2020年02月29日

体の不安と生活の不安が渦まく中で コロナウイルスの安全配慮義務、休業とテレワーク

コロナウイルス、高齢者と持病のある人を除いては軽症だそうですが、いろいろな情報の中で不安が煽られていますよね。
 政府の方針は「軽症の場合の自宅療養」だそうですが、自宅に高齢者や持病のある家族がいる場合はどうしたらいいの?と私は素朴に疑問です。検査と感染症対策が十分でない中で、みんなとっても不安です。
 「風邪の症状がある時は仕事や学校を休んで外出を控える」ことに限らず、できるだか人混みやハイリスクは避けたいものですが、体を守ることと生活を守る事について、私たちが知っておく法律知識について少し、書きたいと思います。
<雇用主には安全配慮義務があります>
 人を雇ったら、元気に出勤してきた通りに仕事を終えて帰宅させる、そう言う義務があります。労働災害の基本の考え方です。
 この「安全配慮義務」を、今回のコロナウイルス問題でも真っ先に考える必要があります。
つまり、「具合が良くないから休みたい」との申し出を断ることは絶対にNGで、休ませずに悪化させたらそれは雇用主の責任です。
 さらに、雇用主が「発熱していて具合悪から休みたい」と言っている労働者を休ませずに働かせて、他の労働者に感染した時には雇用主の「責めに帰すべき」理由が発生し、雇用主責任になります。
 
<「休んで」との業務命令で、休業補償>
 コロナウイルスは今年の1月28日に「指定感染症」に定められてしまいましたので、「コロナウイルスによる発症」が確定した労働者を雇用主は「休業させなければ」いけません。この場合、今の日本の法律が不備で、法的には休業補償対象にならないのです。唯一、休業して3日目から賃金の7割強を社会保険の「傷病手当金」から受けることができるだけです。それでも賃金の7割は保証されるのでしっかりと請求しましょう。もし、社会保険未加入ならば、加入の要求を出しましょう。ただし、傷病手当金の支給要件は1年間の被保険者ですから、今未加入で速攻加入したとしても1年後からしか受給できません。要件が満たされていれば、遡って加入を求めましょう。
 しかし、コロナウイルスの検査を受けておらず「疑い」の段階や、「感染防止」の理由で、雇用主から「休業を指示」された場合には休業補償の対象になります。労働基準法では6割ですが、民法では10割の請求ができます。
 安倍総理は「有給休暇の取りやすい状態」を事業主に要望していますが、「休業補償」の対象となる時に有給休暇を使わなくても良いのです。有給休暇は、自分のためにもっと使いましょう。
 今回のコロナウイルス関連で、この休業問題について厚生労働省の見解はわかりにくいものなのですが、平成21年10月30日のインフルエンザに関する厚生労働省判断の方がわかりやすいのでURLを貼っておきますね。 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/21.html" target

<自宅勤務の労働条件>
 雇用主がコロナウイルスの予防のために、従業員らを「自宅待機」にして「休業補償」をきちんとできれば良いのですが、政府の予算が十分に取られていない中で、コロナウイルスに関する
雇用調整助成金」の対象となる事業はまだ多くはありません。
 https://www.mhlw.go.jp/content/000596026.pdf 
 https://www.meti.go.jp/covid-19/ 
 それでも、助成金や支援が受けれるのであればちゃんと手続きをして労働者にしわ寄せが来ることを防いで欲しいものです。労働者も、雇用主と交渉して「泣き寝入り」しない方法を探すしかありません。
 そんな時に、電通や大企業が「テレワーク」で対応という情報を目にして、自分のところでも何とかなれば、通勤時感染の恐怖から逃れられるのではないか、という思いも出てきます。
 私の個人的な感覚からいうと、遠隔的な労務管理になるために労働安全レベルで様々なトラブルが出るのではないだろうかという不安がある働き方ではあります。
 それでも止むを得ない選択肢として考えるとすると、「テレワーク」を開始する前には必ず労使間協定を締結しておく必要があるということです。労働時間の始まりと終わり、途中の管理をすればそれは事業所で労働しているのと同じに、所定労働時間を超えた時間が割増賃金となります。労働時間の管理が無ければ、「事業所外みなし労働時間」の対象となります。出勤と退勤の労働時間の管理をしているのに、「事業所外みなし」の対象にはなりません。長距離ドライバーがタコメーターで管理されているのと同じだからです。「事業所外みなし」であれば、何時間労働かについても合意が必要です。まかり間違っても、業務を「請け負う」形にしては働く人の不利益になります。
 そんなテレワークも中小企業には夢のまた夢というため息も聞こえてきます。
経営者が、労働者を管理したいけれどお金をちゃんと払うのは嫌だという考え方を変えないといろんなこ厳しくなります。こんな緊急対応が必要なことになればなるほど、経営者と対等に話し合うことが必要になってきます。そのためにも、常日頃から労働組合で経営者と団体交渉を重ね、働く人の健康と生活を守ることを「当たり前のこと」にする必要があると思います。

ぜひ、お気軽に相談にいらしてくださいね。
posted by 朝倉れい子 at 19:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記