上の疾病としているのであるから、労働者が暑熱な場所における業務に従事中、熱中症を発症して死亡したと認められる場合には、特段の反証がない限り、当該疾病は業務に起因するものと認めるのが相当である。」(平成16行(ウ)33事件、労働判例923号54頁)
自信を持って、労災認定申請をしましょう。労災で休業補償を受けて、ゆっくりと休養しましょう。熱中症になったのに、お金が心配だったり、会社が休ませてくれなかったりして、休養を取らずに働いたら、体が休まらずに悪循環になってしまいますからね。

 そして、熱中症予防は、様々な方策で防ぐための職場の環境づくりが必要です。厚生労働省もこんなリーフレットを出しています。https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/leaflet_11.pdf
要点をまとめると、@輻射熱も含めた暑さ指数の測定をしっかりして、Aとっても暑い時は作業を中断B休憩時間を確保する作業計画C暑さ指数が基準値を超えるおそれのある作業場所に簡易な屋根の設置、通風又は冷房設 備の設置、ミストシャワー等による散水設備の設置D作業場所の近くに冷房を備えた横になって休むことのできる休憩場所の確保。E透湿性及び通気性の良い身体を冷却する服、通気性の良い帽子、ヘルメッ ト。ということです。

中小企業では、休憩室がきちんと完備していないところ、温度管理ができていないところがたくさんあります。とても暑い中で、交渉も大変ですが、何よりも大事な健康管理のために、会社に安全配慮義務を果たしてもらいましょう。
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2018年07月14日

ボーナスの支払い根拠

 中央労働委員会に会社が不服申し立てをしている木村建設(本社 羽村市)事件での、会社の不服の理由に対する反論を書きながら、こんな風に会社を指導する弁護士が増えると困ったものだなあと思ったことが多々あります。
その一つが、ボーナス支払いに関する会社の交渉応諾義務です。

東京都労働委員会からの救済命令は、@「組合が結成された事により、『弁護士代がかかる』としてボーナスを支払わない」と社長が述べたことが支配加入である。A組合が結成されたことにより「ボーナス」を半減したことが不利益取り扱いである。というものです。

これに対し、会社側が反論しているのは「ボーナスの支払いは社長の裁量なので、支払うも支払わないも、社長が決めることだから、払わなくとも半額にしても不当労働行為にはならない」「ボーナス支払いは就業規則に記載していない」ということです。

それで組合は次のように反論しました。
@就業規則は周知されていないと効力がない(木村建設では不当労働行為があった2015年夏時点で就業規則を見たことがある従業員がいなかった)ので、就業規則の記載は関係ない。
Aボーナスを年3回支給することが、求人票に記載されているので、ボーナス支給は入社時に契約した労働条件である。
B毎年前年支給分よりもUPした金額で支給されているので、ボーナス支給を見込んでローンなどを組んでいる。従業員らは支給されることについて期待権を持っている。

木村建設の場合、上記に記載した通りの事情で「組合結成」を理由に「支払わない」とすることや「前年半額支給」とすることが不当労働行為になるわけです。
そして、不当労働行為ばかりでなく、ボーナス交渉の請求根拠もここにあります。

そもそも、ボーナス支給は法律に義務として定められたものではありませんが、労働条件問題なので会社側に団体交渉応諾義務があります。就業規則に定めていても、いなくても、誠実に団体交渉を開催しなければならない事項です。就業規則に支払わないと決めていても、就業規則変更要求も含めて、会社は誠実に団体交渉に応じなければなりません。木村建設のように、「社長の胸先三寸で支給額を決めている」という中小企業であれば、その社長の胸先三寸の内容をわかりやすく組合に説明しなければなりません。そして、「胸先三寸」といえども、以下の内容は回答してもらわないと、組合は妥結の判断が難しくなります。
@全社員への支給総額
A平均支給額(平均年齢)星2️加重平均で求めましょう
B勤怠査定の有無と査定基準
C考課査定の有無と査定基準

会社の経営状態が厳しいから出せないなどの回答があったら、経営資料を出してもらいましょう。
経営数字を読み込んで、ボーナスを出せる余地があるのかないのか、組合としても検討してしっかり交渉をしましょう。
今月7月21日(土曜日)の組合交流会は、経営資料の読み方をやります。組合のスキルをアップさせて、ボーナスUPに繋がる交渉をしていきましょう。




