2018年10月22日

八王子労働基準監督署にて

今日は、畳襖などの(株)キツタカの偽装請負問題で八王子労働基準監督署に行きました。申告した2月から延々と続いてます。この事件、申告時点で「請負」契約だからと最低賃金以下の労働を強いられていたのですが、なかなかキツタカへの指導が及びません。このため2月から10月にかけて、会社側は「請負」契約を幸いに、業務量を勝手に減少させたので、組合員らは兵糧攻めです。生活苦を抱えながら、「請負」契約という名前ではなく、実態で労働者性を判断してもらうために監督署を説得しなければなりません。困難ではありますが、今組合は半年以上かけて監督官に実態を理解してもらうための作業と交渉を続けています。もし、労働者が一人でこの作業をするとなったら、並大抵ではないはずです。国の役所で権力がある労働基準監督署が、弱い者の立場に立ってくれれば、こんな苦労をしなくても良いのですが。とっても残念なこの現状の中で、私たちは頑張っています。

実は、今日も、事前アポイントの様子を当該から聞き及び、ちょっとみんな憤慨していました。そんな気持ちを抱えたまま、監督官と話している時、私たちの後ろで別の人が別の監督官に怒りをぶつけていました。聞くともなく耳に入ってきた言葉は、「監督署に何度も訴えたのに、監督署が動いてくれなかったからこんな結果になってしまった」「会社が潰れたらどうするか、と言われても、こんな会社なら潰れたほうがいい」「この結果は監督署の責任だから、私は監督署相手に訴訟することも考えている」などなど。どうも私たち以上に監督署が仕事してくれずに、怒り心頭の様子。

そうだよなあ、と思いました。私たちは組合という組織を作って、監督署や会社からひどい対応があればその怒りを皆で共有し、対策を考えて、必要に応じて顧問弁護士とも相談して、関係する議員さんたちとも相談して、歩みを進めています。でも、お一人で、理不尽な事態に対応せざるを得ないときは、本当に辛いだろう思います。

労働局、労働基準監督署、こんな大事なお役所が労働者の立場に立って動いてもらうためには、やっぱり地域の労働組合の役割がとても大事です。それは、組合が様々な事案を持ち込み、解釈や対応についてきちんと監視するという役割も労働組合は担っていると思うからです。
世間では、たまに、「労働組合なんてあてにならない」という声がありますが、労働基準監督署交渉でも、訴訟でも、労働組合が果たす役割がきちんと存在します。一人で、交渉の行き詰まりを感じたら、思い切って地域の労働組合の相談窓口を尋ねて見ませんか?


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2018年10月02日

10月1日から最低賃金が上がりました。全国一律1500円に到達するのは何時?最賃からこぼれ落ちる「労働者」には??

 東京では10月1日から最低賃金が985円になります。東京23区内では、最低賃金で求人募集を出してもあまり来ないようでが、同じ東京でも23区外の三多摩地域では最低賃金に従業員の賃金を設定している会社がまだまた多いのが現状です。そして、多摩地域は東京なので985円ですが、隣の埼玉では最低賃金は10月1日に上がったといっても898円。県境をまたぐだけで、1時間87円も違います。私たちの加入組合は主に三多摩地域で働く人たちですが、三多摩と埼玉は隣り合わせなので埼玉に働く人たちも少なからずいます。そして、埼玉、東京にまたがって営業を展開している会社で結成されている組合もあります。県をまたいで、店舗、工場を展開している会社では、同じ仕事をしていても埼玉で働いているというだけで、1時間87円も安くなります。県が違うだけで賃金は1日8時間で日給が696円安くなります。私たちの組合に加入している白百合分会が働く白百合クリーニングでは、東京と埼玉で展開されています。こちらの店舗では、「通し」勤務は11時間なので、(87円×8時間)+((87円×1.25)×3時間)=696円+326.25=1023円も1日あたり安いという計算です。
 ところが、最低賃金が安いからといって、価格設定が東京と埼玉で違うということはありません。生活にかかる費用も、東京と埼玉で大きく変わるわけでもありません。一人の問題から地域の労働条件水準の向上までが三多摩労働組合のお仕事です。
賃金、労働条件の企業間格差、地域間格差はどうにかならないものかと常々思うところです。さらに、最近増えている「個人事業主」扱い、フリーランス、などでは、実体上企業に生計を左右されているにもかかわらず、最低賃金の枠外に置かれている現状も、本当、どうにかしなければなりません。
そんな事を考え、you tube を作成してみました。是非、ご覧になってください。
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2018年09月15日

