2018年06月21日

セーフティネットから落とされる労働者を作らないために出来ること

労働者は、弱い立場にあるからセーフティネットに守られています。
セーフティネットは、失業した時は雇用保険で失業給付が支払われ、長時間労働した時は割増賃金が支払われるほか労働時間の規制があり、最低賃金が定められ、年取って働けなくなったときのために国民年金に厚生年金が足され、病気になった時には傷病手当金の支給があり、仕事で病気や怪我をした時には解雇制限と療養費休業補償費が払われます。
日本のこの制度は、まだまだ完全ではなく、労働時間が短いと対象にならないものがあったり、不十分なものもたくさんあります。それでも、しっかりと活用すれば、なんとかどうにか生きていけます。
けれど、日本の場合、「労働者」でないと判断されてしまうといきなりこの「セーフティネット」が全てなくなります。
そして、労働者ではない場合のセーフティネットは、生活保護以外、生活を支えることができるものはないのが現状です。

 国家が生活の最低保証を行う「生活最低保証(ベーシックインカム)制度や、国家が医療費無償などの高福祉政策を実施していれば、「労働者か」「事業主か」の選択は必要ないのですが、残念ながら日本のセーフティネットは、労働者を雇用した事業主が労働者のセーフティネットの全部であったり一部であったりの負担を行う仕組みです。

こんな中で、経営者がセーフティネットを負担しなくてもいい、つまり経営者にとって費用負担が「お得な」働かせ方が、「働き方改革」にも出てくる「雇われない働き方」です。私はこれは単に「雇用契約を締結していないだけの働かせ方」だと思います。「雇われない働き方」をしている方は様々な契約書を持っていたり、口頭契約をしています。「個人事業主」だったり、「請負」だったり、「業務委託契約」だったり。労働者の方も「雇われる」よりも「自由で」「バリバリ稼げる」と誤解しがちです。

でも、労働者か事業主か、この二つの決定的な違いは、「生産財」である「資本」を持っているかどうか。自分は労働をしないで所有している「資本」に他人の労働を加えて、富を得ているか。お金に働かせているか。自分のお金が、新たなお金を呼び込んでいるかどうかですよね。
自分の二つの両腕という道具しか持たずに、仮に別の道具を持っていたとしても自分の腕の補助として使うための道具を持っているにすぎなければ、それは自分の労働で生計費を稼いでいる労働者という名称の、セーフティネットを必要としている人たちです。

「高度プロフェッショナル」制度で労働時間管理を無くし「成果で賃金を支払う」などと政府が言っている現在、労働基準法上の労働者性について「時間管理されていること」とか「時間で賃金が支払われていること」は、単なる指標であってそれが絶対の基準ではなくなって来ています。事業主がどのような「契約」を交わし上手にカムフラージュしようが、セーフティネットが必要な働き方をしている人たちに、労働基準法ほか労働法制を適用しなければ、労働法がどんどんザル法にされて行くばかりです。
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2018年06月15日

健康で働き続けるために。ダブルワーク、トリプルワークに潜む危険。

昨日、組合員の方のお通夜がありました。私よりまだ若い、まだまだ人生これからの人の死亡でした。
高校生のお子さんが、喪主でした。
さぞかし心残りだっだだろうと、胸が一杯になります。

このかた、組合員なんですが、実は私は面識がありません。
それは、仕事からの帰り道で脳梗塞で倒れられて、意識不明になってから、息子さんとお母様が代理で組合に相談され、加入したからでした。
というのも、ダブルワークをされていて、社会保険未加入だったからでした。
相談をされて、労働時間を調べたところ基本の勤務先で社会保険に加入でき、傷病手当金の受給をすることはできました。しかし、もう一箇所の勤務先での労働時間が全くわからない。そもそも、もう一箇所で働いていたことを息子さんとお母さんは知っていたけれど、それがどこなのかは雲をつかむようでわからない。
脳梗塞という病名は、過労死や脳心臓疾患の労災対象の病名です。仮に、長時間労働であれば労災の対象にすぐになります。けれどもダブルワークだと、一箇所の労働時間だけではどうしても長時間労働ではないわけです。

結局原因がわからないまま、倒れられてからずっと意識が回復しないまま、お亡くなりになってしまいました。
こういうことがあると、本当に考えさせられてしまいます。
「仕方がない」「生活ができない」そんな事情や、周りから「好きでやっているじゃないの」という視線の中でのダブル、トリプルワーク。これでいいのかと。

ここ数年、とりわけ昨年、1昨年くらいから。ダブルで働いています。トリプルで働いていますという相談者の方が増えています。私たちの組合も昨年、この流れに合わせて、ダブルやトリプルの働き方に合わせた組合費の徴収や対応を整理しました。一箇所だけで働いていても問題は発生しまう。ましてやそれがダブルとなれば、問題は倍増です。ダブルで働いている実態があるのに、そこに手をつけないで見過ごすことはできないという現実的対応です。

だけど、やっぱり、出来るだけ一箇所の勤務で生活ができる賃金を得ることを追求するのが組合活動の基本にしないと、本当にみんな生活に追われて、「過労死」なのに「過労死」と気がついてもらえない病気になる可能性が、ダブルワーク、トリプルワークの行き着く先に潜んでいます。「一箇所で生活ができる賃金を得る」このために近道なのは、やはりメーンの勤務先で労働組合を結成し、会社と交渉すること。次に権利について熟知して、社会保険加入、割増賃金をしっかりと請求することです。
「生活できないからもう一つ働き先を増やす」その前に、請求していない権利はないか、未払い賃金はないか、是非点検してみてください。自分の人生と家族の幸せのためにも。
posted by REI at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記