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2018年06月21日

セーフティネットから落とされる労働者を作らないために出来ること

労働者は、弱い立場にあるからセーフティネットに守られています。
セーフティネットは、失業した時は雇用保険で失業給付が支払われ、長時間労働した時は割増賃金が支払われるほか労働時間の規制があり、最低賃金が定められ、年取って働けなくなったときのために国民年金に厚生年金が足され、病気になった時には傷病手当金の支給があり、仕事で病気や怪我をした時には解雇制限と療養費休業補償費が払われます。
日本のこの制度は、まだまだ完全ではなく、労働時間が短いと対象にならないものがあったり、不十分なものもたくさんあります。それでも、しっかりと活用すれば、なんとかどうにか生きていけます。
けれど、日本の場合、「労働者」でないと判断されてしまうといきなりこの「セーフティネット」が全てなくなります。
そして、労働者ではない場合のセーフティネットは、生活保護以外、生活を支えることができるものはないのが現状です。

 国家が生活の最低保証を行う「生活最低保証(ベーシックインカム)制度や、国家が医療費無償などの高福祉政策を実施していれば、「労働者か」「事業主か」の選択は必要ないのですが、残念ながら日本のセーフティネットは、労働者を雇用した事業主が労働者のセーフティネットの全部であったり一部であったりの負担を行う仕組みです。

こんな中で、経営者がセーフティネットを負担しなくてもいい、つまり経営者にとって費用負担が「お得な」働かせ方が、「働き方改革」にも出てくる「雇われない働き方」です。私はこれは単に「雇用契約を締結していないだけの働かせ方」だと思います。「雇われない働き方」をしている方は様々な契約書を持っていたり、口頭契約をしています。「個人事業主」だったり、「請負」だったり、「業務委託契約」だったり。労働者の方も「雇われる」よりも「自由で」「バリバリ稼げる」と誤解しがちです。

でも、労働者か事業主か、この二つの決定的な違いは、「生産財」である「資本」を持っているかどうか。自分は労働をしないで所有している「資本」に他人の労働を加えて、富を得ているか。お金に働かせているか。自分のお金が、新たなお金を呼び込んでいるかどうかですよね。
自分の二つの両腕という道具しか持たずに、仮に別の道具を持っていたとしても自分の腕の補助として使うための道具を持っているにすぎなければ、それは自分の労働で生計費を稼いでいる労働者という名称の、セーフティネットを必要としている人たちです。

「高度プロフェッショナル」制度で労働時間管理を無くし「成果で賃金を支払う」などと政府が言っている現在、労働基準法上の労働者性について「時間管理されていること」とか「時間で賃金が支払われていること」は、単なる指標であってそれが絶対の基準ではなくなって来ています。事業主がどのような「契約」を交わし上手にカムフラージュしようが、セーフティネットが必要な働き方をしている人たちに、労働基準法ほか労働法制を適用しなければ、労働法がどんどんザル法にされて行くばかりです。
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2018年06月15日

健康で働き続けるために。ダブルワーク、トリプルワークに潜む危険。

昨日、組合員の方のお通夜がありました。私よりまだ若い、まだまだ人生これからの人の死亡でした。
高校生のお子さんが、喪主でした。
さぞかし心残りだっだだろうと、胸が一杯になります。

このかた、組合員なんですが、実は私は面識がありません。
それは、仕事からの帰り道で脳梗塞で倒れられて、意識不明になってから、息子さんとお母様が代理で組合に相談され、加入したからでした。
というのも、ダブルワークをされていて、社会保険未加入だったからでした。
相談をされて、労働時間を調べたところ基本の勤務先で社会保険に加入でき、傷病手当金の受給をすることはできました。しかし、もう一箇所の勤務先での労働時間が全くわからない。そもそも、もう一箇所で働いていたことを息子さんとお母さんは知っていたけれど、それがどこなのかは雲をつかむようでわからない。
脳梗塞という病名は、過労死や脳心臓疾患の労災対象の病名です。仮に、長時間労働であれば労災の対象にすぐになります。けれどもダブルワークだと、一箇所の労働時間だけではどうしても長時間労働ではないわけです。