一人でも組合に入れば、労働条件改善を目指して団体交渉できます

今週は個人加入の方達の団体交渉がいくつかありました。個人で加入される方の問題は様々。それでも、類型的に整理していいくと傾向が見えてきます。
最近の私たちの組合では解雇問題は本当に少なくなりました。
解雇事件というもの、景気が悪くなると目に見えて増えます。それも、本人責任の無い経営危機を理由とした解雇、人件費削減のためだけの解雇です。そのような解雇は比較的早期解決を狙えます。反対に景気が良くなると、社風に合わない、協調性が無い、などの解雇が増えます。そんな事件は、ボタンのかけ違い、気持ちの行違いが多いので長期化することもよくあります。
ただ、解雇事件だと、事件が終わると組合からも卒業される方も多く、寂しい限りです。
そんなことを考えると、最近、解雇よりも職場の問題改善の為に会社と交渉される方が多いのは、とっても良い傾向だと思います。解雇という最終事態になる前に、組合に相談して、一つづつ解決していく事が、一人でも安心して働き続けられる職場づくりに繋がります。
9月になってからの個人加入組合員の団体交渉議題はこんな感じでした。
Dir社 配転問題・一時金・昇給・未払い残業代・パワハラ
Mr社 一時金・有給休暇取得後の手当減額
Mt社 労働者性のある労働者の個人事業主問題・未払い残業代

今後予定され団体交渉もこんな感じです。
E社 就業規則変更と不利益変更問題
T大 パワハラ・アカハラ
Mクリニック パワハラ・残業代未払い
Diw 社 一時金

他にも色々とありますが、残業代未払いとパワハラが多い気がします。
それでも、個人組合の人たちの集まる会議でお互いに知り合い、助け合っています。
パソコンが苦手な人は、パソコンが得意な人の手を借りて残業代の計算を終え、お互いの団体交渉に行きあい、一人で加入しても組合の中で助け合える仲間を見つけているようです。
組合で交渉を始めた当時は、心の病で「会社に行かれない」「もう退職する」と泣いていた彼女が今では、団体交渉で会社側を詰めまくること詰めまくることで、「今が一番居心地がいい」と言うようになったりしています。

「ブラック企業に働いているけれど、皆、諦めてしまって仲間がいない。」とお悩みの方、勇気を出して一人で一歩を踏み出して見ませんか?

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2018年08月29日

介護も一人で背負わないでくださいね

先日、ある分会の臨時大会を開催しました。女性の多い職場で、皆さん介護が大変と訴えます。ある程度年齢を重ねてくると、親も高齢化します。子育てをしながら働き続けられる職場と、介護をしながら働き続けられる職場づくりは、労働組合の大切な課題です。
 今は小康状態ですが、私自身ちょっと大変で、でも振り返ると愛しい介護の時期がつい最近ありました。
 私が仕事と介護を両立できたのは、組合という仕事の中で理解してもらえたり、融通を効かせることが出来たからです。そして、両立できたから、振り返ると「楽しかったかも」とすら思えるのですが、これが仕事を退職せざるを得ないとか、職場で針の筵になったりしたら、介護は辛く恨めしいものになるかもしれません。
 当たり前のことですが、職場の人たちの協力と、誰から辛くならないための職場環境づくりのための経営者との交渉が、当たり前の人の営みである介護を普通に行うためには欠かせません。本当に当たり前のことなんですが、「余裕」があってこそ、人に優しくなれるのが人間です。その「余裕」を組合がどのように作り出すことが出来るのか、正念場です。

