2017年10月25日

有給休暇使用は、今年分から?前年分から?

労働基準法115条に「2年の消滅時効」が明記されていることから、前年度の未消化有給休暇分+今年度の付与日数が使える有給休暇日数であることは結構知られていることです。
そして、私たちが交渉で拝見する就業規則はそのほとんどが、時効は2年と記載されています。

 ところが、ある現在私たちの組合と紛争中の会社の就業規則には、「今年度分からの支給」が明記されていました。この記載は、労働者にとっては、有給取得日数によっては、前年度分の付与日数を捨てることになってしまい、不利益です。
 昭和22年12月15日基発501号など、菅野和夫著「労働法」などで労働者が不利益となるような取り扱いは認められないとなっており、「繰り越された年休」つまり前年度分の有給休暇から行使されるべきものなので、実際に有給休暇が今年度分から消化させられ、組合員が不利益を被ったら労働基準監督署に申告しようと、準備していました。
 ただ、この就業規則が誤った記載となっていた会社は、団体交渉でその誤りを認め、就業規則は今後変更すると言ってきましたので、組合としては取り組みをする必要がなくなりました。

 あの就業規則の記載は何だったんだ??と思っていた矢先、新たな事実が判明しました。それは青梅に所在する某会社の団体交渉終了後、会社側社会保険労務士さんが電話をかけてきて言った言葉でした。「社労士協会では有給休暇は今年度分からの使用をすると決まっていまる」「前年度繰越分から使用させるとは労働基準法に書いていない」「(菅野和夫さんや荒木尚志さんなど)学者が書いた本など問題にしていない」「基発があるというなら見せてもらいたい」これは全部社会保険労務士さんが言った言葉。そういえば、「今年度分から消化する」と記載された就業規則も社労士さんが作成したもの・・・。もし本当に、この青梅の会社の社労士さんが言ったように、社労士協会で、「学者が何を言ってても」「法律本文に記載されていなければ」労働者に不利になるように今年度分からの使用をさせると決めているのであれば、とんでもないことです。

 私たちの組合でも、他の組合でもそうでしょうけど、団体交渉や労働基準監督署段階で解決しない問題があり、時効が絡めば訴訟に移行します。社労士さんが言われる「学者の本」は、判例を研究した上で記載されているものです。裁判所の判断を無視して、目先の「会社の利益」を売りにすれば、行き着く先は、「会社の不利益」「労働者の不利益」です。

 東京弁護士会労働法制特別委員会編著の「新労働事件実務マニュアル」でも「繰り越された年休から行使されると解釈される」と記載してあります。

 青梅の会社の社労士さんが言うように、社会保険労務士会だけが、有給休暇使用に関して独自の見解を会社や労働者に押し付けようとしているのだとしたら、ここは労使が泥沼に入らないように、その社労士さんの見解を引っ込めてもらうようにしないといけないですね。困ったものです。
posted by REI at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年10月03日

権力に群がらなくとも、権利を確立しよう

7月から係争事件の書類作成が続きました。
 7月には白百合クリーニング事件の中央労働委員会で会社側が都労委命令の取り消しを求めて92ページもの補充申立をしたため、その反論書きが皮切りでした。2015年に組合が作成したyou tubeが2017年2月の行動のものだと主張していたり、時系列的にも誤りの多い書面だったのですが、反論を書かないことにはそれらを認めてしまうことになります。ここにも嘘が!なんて言いながら52ページの反論を書きました。おそらく弁護士さんが記載したのでしょうけど、社長名で出された会社側補充申立は同じ内容の時系列の間違いがなんども繰り返されていて、読むのがすごく辛かったです。時系列は資料をきちんと読めばばわかること。それを2年くらい平気で超えてしまうのは故意なのか、資料をきちんと読んで当いないからかどちらかです。嘘をついてまで、都労委命令が間違っていると言うのは人間としても如何なものかと思いますが、もし資料をきちんと見ないで記載していたのであれば、職業人としても心配ですよね。社長も弁護士さんも、もちろん組合も、嘘のないところで向かい合わなければ、何一つ前進しません。それに、今回の会社の補充書面の嘘はバレる嘘です。すぐにバレるような嘘は評価を貶めるもの。人を使う立場の人にはすぐバレる嘘はついて欲しくないですね。そんな気持ちでニュースを見ると、首相が嘘をついていました。日本はいつから首相から弁護士から、社長から、嘘つき社会になってしまったんだろう、そんな暗澹たる気持ちでした。
 そして、7月は終わり、8月から9月にかけては木村建設事件の最終陳述書作成でした。
 2015年9月に起きた木村建設解雇事件から早2年。2年越しの結審です。不当労働行為事件申立から2年と1ヶ月が経過した結審です。この事件、組合結成通知から2ヶ月で組合員全員解雇と言う事件です。しかも、その間の社長の「組合辞めるか、会社辞めるか、どっちか選べ」と言う恫喝が録音されたりしていますから、早々に命令になるとばかり当初は思っていました。ところが、会社側の引き伸ばしが延々続き、結審まで2年を超えてしまいました。昨年夏には残業代の1部が支払われましたが、解雇されたのちの生活は皆大変です。とにかく勝たないことには、解雇された組合員らが借金で生活していいますから、その借金返済すらできません。さらに、組合結成したら解雇されるような職場に働き続ける人たちも大変です。組合結成したら解雇してはいけない、と言うこの当たり前のことが当たり前になるように、どうしても勝たないといけない。そんな思いで、まとめ上げて見たら84ページにもなりました。なんとか結審も迎えることが出来、あとは勝利命令だけです!しかしまあ、この事件、代理人さんが4人も付いていまして、さらに、仕事で労働委員会に証人出席した従業員が5人、調査にも出席した従業員が4人。従業員が20数名の会社としては非常に高い比率です。費用をつぎ込んでも組合を潰したい社長と、お金持ちの社長にペコペコする人たち。これもまあ、日本の縮図ですね。
 7月8月と書面作成に追われる最中、エイコーという酒問屋さんで、暴力を伴う不当労働行為事件が発生してしまいました。労働委員会事件が解決に向かうかと思われたところだったので、非常に残念です。しかも、その証拠を残そうとしたことを持って懲戒処分までしてきました。証拠がなければ「やっていない」とこれまでも言っていたので、団体交渉で録音を残すことで合意していたのですけど。この件の追加申立10ページもようやく終わりました。小さい会社では感情がぶつかりあいやすい事もわかりますけれど、人事権という権力を使って、事実を捻じ曲げようとしたり、自分の感情を満足させようとすることは、他人の人権を踏みにじることです。それをパワーハラスメントと言いますし、労働組合憎しで行えば、不当労働行為です。

 なんだか最近の社会全体が、弱いものいじめの社会になり、権力や力がないと何も出来ないとばかりに、権力に群がろうとする人たちが目につくようになっています。権力者のわがままな解散で選挙が始まります。権力に群がらなくても、権利を確立するための声を上げていきましょう!
posted by REI at 18:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記