結局原因がわからないまま、倒れられてからずっと意識が回復しないまま、お亡くなりになってしまいました。
こういうことがあると、本当に考えさせられてしまいます。
「仕方がない」「生活ができない」そんな事情や、周りから「好きでやっているじゃないの」という視線の中でのダブル、トリプルワーク。これでいいのかと。

ここ数年、とりわけ昨年、1昨年くらいから。ダブルで働いています。トリプルで働いていますという相談者の方が増えています。私たちの組合も昨年、この流れに合わせて、ダブルやトリプルの働き方に合わせた組合費の徴収や対応を整理しました。一箇所だけで働いていても問題は発生しまう。ましてやそれがダブルとなれば、問題は倍増です。ダブルで働いている実態があるのに、そこに手をつけないで見過ごすことはできないという現実的対応です。

だけど、やっぱり、出来るだけ一箇所の勤務で生活ができる賃金を得ることを追求するのが組合活動の基本にしないと、本当にみんな生活に追われて、「過労死」なのに「過労死」と気がついてもらえない病気になる可能性が、ダブルワーク、トリプルワークの行き着く先に潜んでいます。「一箇所で生活ができる賃金を得る」このために近道なのは、やはりメーンの勤務先で労働組合を結成し、会社と交渉すること。次に権利について熟知して、社会保険加入、割増賃金をしっかりと請求することです。
「生活できないからもう一つ働き先を増やす」その前に、請求していない権利はないか、未払い賃金はないか、是非点検してみてください。自分の人生と家族の幸せのためにも。
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2018年02月05日

こんなに未払い残業代が多いのは、何故?

以前、労働審判員をやっていた時に、未払い残業代の請求があると裁判官が「退職金の代わり」と言っていて、とても違和感がありました。残業代がしっかり払われないと、野放しの長時間労働になるのだから、退職金の代わりを未払いの残業代にしてしまったら、全く労働時間規制なんてできないじゃない!という違和感です。そして、裁判などで残業代を争う時に感じるのもこの違和感です。「お金」を労働者が請求しているから、経営側が払ってやりなさいというノリがある時があるからです。

私たち労働組合にとって、未払い残業代はブラックな会社の判断基準です。未払い残業代の存在は労働者の労働に対する正当な評価をしていないということであり、労働時間管理が出来ていないということの表れであったり、故意か無知かのどちらかで法律を理解していない会社であるということだからです。法律を知らないで労働者を働かせている会社も、法律を知っていても敢えて無視する会社も、どちらも労働者を雇うに足る会社ではありません。そして、長時間働かせてごめんね、深夜働かせてしまったけど健康は大丈夫?という気持ちも持ち合わせていない経営者であることが一番困ったことです。

以前からの傾向ではありますが、労働相談でいらっしゃる方の殆どが、未払い残業代問題を抱えています。ご本人が最初から相談項目に入れている場合もありますし、相談を聞いているうちに未払いがあることがわかったり、組合の学習会で未払いがあることに気が付いたりと、未払いの発見方法は様々です。

ただ、それやこれやで今未払い残業代の計算をしている方が、私たちの組合では全部違う職場で、10箇所近くあります。残業代請求をする場合、組合で作成しているエクセルフォーマットに始業終業休憩時間を打ち込んでもらい、確認作業をして行きます。歩合給、年間変形性、月の変形性など計算方法が異なる数式の確認で、それなりに手間がかかる作業です。就業規則に年間変形性と記載されていても、必要要件を満たしていないために請求を起こすこともあります。

ここのところ、それぞれの計算式の確認作業をしているのですが、なんだってこんなに未払いが多いのかなあ?とふと思います。思い当たるのは、労働者が大人しいから、未払いは発生するんだろうなあということです。

労働組合が結成された時に未払いがあった会社でも、労働組合の見える範囲では未払いは起こしません。それは、未払いをめぐり、組合から交渉をされたことで、組合に突っつかれないために法律を守るからです。
組合のない会社だと、就業規則に「8時間超えた時に支払う」と記載していても支払わなかったり、「みなし残業」「裁量労働」という言葉を聞いてきて残業代を支払わなくてもいいやり方だと勝手に解釈して運用していたり。一言で言えば経営側の好き放題な状態なので未払い残業代が発生しているのです。