私の実家の事情はこんな感じでした。
 父大正12年生まれ95歳。母昭和4年生まれ89歳。10年ほど前、父が階段から落ちて首の骨を折り、母も静脈瘤手術を繰り返す、最初の介護がありました。この時に母は障害者手帳を持つようになりました。その後はなだらかにボチボチ老いていくのだろうと思っていました。
病気は突然。
 今年2018年の1月のお正月も、年取ってきたなあって感じで過ごしました。ところが、1月17日に事務所で作業をしていると父から電話で「お母さんが救急車で入院した」と言います。姉に確認すると母は「もう死んだ方いい」と言って、苦しんでいるということ。ちょっと事態が理解できずにぼーっとしました。が、一緒に作業をしていたMちゃんから「すぐに帰って!」と言われ他ので、病院に駆けつけることが出来ました。
 様々なチューブに繋がれた母は肺水腫のために浮腫がひどく、集中治療室です。面会時間19時に間に合うように、連日仕事を速攻で終えて、猛ダッシュで横浜の病院へ!でも、通わなければ後で後悔するのが本当に怖かったです。
夕飯食べに実家に帰ろう。
 ふと気がつくと、元気のはずの父親の様子がおかしい。尋ねると「お母さんが入院してから一人でご飯食べている。会話が無い。」と言います。
 父がボケないために、姉が夕飯を作り、父と私が一緒に食べる(姉は一緒には食べない)事に。気がつくと姉も一緒に食卓を囲むようになり、何十年かぶりの家族の会話が復活していました。
いきなり失語症。
 肺水腫で入院した母の容態はどんどんと回復に向かい、2月中旬には退院できるということにまでなりました。素晴らしい生命力!なのですが、母の声が言葉にならない。あー、うー、という音にしかならない。看護師さんに言うと「もともとそう言う(つまりボケている)人なんじゃないですか」と言う。いえいえ、もともとよく喋る人で、新聞も本も読んでたし、ちょっと天然で薄らボケはあるかもしれないけど、完全にはボケてないです。姉も一緒に主治医の先生に訴え、やっと「検査しましょう」と言うことになりました。検査の結果は、「脳梗塞を発症し、失語症になった」というものでした。何も言わなかったら、「もともとボケている人」「もともと話せない人」扱いになって、脳梗塞を起こしているのに検査も治療もしてもらえなかったんだろうとしか思えません。
家族がしっかり伝えることも介護のうち
 結局母は、入院中に2回脳梗塞を起こし、一旦よくなりかけた失語症が悪化を繰り返しました。ただ、失語症は、言葉が出ないだけで他は正常です。トイレに歩いて行くことも出来るし、周りを気遣うことも出来る。内臓は丈夫です。歯も丈夫です。でも、危ないからと言う理由で、病院では一人でトイレに行かせてもらえない。食事はなぜか、全て形のない裏ごしをしたものばかり。こんな食事ばかりしてたら体が弱ちゃうんじゃないの?と言うのが私たち姉妹の感想で、姉は再三に渡り、普通食に変えて欲しいとナースステーションに訴え、ようやく改善されました。
 その後3月末に言語療法士の先生のいるリハビリ施設に移ると、どんどん言葉が出るようになって来ました。リハビリの成果、素晴らしいです。6月3日には無事に自宅に戻りました。
介護はきっと最後の、もう一度家族をすることかもしれない
 激動の半年間でしたが、いろんな事が使用前使用後のように形を変えました。
 母は食事づくりをしなくなりました。母は家事から解放され、姉と喧嘩しなくなりました。
 そして母はケアプランを立ててもらい、デイサービスに通うようになり、「お友達ができたの」と言っています。リハビリ施設入所中の向かいのベットの人とは、文通友達になったようです。
 父も母と一緒にサービスを利用するために介護認定を受けたところ、要支援1で元気なことがわかりました。
 今回の介護まで、両親と一緒に食事をする事がなかった姉が、食事の準備をして一緒に食卓につくようになりました。
一人で悩まず、相談してくださいね
 少しずつ、形を変えて、私たちは年老いて行くけれど、その時々、その時間は全て愛しい大切な時間です。また何かあったら、バタバタするかもしれませんが、私たちはendマークに向かいながら今を生きて、今の問題に対処し続けてくものだから、組合も介護も、私はきっと出来るから、安心してくださいね。
 そして、組合の人たちにも、後悔しないで介護も仕事も組合もしてもらいたいから、個人的な事、などにしないで、「余裕」が無くなりそうになったら、いつでも相談にきてもらいたいと、心から思います。
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2018年07月24日

