2019年03月25日

解雇無効時の金銭救済制度は要らない。

厚生労働省の労働政策審議会ですでに6回も「解雇無効時の金銭救済制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000211235_00005.html なるものが討議されています。資料を読んでみると、対象となる解雇は「解雇権濫用に該当する解雇、禁止解雇、就業規則・労働協約に定める解雇事由に基づかない解雇、有期労働契約期間 中のやむを得ない事由がない解雇、有期労働契約に係る雇止 め法理に反する雇止め」という、いわゆる不当解雇そのものです。産前産後とか、労災の休業中とかの法律で禁止されている解雇についても、裁判や労働審判で「解雇無効」と判断された時に「労働契約解消金」を払って解雇していいよという法律を作ろうとしています。

一体誰が、こんな法律が必要だというのでしょう。
今現在は、不当解雇があって、裁判に提訴して、解雇無効の勝利命令を得るとバックペイという「解雇されなければ得ていた賃金相当額」と将来に渡って「賃金を払い続けること」という命令が出されます。命令を受けて、会社と交渉して職場復帰の条件を整えるのが労働組合のお仕事の一つです。命令の前に、「和解」で「金銭解決」ということもあります。

つまり、現状、労働者には職場復帰という方法も金銭解決という方法もありますから、「労働契約解消金」が労働者を救済するというものではない事がよくわかります。
では一体、誰を救済??となると、違法な解雇を強行する経営者を救済する以外に考えようがありません。
何と言っても、どんな不当解雇でも、しかも長い長い訴訟で争った後に「労働契約解消金」を払って解雇を無かったことにしてしまえるのですし、払ってしまえば職場に戻す必要も、給料を払い続ける必要も無くなってしまうのですから、労働者の使い捨てやり放題です。

しかも、資料を読むと「労働契約解消金」の算定根拠に「企業規模」を加えるとか、不当性の高い典型的な類型解雇でも増額しないとか、「事前の集団的合意によって企業独自の算定基礎を入れる」とか、とんでも無い事ばかり書いてあります。企業規模を算定根拠にすれば、ブラック企業率が高い中小企業に働いているというだけで安く使い捨てられてしまいますし、不当性の高い解雇でも増額しないということは今では発生率が少なくなっている労災や産前産後とかの人道上も大いに問題の大きな解雇もやり放題です。しかも、「事前の集団的合意」となると、第2労務部とも言える御用組合を作ったり企業の意のままの従業員代表を使って「集団的合意」に持ち込んでしまえばその金額すらもやりたい放題です。

読めば読むほど暗澹たる思いにとらわれるこの制度設計。こんな変な法律を作らせること自体、やめにしましょう。
posted by 朝倉れい子 at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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