「働き方改革」で残業抑制と言いながら、残業代ゼロ法案を通そうとしているやり方を見ると、労働者が何を言わなければうまく言いくるめて残業代支払わなくても良いと考える経営者がもっと増えそうだと思えます。経営者にも、社会にも、国にも、きちんと労働者の権利を主張しないと、どんどんタダ働きさせられて、使い捨てにされてしまいます。声をあげましょう!
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2018年01月10日

今日は今年最初の団体交渉でした。2018年は我慢しない、こんなものだと思わない「働き方」をしましょう。

今日は、2018年始まってから一回目の団体交渉でした。2018年最初の労働相談の、最初の団交という、ちょっと早い展開です。
そして、内容も昨年から少し続いている、労働者性のある「個人事業主」問題です。
と言っても、今回のケースはこれまでのケースよりもより一層、ただのブラックなケースです。
と言いますのは、そもそも「請負」契約書自体が存在していないので何の仕事をどのようにしたらいくら支払うかということも、契約の始まりと終了についても、一切が決まっていなかったからです。

会社の社長さんは口約束での仕事を「業界慣習」だと言いましが、業務委託契約、業務請負契約であればその文言の通り「どのような業務」を「いくら」で行うのかが明確でなければ、労働の結果の対価物を購入する契約が成立しません。

そして何よりも、このケースの場合は毎日定時である10時に会社に出社し、7時間が所定労働時間、仕事が終わるまで会社から帰れないという労働時間管理がありました。そして、都度会社の社員の指示命令に従って業務をしていました。これは、労働の結果の対価物を購入する「業務請負」ではなく、会社が労働力を会社の支配下において使用する労働契約以外の何物でもありません。

しかも、今回のケースのことの発端は、「退職させてくれない」というものでした。こうなると名前だけ「請負」で、実体上の労働者であることはもう疑いようもありません。

今回のケースは、「退職」をめぐって「引き継ぎをしろ」「マニュアルを作成しろ」と通常業務以外の業務命令を会社が行い、その進捗状態に不満を抱いた社長が2時間に渡り恫喝した事で、当人が会社に行かれない状態になった事が引き金となって始まりました。
本当に業務請負の個人事業主であれば、恫喝は不法行為となるかどうかの争いですが、実態上の労働者ですから、パワハラによって心の病になった時は労働災害に該当します。

そもそも月80時間を超える残業で心の病を発症していたこと、そこに2時間にわたるパワハラが起きてしまい休業を余儀なくされた事。休業に当たって労働災害申請の準備はするものの、有給休暇取得申請をする事。社会保険にも未加入ですから、社会保険に加入する事。月80時間を超える残業の、対価が支払われていなかったので支払う事。などが今回の団体交渉の要求事項です。

そこで、本日の団体交渉となりました。
本日の団体交渉では、賃金を勝手に下げない事は約束してもらいました。
そして、会社が預かっていた本人名義のクレジットカードも返してもらうことができました。

会社は本人に対して人格を否定する発言、著しく心を傷つける発言をした事は「ちょっと怒鳴ったかもしれないけれど」と、発言した事すらも覚えていない様子でした。本人のメモがしっかりしていますので、今後の交渉で解決を目指したいと思います。

今日の団体交渉の一番の成果は、社長が本人に支払っているのが「給料」だと連呼した事でした。労働者だ、と言っていることにこれは他なりません。

「個人事業主」契約をしてしまったから、年休なくても、残業代もらえなくても、社会保険入ってなくても「しょうがない」と諦める前に、組合に相談してみてください。
労働時間でしか対価性が図れない業務をしているのであれば、法律上の労働者である可能性がとても高いからです。
指示された仕事が終わらなくて、会社に泊まり込んだり、タクシーで帰宅したりしているのに、もらっている給料がとっても安い、そんな場合も、法律上の労働者である可能性がとても高いです。
自分のいる業界はこんなもんだ、と思わずに、交渉しましょう。体を壊したり、心を壊す前に。
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2017年12月26日