仕事中に熱中症!それって労働災害です。

 労働者は「災害」的暑さの中でも、働いています。屋外でも、エアコンの無い現場でも、環境に問題のある工場でも、働いています。
 暑いですねーー。気象庁がこの暑さを「災害」と認定しました。世界気象機関は「温室効果ガスの増加による長期的な地球温暖化の傾向と関係がある」と分析しているようですから、突発的な自然災害とばかりいえない人災かもしれませんが、とにかく殺人的な暑さであること、そしてこれは続きそうなことだと言うことが確かなことです。今年の熱中症の死亡者数は昨日までで94人だそうです。本当に危ない。

 高齢者や子供が熱中症で搬送されたと言うニュースも多いですが、昨年まででも、熱中症の死傷で労働災害と認定された人数はちょっと半端な数字では有りません。厚生省労働省の調査をみると、昨年平成29年が528人、平成28年が462人、平成27年が464人、それぞれ二桁の死亡者がいます。労使共に労災の概念が薄くて労災扱いになっていないなんて、ケースもあるかもしれませんから、仕事中に労働災害としての熱中症になった方はきっともっといると思います。
 仕事中に頭がクラクラしたり、熱中症の症状が出たら、直ちに仕事を中断して横なったり、救急車を呼んだりしましょう。そして、すぐに労働災害の手続きをしましょう。もし労災保険に加入していなくても、会社が労災扱いを拒んでも、直接労働基準監督署に手続きを取れば、大丈夫です。不安があるときは、いつでも労働組合に相談 http://zsantama.org/form.html してくださいね。

熱中症の労働災害判例では、裁判所は次のように言っています。「労基法施行規則三五条、別表第一の二第二号八は、「暑熱な場所における業務による熱中症」を業務上の疾病としているのであるから、労働者が暑熱な場所における業務に従事中、熱中症を発症して死亡したと認められる場合には、特段の反証がない限り、当該疾病は業務に起因するものと認めるのが相当である。」(平成16行(ウ)33事件、労働判例923号54頁)
自信を持って、労災認定申請をしましょう。労災で休業補償を受けて、ゆっくりと休養しましょう。熱中症になったのに、お金が心配だったり、会社が休ませてくれなかったりして、休養を取らずに働いたら、体が休まらずに悪循環になってしまいますからね。

 そして、熱中症予防は、様々な方策で防ぐための職場の環境づくりが必要です。厚生労働省もこんなリーフレットを出しています。https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/leaflet_11.pdf
要点をまとめると、@輻射熱も含めた暑さ指数の測定をしっかりして、Aとっても暑い時は作業を中断B休憩時間を確保する作業計画C暑さ指数が基準値を超えるおそれのある作業場所に簡易な屋根の設置、通風又は冷房設 備の設置、ミストシャワー等による散水設備の設置D作業場所の近くに冷房を備えた横になって休むことのできる休憩場所の確保。E透湿性及び通気性の良い身体を冷却する服、通気性の良い帽子、ヘルメッ ト。ということです。

