2021年12月24日

労働委員会 エイコー事件結審に寄せて、コロナ禍の中での命令にあたって

今日は労働委員会のエイコー事件の結審(労使双方の最後の主張が終わり、あとは労働委員会の判断に委ねる最後の期日)でした。
会社側代理人さんが労働委員会に不慣れなようで、最終陳述書を直送(裁判や労働委員会で直接当事者間での書面送付をする事)してきたり、結審日に書証(立証に必要な書類の証拠)を出してきたり、結審直前に公益委員や労働側委員が変更になったりと、さまざまな「突発事項」がありながらも、とにかくやるべき事はやりきり、あとは労働委員会の判断を待つばかりになりました。

労働委員会というところ、申立時効は「不当労働行為の発生を知ってから1年」です。それは本来、不当労働行為は労使関係の安定のために早々に解決する必要があるためです。つまり、申立してから1年以内に命令が出るということが本旨です。

でも、東京都労働委員会は事件数が多いのか、事件数に見合った事務局人員数が少ないのか、1年以内に命令がでたことは、私の30年間の記憶の中でも皆無です。
長いと5年とかかかります。不当労働行為で労働者は日干しになることがありますから、そんな長いことかかると現状回復なんてちょっと無理です。なんとかしてもらいたいところだと、常々思います。

それに加えて、ここのところ、労働委員会命令の事実認定などがちょっと「雑」です。
主張していないことが「主張している」ことになっていたり、立証していることが「証拠がない」と認定されたり。一体どうなっているの?とものすごく疑問でした。

ただ、どんなに疑問を抱いたとしても、労働側はギリギリ救済が必要なのです。必死です。
なので、今回、ここのところ「雑」になっている命令でも、理解認識をしてもらうための構成にとっても気を使いました。
大体いつでも、私は最終陳述書作成のためにものすごい労力を費やします。
審問速記録から必要事項を引用し、会社側の出した証拠、組合側の出した証拠を全て見直し、会社側の出した主張も全て読み直し、判例や書物から必要なところを探し、記載します。総集編ですが、漏れが無いようにチェックにチェックします。第1稿を書き終わってからの見直しに2日ほどかけています。
そこに+、分かり易さを加える必要性がこの間の命令を見る中で出てきたわけです。

なんでこんなことになったのか?という疑問に、今日の公益委員発言は応えてくれました。
曰く、コロナで期日がストップした影響で、命令作業が溜まっていて、公益委員会議で2件平均の命令を審議しているとのことでした。
事情はわかります。そうだとも思っていました。先日、同日に勝利命令と棄却命令が当組合の別件2件に出されて喜ぶ当該と落ち込む当該を一緒に見なければならなくなった時に、そんな気はしていました。本当にどうにかして!です。

ただ、不当労働行為を受けた労働者は、日々の業務の中で本当に辛い思いをしているんです。業務が忙しいからといって、不当に不当労働行為が認められなくなると、さらに辛い日々が加速します。
私も、最終陳述書作成のために、ほぼ1ヶ月くらい、さまざまな組合業務を先送りしてやりくりしています。その間、執行委員をはじめとして多くの組合員の皆さんに協力してもらっています。でもそれもこれも、皆、辛い思いをしている組合員が笑顔に変わる命令をもらうためです。
労働委員会の皆さんの過重労働もとても気になるところですが、なんとか一つ一つの事案に、一人一人の人生がかかっていることを思い起こしていただき、丁寧に命令を出していただけたらと思います。よろしくお願い致します。
posted by 朝倉れい子 at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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