労働組合という場を使って、助け合い、疲れた心を回復させましょう。

昨日25日はXmasでした。無宗教の私としては、Xmasをお祝いするのならラマダン明けも花まつりをもっとお祝いしないとね、って思います。ただ、「幸福な王子」とか「若草物語」に出てくるような、自分よりも辛い立場の人に幸せを届けようとする行事がXmasであるのであれば、年末の行事として必要なことだと思います。

労働相談をやっていると、いろんな人が訪れてきます。「助けてください」という声、「やってください」という声、「お願いします」という声から始まって、「組合費を払えばなんでもやってくれるんですよね」と言われることもあります。

たまたま、私たちの組合には専従者が居て、労働相談の担当をしていますが、これは「たまたま」です。労働組合の基本は、お互いに助け合うために力を出し合うことです。互助の精神を持つ団結が基本にあって、交渉権と団体行動権という労働3権を構成しています。基本はお互いがお互いを思い合う、助けある団結なんです。だから、組合に加入するというのは助けてもらうということではなく、助け合い支え合う仲間に入ると思って来てもらいたいのです。仲間だから、助け合えるんです。専従者は労働組合の中では、サポーターですが、仲間であることには変わりは無いので、やはり組合費を支払う組合員です。労働組合の中では、誰かが誰かのために奉仕をするということも有りません。お金を払ってサービスを買うことが当たり前になっている中で、サービスを買うのではなく、助け合うことで労働条件を向上させたり、自分の権利を回復させるという事は、馴染みにくいのかもしれません。

でも、お金を払ってサービスを買う事は、圧倒的にお金をたくさん持っている経営者に有利な事です。労働組合はお金を払ってサービスを買うのではなく、組合員通しの助け合いによって権利を獲得していくところに強さが有ります。そして、お金を払ってサービスを買うことの方が簡単そうに思えるかもしれませんが、それは金の切れ目は縁の切れ目。お金が無くなったりして困った時には、そのサービスは買うことができません。けれども、団結の積み重ねによる人と人との信頼があれば、困ったときに差し出してくれる手があります。

明日も、事業主のパワハラに翻弄されて身も心も疲れ果てて組合を尋ねて、組合員となったAさんの団体交渉があります。その団体交渉に、昨年の今頃、上司のパワハラで休業を余儀無くされてた他の組合員Bさんが参加してくれることになりました。先日開催した個人加入組合員のための会議の忘年会で、緊張の糸がほぐれないAさんに、Bさんが「私も昨年は会社にも行けなくなっていたけど、今は組合の交渉と取り組みでパワハラの謝罪を受けたから大丈夫」と話してくれていました。助けられた人が助ける側に回り、また助けられるという、助け合いの連鎖が続いていく事。このことこそが、労働組合の専従をやっていて良かったと思えることです。

一人で棘を出し続けていても疲れるだけです。おんなじように辛い目にあった仲間と労働組合で巡り合って話をするだけでも一歩前に踏み出せます。辛さを抱えたまま年を越す前に、来年に向けて一歩前に踏み出す準備をしましょう。
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2017年12月13日

ひどい社会になっても労働組合は負けない

とんでもない法律が出来たり、世の中が悪くなっていくときは、法的には灰色状態の劣悪な労働環境が法改悪によってホワイトに脱色されます。

先週の土曜日、12月9日は私たちの労働組合の第6回定期大会でした。今年、2017年は2件の都労委勝利命令があり、2件の都労委和解があり、二つの新組合結成があり、振り返ってみるとなかなか前進できた年でした。組合員も増加し、大会出席者も増えました。昨年と同じ会場で大会を開催しましたが、広さがギリギリになっていて、来年はもう少し大きい会場でやらないとダメかな?なんて、希望的観測です。

労働組合というと、正社員の男性が中心で運営されているという、旧態依然としたところもありますが、私たちの組合はそもそも女性が中心。だから非正規労働者の割合も多い組合です。多摩地域という、東京でも23区内とは異なる生活中心の街での労働組合なのが私たちです。学校、病院、小売店という生活の周辺の職場で働く人たち。23区内に比べて土地代が安いということで車庫や倉庫を必要とする業種で働く人たち。暮らすことと働くことが近くにあることは、田舎ということなのかも知れませんが、とても好ましい事だと私は感じています。けれども暮らすことに近い労働の対価がなぜが安いという、世の中の不思議。多分、正社員の男性中心の労働組合よりも、平均賃金も労働条件もよくありません。ただ、その分、世の中の風を敏感に受け止めることができる労働組合になっています。