中小企業では、休憩室がきちんと完備していないところ、温度管理ができていないところがたくさんあります。とても暑い中で、交渉も大変ですが、何よりも大事な健康管理のために、会社に安全配慮義務を果たしてもらいましょう。
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2018年07月14日

ボーナスの支払い根拠

 中央労働委員会に会社が不服申し立てをしている木村建設(本社 羽村市)事件での、会社の不服の理由に対する反論を書きながら、こんな風に会社を指導する弁護士が増えると困ったものだなあと思ったことが多々あります。
その一つが、ボーナス支払いに関する会社の交渉応諾義務です。

東京都労働委員会からの救済命令は、@「組合が結成された事により、『弁護士代がかかる』としてボーナスを支払わない」と社長が述べたことが支配加入である。A組合が結成されたことにより「ボーナス」を半減したことが不利益取り扱いである。というものです。

これに対し、会社側が反論しているのは「ボーナスの支払いは社長の裁量なので、支払うも支払わないも、社長が決めることだから、払わなくとも半額にしても不当労働行為にはならない」「ボーナス支払いは就業規則に記載していない」ということです。

それで組合は次のように反論しました。
@就業規則は周知されていないと効力がない(木村建設では不当労働行為があった2015年夏時点で就業規則を見たことがある従業員がいなかった)ので、就業規則の記載は関係ない。
Aボーナスを年3回支給することが、求人票に記載されているので、ボーナス支給は入社時に契約した労働条件である。
B毎年前年支給分よりもUPした金額で支給されているので、ボーナス支給を見込んでローンなどを組んでいる。従業員らは支給されることについて期待権を持っている。

木村建設の場合、上記に記載した通りの事情で「組合結成」を理由に「支払わない」とすることや「前年半額支給」とすることが不当労働行為になるわけです。
そして、不当労働行為ばかりでなく、ボーナス交渉の請求根拠もここにあります。

そもそも、ボーナス支給は法律に義務として定められたものではありませんが、労働条件問題なので会社側に団体交渉応諾義務があります。就業規則に定めていても、いなくても、誠実に団体交渉を開催しなければならない事項です。就業規則に支払わないと決めていても、就業規則変更要求も含めて、会社は誠実に団体交渉に応じなければなりません。木村建設のように、「社長の胸先三寸で支給額を決めている」という中小企業であれば、その社長の胸先三寸の内容をわかりやすく組合に説明しなければなりません。そして、「胸先三寸」といえども、以下の内容は回答してもらわないと、組合は妥結の判断が難しくなります。
@全社員への支給総額
A平均支給額(平均年齢)星2️加重平均で求めましょう
B勤怠査定の有無と査定基準
C考課査定の有無と査定基準

会社の経営状態が厳しいから出せないなどの回答があったら、経営資料を出してもらいましょう。
経営数字を読み込んで、ボーナスを出せる余地があるのかないのか、組合としても検討してしっかり交渉をしましょう。
今月7月21日(土曜日)の組合交流会は、経営資料の読み方をやります。組合のスキルをアップさせて、ボーナスUPに繋がる交渉をしていきましょう。




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2018年06月21日

セーフティネットから落とされる労働者を作らないために出来ること

労働者は、弱い立場にあるからセーフティネットに守られています。
セーフティネットは、失業した時は雇用保険で失業給付が支払われ、長時間労働した時は割増賃金が支払われるほか労働時間の規制があり、最低賃金が定められ、年取って働けなくなったときのために国民年金に厚生年金が足され、病気になった時には傷病手当金の支給があり、仕事で病気や怪我をした時には解雇制限と療養費休業補償費が払われます。
日本のこの制度は、まだまだ完全ではなく、労働時間が短いと対象にならないものがあったり、不十分なものもたくさんあります。それでも、しっかりと活用すれば、なんとかどうにか生きていけます。
けれど、日本の場合、「労働者」でないと判断されてしまうといきなりこの「セーフティネット」が全てなくなります。
そして、労働者ではない場合のセーフティネットは、生活保護以外、生活を支えることができるものはないのが現状です。

 国家が生活の最低保証を行う「生活最低保証(ベーシックインカム)制度や、国家が医療費無償などの高福祉政策を実施していれば、「労働者か」「事業主か」の選択は必要ないのですが、残念ながら日本のセーフティネットは、労働者を雇用した事業主が労働者のセーフティネットの全部であったり一部であったりの負担を行う仕組みです。

こんな中で、経営者がセーフティネットを負担しなくてもいい、つまり経営者にとって費用負担が「お得な」働かせ方が、「働き方改革」にも出てくる「雇われない働き方」です。私はこれは単に「雇用契約を締結していないだけの働かせ方」だと思います。「雇われない働き方」をしている方は様々な契約書を持っていたり、口頭契約をしています。「個人事業主」だったり、「請負」だったり、「業務委託契約」だったり。労働者の方も「雇われる」よりも「自由で」「バリバリ稼げる」と誤解しがちです。

でも、労働者か事業主か、この二つの決定的な違いは、「生産財」である「資本」を持っているかどうか。自分は労働をしないで所有している「資本」に他人の労働を加えて、富を得ているか。お金に働かせているか。自分のお金が、新たなお金を呼び込んでいるかどうかですよね。
自分の二つの両腕という道具しか持たずに、仮に別の道具を持っていたとしても自分の腕の補助として使うための道具を持っているにすぎなければ、それは自分の労働で生計費を稼いでいる労働者という名称の、セーフティネットを必要としている人たちです。

「高度プロフェッショナル」制度で労働時間管理を無くし「成果で賃金を支払う」などと政府が言っている現在、労働基準法上の労働者性について「時間管理されていること」とか「時間で賃金が支払われていること」は、単なる指標であってそれが絶対の基準ではなくなって来ています。事業主がどのような「契約」を交わし上手にカムフラージュしようが、セーフティネットが必要な働き方をしている人たちに、労働基準法ほか労働法制を適用しなければ、労働法がどんどんザル法にされて行くばかりです。
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2018年06月15日

健康で働き続けるために。ダブルワーク、トリプルワークに潜む危険。

昨日、組合員の方のお通夜がありました。私よりまだ若い、まだまだ人生これからの人の死亡でした。
高校生のお子さんが、喪主でした。
さぞかし心残りだっだだろうと、胸が一杯になります。

このかた、組合員なんですが、実は私は面識がありません。
それは、仕事からの帰り道で脳梗塞で倒れられて、意識不明になってから、息子さんとお母様が代理で組合に相談され、加入したからでした。
というのも、ダブルワークをされていて、社会保険未加入だったからでした。
相談をされて、労働時間を調べたところ基本の勤務先で社会保険に加入でき、傷病手当金の受給をすることはできました。しかし、もう一箇所の勤務先での労働時間が全くわからない。そもそも、もう一箇所で働いていたことを息子さんとお母さんは知っていたけれど、それがどこなのかは雲をつかむようでわからない。
脳梗塞という病名は、過労死や脳心臓疾患の労災対象の病名です。仮に、長時間労働であれば労災の対象にすぐになります。けれどもダブルワークだと、一箇所の労働時間だけではどうしても長時間労働ではないわけです。

結局原因がわからないまま、倒れられてからずっと意識が回復しないまま、お亡くなりになってしまいました。
こういうことがあると、本当に考えさせられてしまいます。
「仕方がない」「生活ができない」そんな事情や、周りから「好きでやっているじゃないの」という視線の中でのダブル、トリプルワーク。これでいいのかと。