今年の大会に来賓でいらした某官公労の方が、「年功序列賃金が廃止されようとしている」と訴えていました。でもそれは、1990年代になろうとした頃に前川レポートが描いた当時の10年後の社会の話。前川レポートが描いた「自由な労働力移動」の世の中は、男女雇用均等法による母性保護の廃止で女性にも長時間労働の途を開き、労働者派遣法でアウトソーシングを進め、少数の正社員と多数の非正規雇用という使い捨て労働力市場を形成することで2000年代頭には完成しています。私はその頃すでに労働者で、労働組合にも加入し、労働争議中でしたが、「働きすぎの男性社会に女性労働力を投げこみ、労働者を雇用身分で分断する動き」が1980年代後半から先行実施されている様を肌身で感じていました。朝5時からの市場での朝売りにスカートで行き定時の17時過ぎまで働くことが、「わが社のキャリアウーマン」という言葉と引き換えに強制され、平社員の正社員でも請負業者を「使う立場」になって偉くなった気持ちになっていたりするのを知っていたからでした。労働者派遣法の施行から33年間。長時間労働で死亡する女性の労災問題が特殊な事件ではなく、正社員は派遣や契約やパートが出来ない仕事をする特殊な人にさせられようとしています。

今年、私たちの組合には、「しあわせ分会」という名前の株式会社キツタカで「請負」業者として働く労働法上の労働者の人たちの分会が出来ました。この分会は、正社員、請負、孫請けで構成されています。そして、ダブルワークをして帰宅途中に倒れてしまった母親の社会保険加入のために組合に加入した高校生がいました。今期は、他にも母親の労働相談に付き添ってきた高校生、フィールドワークで組合に話を聞きにきた高校生もいました。全て私たちからすると自然な流れなのですが、別の某官公庁で働く大会来賓の方から、「ちょっとびっくり」の組合員構成だと言われました。でもこれは、「働き方改革」「働き方革命」が描く未来の入り口です。年収850万円の人が増税され個人事業主が減税されるという事態からも、労働法の保護からこぼれ落ちる働き手を作り出そうとする国の意図がミエミエです。でも、私たち労働組合は「労働法の保護からこぼれ落とされた」ように見える働き手に、本当はこぼれ落ちていない事実を伝えていくことができますし、一緒に闘うことができます。自分は労働組合に入れないんじゃないか?と思っていても、まずは相談してみてください。以外と道が開けるかもしれませんよ。
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2017年11月29日

冬のボーナス査定、会社と交渉してみませんか?

今日午前中に、都労委で昨年の冬のボーナスの査定をめぐり申し立てた事件が解決しました。そして、今午後15時から、中央労働委員会で奥井組事件の期日です。和解に向かっているかに思えた奥井組事件でしたが、今日の午前中に今年の冬のボーナスの査定が不平等だという問題が勃発し、和解に暗雲が立ち込めています。

ボーナス査定、金額にするとそんなに大きな金額ではないこともよくあります。でも、労働者に落ち度がないのにマイナスの評価を付けられること自体が許せない、その気持ちはお金だけの問題じゃあないです。というのは、マイナス査定って、査定という名前の悪口だったり、査定という名前のハラスメントだったりするからです。

奥井組では以前に査定の悪い理由を「痩せているから」と言われた組合員がいました。別の組合では以前に「理由はないけれど、他の人の査定をよくするために下げた」と言われた人がいました。本日都労委で和解した事件では、他人のミスを自分の責任にされたり、上司の思い込みや好き嫌いでゼロ円になるような査定をされました。
査定をめぐる問題が、この一時金の季節には本当にたくさん出ます。そしてそれを訴える組合員はみんな、「侮辱された!」と怒っています。査定制度はその運用を一つ間違えると、人間の尊厳がお金に紐つけられる制度になってしまうのです。そして、この「好き嫌い」査定をつけた上司は、ハラスメントをした上司と同様に、人の心を傷つけた事に対して無自覚です。場合によっては、「自分の仕事だから」と言い訳をする上司もいるかもしれません。仕事だとしても、会社のシステムだとしても、働く人のモチベーションを上げるボーナス支給でかえってモチベーションを下げてしまったら逆効果ですよね。