ここ数年、とりわけ昨年、1昨年くらいから。ダブルで働いています。トリプルで働いていますという相談者の方が増えています。私たちの組合も昨年、この流れに合わせて、ダブルやトリプルの働き方に合わせた組合費の徴収や対応を整理しました。一箇所だけで働いていても問題は発生しまう。ましてやそれがダブルとなれば、問題は倍増です。ダブルで働いている実態があるのに、そこに手をつけないで見過ごすことはできないという現実的対応です。

だけど、やっぱり、出来るだけ一箇所の勤務で生活ができる賃金を得ることを追求するのが組合活動の基本にしないと、本当にみんな生活に追われて、「過労死」なのに「過労死」と気がついてもらえない病気になる可能性が、ダブルワーク、トリプルワークの行き着く先に潜んでいます。「一箇所で生活ができる賃金を得る」このために近道なのは、やはりメーンの勤務先で労働組合を結成し、会社と交渉すること。次に権利について熟知して、社会保険加入、割増賃金をしっかりと請求することです。
「生活できないからもう一つ働き先を増やす」その前に、請求していない権利はないか、未払い賃金はないか、是非点検してみてください。自分の人生と家族の幸せのためにも。
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2018年02月05日

こんなに未払い残業代が多いのは、何故?

以前、労働審判員をやっていた時に、未払い残業代の請求があると裁判官が「退職金の代わり」と言っていて、とても違和感がありました。残業代がしっかり払われないと、野放しの長時間労働になるのだから、退職金の代わりを未払いの残業代にしてしまったら、全く労働時間規制なんてできないじゃない!という違和感です。そして、裁判などで残業代を争う時に感じるのもこの違和感です。「お金」を労働者が請求しているから、経営側が払ってやりなさいというノリがある時があるからです。

私たち労働組合にとって、未払い残業代はブラックな会社の判断基準です。未払い残業代の存在は労働者の労働に対する正当な評価をしていないということであり、労働時間管理が出来ていないということの表れであったり、故意か無知かのどちらかで法律を理解していない会社であるということだからです。法律を知らないで労働者を働かせている会社も、法律を知っていても敢えて無視する会社も、どちらも労働者を雇うに足る会社ではありません。そして、長時間働かせてごめんね、深夜働かせてしまったけど健康は大丈夫?という気持ちも持ち合わせていない経営者であることが一番困ったことです。

以前からの傾向ではありますが、労働相談でいらっしゃる方の殆どが、未払い残業代問題を抱えています。ご本人が最初から相談項目に入れている場合もありますし、相談を聞いているうちに未払いがあることがわかったり、組合の学習会で未払いがあることに気が付いたりと、未払いの発見方法は様々です。

ただ、それやこれやで今未払い残業代の計算をしている方が、私たちの組合では全部違う職場で、10箇所近くあります。残業代請求をする場合、組合で作成しているエクセルフォーマットに始業終業休憩時間を打ち込んでもらい、確認作業をして行きます。歩合給、年間変形性、月の変形性など計算方法が異なる数式の確認で、それなりに手間がかかる作業です。就業規則に年間変形性と記載されていても、必要要件を満たしていないために請求を起こすこともあります。

ここのところ、それぞれの計算式の確認作業をしているのですが、なんだってこんなに未払いが多いのかなあ?とふと思います。思い当たるのは、労働者が大人しいから、未払いは発生するんだろうなあということです。

労働組合が結成された時に未払いがあった会社でも、労働組合の見える範囲では未払いは起こしません。それは、未払いをめぐり、組合から交渉をされたことで、組合に突っつかれないために法律を守るからです。
組合のない会社だと、就業規則に「8時間超えた時に支払う」と記載していても支払わなかったり、「みなし残業」「裁量労働」という言葉を聞いてきて残業代を支払わなくてもいいやり方だと勝手に解釈して運用していたり。一言で言えば経営側の好き放題な状態なので未払い残業代が発生しているのです。