仕事、システム、どれもがそれを命令する人がいて、それを作り上げる人がいます。だからそれは、良い方向に直すこともできれば、止めることもできることです。

ボーナスが出るかどうか、出てみないとわからない。どうしてその金額になるのか、聞いたことがない。有給休暇を取得するとボーナスが減るという噂がある、そんな時は組合に相談してください。

組合はボーナスについて、「基準内賃金×支給月数」「支給日」などの要求を出します。そして、団体交渉で「ボーナス支給のための原資総額」「支給額平均値」「平均年齢」「具体的な査定システム」について経営者から説明を受け、交渉をしていきます。そのような事を十分に説明しない会社は、労働組合法第7条2項の「誠実な団体交渉」をしていない会社、つまり法律違反をしている会社という事になります。

ボーナス、ワクワクしながら不安になりながら、ただ待つだけよりも、きちんと交渉してみませんか?


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2017年10月25日

有給休暇使用は、今年分から?前年分から?

労働基準法115条に「2年の消滅時効」が明記されていることから、前年度の未消化有給休暇分+今年度の付与日数が使える有給休暇日数であることは結構知られていることです。
そして、私たちが交渉で拝見する就業規則はそのほとんどが、時効は2年と記載されています。

 ところが、ある現在私たちの組合と紛争中の会社の就業規則には、「今年度分からの支給」が明記されていました。この記載は、労働者にとっては、有給取得日数によっては、前年度分の付与日数を捨てることになってしまい、不利益です。
 昭和22年12月15日基発501号など、菅野和夫著「労働法」などで労働者が不利益となるような取り扱いは認められないとなっており、「繰り越された年休」つまり前年度分の有給休暇から行使されるべきものなので、実際に有給休暇が今年度分から消化させられ、組合員が不利益を被ったら労働基準監督署に申告しようと、準備していました。
 ただ、この就業規則が誤った記載となっていた会社は、団体交渉でその誤りを認め、就業規則は今後変更すると言ってきましたので、組合としては取り組みをする必要がなくなりました。

 あの就業規則の記載は何だったんだ??と思っていた矢先、新たな事実が判明しました。それは青梅に所在する某会社の団体交渉終了後、会社側社会保険労務士さんが電話をかけてきて言った言葉でした。「社労士協会では有給休暇は今年度分からの使用をすると決まっていまる」「前年度繰越分から使用させるとは労働基準法に書いていない」「(菅野和夫さんや荒木尚志さんなど)学者が書いた本など問題にしていない」「基発があるというなら見せてもらいたい」これは全部社会保険労務士さんが言った言葉。そういえば、「今年度分から消化する」と記載された就業規則も社労士さんが作成したもの・・・。もし本当に、この青梅の会社の社労士さんが言ったように、社労士協会で、「学者が何を言ってても」「法律本文に記載されていなければ」労働者に不利になるように今年度分からの使用をさせると決めているのであれば、とんでもないことです。

 私たちの組合でも、他の組合でもそうでしょうけど、団体交渉や労働基準監督署段階で解決しない問題があり、時効が絡めば訴訟に移行します。社労士さんが言われる「学者の本」は、判例を研究した上で記載されているものです。裁判所の判断を無視して、目先の「会社の利益」を売りにすれば、行き着く先は、「会社の不利益」「労働者の不利益」です。

 東京弁護士会労働法制特別委員会編著の「新労働事件実務マニュアル」でも「繰り越された年休から行使されると解釈される」と記載してあります。

 青梅の会社の社労士さんが言うように、社会保険労務士会だけが、有給休暇使用に関して独自の見解を会社や労働者に押し付けようとしているのだとしたら、ここは労使が泥沼に入らないように、その社労士さんの見解を引っ込めてもらうようにしないといけないですね。困ったものです。
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