「働き方改革」で残業抑制と言いながら、残業代ゼロ法案を通そうとしているやり方を見ると、労働者が何を言わなければうまく言いくるめて残業代支払わなくても良いと考える経営者がもっと増えそうだと思えます。経営者にも、社会にも、国にも、きちんと労働者の権利を主張しないと、どんどんタダ働きさせられて、使い捨てにされてしまいます。声をあげましょう!
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2018年01月10日

今日は今年最初の団体交渉でした。2018年は我慢しない、こんなものだと思わない「働き方」をしましょう。

今日は、2018年始まってから一回目の団体交渉でした。2018年最初の労働相談の、最初の団交という、ちょっと早い展開です。
そして、内容も昨年から少し続いている、労働者性のある「個人事業主」問題です。
と言っても、今回のケースはこれまでのケースよりもより一層、ただのブラックなケースです。
と言いますのは、そもそも「請負」契約書自体が存在していないので何の仕事をどのようにしたらいくら支払うかということも、契約の始まりと終了についても、一切が決まっていなかったからです。

会社の社長さんは口約束での仕事を「業界慣習」だと言いましが、業務委託契約、業務請負契約であればその文言の通り「どのような業務」を「いくら」で行うのかが明確でなければ、労働の結果の対価物を購入する契約が成立しません。

そして何よりも、このケースの場合は毎日定時である10時に会社に出社し、7時間が所定労働時間、仕事が終わるまで会社から帰れないという労働時間管理がありました。そして、都度会社の社員の指示命令に従って業務をしていました。これは、労働の結果の対価物を購入する「業務請負」ではなく、会社が労働力を会社の支配下において使用する労働契約以外の何物でもありません。

しかも、今回のケースのことの発端は、「退職させてくれない」というものでした。こうなると名前だけ「請負」で、実体上の労働者であることはもう疑いようもありません。

今回のケースは、「退職」をめぐって「引き継ぎをしろ」「マニュアルを作成しろ」と通常業務以外の業務命令を会社が行い、その進捗状態に不満を抱いた社長が2時間に渡り恫喝した事で、当人が会社に行かれない状態になった事が引き金となって始まりました。
本当に業務請負の個人事業主であれば、恫喝は不法行為となるかどうかの争いですが、実態上の労働者ですから、パワハラによって心の病になった時は労働災害に該当します。

そもそも月80時間を超える残業で心の病を発症していたこと、そこに2時間にわたるパワハラが起きてしまい休業を余儀なくされた事。休業に当たって労働災害申請の準備はするものの、有給休暇取得申請をする事。社会保険にも未加入ですから、社会保険に加入する事。月80時間を超える残業の、対価が支払われていなかったので支払う事。などが今回の団体交渉の要求事項です。

そこで、本日の団体交渉となりました。
本日の団体交渉では、賃金を勝手に下げない事は約束してもらいました。
そして、会社が預かっていた本人名義のクレジットカードも返してもらうことができました。

会社は本人に対して人格を否定する発言、著しく心を傷つける発言をした事は「ちょっと怒鳴ったかもしれないけれど」と、発言した事すらも覚えていない様子でした。本人のメモがしっかりしていますので、今後の交渉で解決を目指したいと思います。

今日の団体交渉の一番の成果は、社長が本人に支払っているのが「給料」だと連呼した事でした。労働者だ、と言っていることにこれは他なりません。

「個人事業主」契約をしてしまったから、年休なくても、残業代もらえなくても、社会保険入ってなくても「しょうがない」と諦める前に、組合に相談してみてください。
労働時間でしか対価性が図れない業務をしているのであれば、法律上の労働者である可能性がとても高いからです。
指示された仕事が終わらなくて、会社に泊まり込んだり、タクシーで帰宅したりしているのに、もらっている給料がとっても安い、そんな場合も、法律上の労働者である可能性がとても高いです。
自分のいる業界はこんなもんだ、と思わずに、交渉しましょう。体を壊したり、心を壊す前に。
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