2012年11月27日

労働委員会制度

昨日、私たちの労働組合では労働委員会申立は代理人弁護士を頼まず自力でやっていますと記載した所、「代理人弁護士を頼んだ方がいいよ」という意見をもらいました。
それで、少し、何で自力でやっているのか、その意味と必要性について考えている事を書きますね。
私が考えている意味と必要性は以下のとおり3項目です。
 @労働委員会制度そのものの意味
 A労働者に信頼される労働組合としてのスキル
 B労使対等の団体交渉を行うためのトレーニング

ちょっと長くなりますから、この項目に分けて、3日にかけて書く事にします。

ではます、@の労働委員会制度そのものの意味からの話
最初に、見ていただくのは、労働委員会規則第32条です。ここに、救済申立の方法が書いてあります。その3項に、「申立は、口頭によってでも行う事が出来る。この場合、事務局は、前項各号に掲げる事項を明らかにさせ、これを録取し、読み聞かせた上、署名又は記名押印させなければならない。録取した書面は申立書とみなす」という記載が有ります。私もさずがに口頭申立はした事は有りませんが、法律上、口頭申立が出来るのです。言い換えれば、文書が書けなくても、労働委員会に申し立てる事が出来るし、労働委員会の救済を求める事が出来るのです。これはそもそもが、労働委員会制度というものは、代理人弁護士制度をあらかじめ予定していない制度だからです。

 次に、文書が書けなくても救済を求める事が出来る制度であるのは、何故かという事です。
労働委員会制度のそもそもの位置づけを考えてみましょう。
そもそも、労働委員会制度とは、どの法律に規定されている制度かというと「労働組合法」第4章に規定されている制度です。多くの弁護士さんが労働委員会制度を苦手とする理由は、一部の弁護士さんを除いては、労働組合法をご存知ないからです。最近新たな分野として労働問題を担当し始める弁護士さんも多くいらっしゃいますが、その殆どは個別労使紛争(個人の労働者が自分の権利侵害についてのみ、交渉を求める紛争)しか経験が有りません。何故か。それは、個別労使紛争は弁護士さんが得意とする一件解決の民事訴訟法による解決ですが、労働組合法における交渉とは、経営と労働組合が争ってみたり、握手してみたり、労働者が働き続けていく限り続く長い長い期間の、お互いの人間性に触れざるを得ない交渉だからです。闘ったとしてもその後に信頼関係が生まれたり、許し合ったり、かなり人間くさい交渉ですね。それこそ「弁護士さん」任せにしてしまったら、労使関係は築けない代物です。労使紛争が長期化してしまう困った経営者には、このタイプ、自分の力で労使関係を切り開こうとしないで「弁護士先生」「顧問の先生」頼みにしてしまう方が多くいます。そして、それはまた逆も真なりで、労働者も労働組合も然りです。労使も、人として向き合う事がまず最初です。

 脇道にそれましたが、そこで、労働組合法です。労働組合法は、労働組合に加入していない労働者には無縁の法律です。そのかわり、労働組合に加入している労働者にとってはとっても心強い法律です。この労働組合法第1条にはこのように記載されています。「この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させる事、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合そ組織し、団結する事を擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制るす労働協約を締結するための団体交渉をする事及びその手続きを助成する事を目的とする」一言にまとめると、労働組合が労使対等の立場にたって団体交渉を行う事を助ける事を目的として法律です。

労働組合が労使対等の立場に立たないと、労働者の地位の向上をさせれないという法律なんです。

労働組合が労使対等の立場に立つ、一言でいうと簡単そうですが、これはなかなか、経営側の反発に合うのですよ。多くの経営者は自分が雇った使用人たる労働者と何で対等の立場にたたなければならないのか?と労働組合が出来るとまず反発します。だから、団体交渉でも労働者を呼び捨てで読んだり、上から目線で見下したり、十分な説明をしないで交渉を打ち切ろうとしたり、様々な「労使対等」の否定をしてきます。

ですので、私は労働組合を結成した時、一番最初に心がける事は、「労使対等の交渉」が出来るレベルを目指して交渉する事です。うちの組合員が呼び捨てにされたり、からかわれたり、適当にあしらわれたりする事を許さない事から始めます。そんな時に、もし、労働組合を結成した事を理由とした解雇とか、賃金カットとか起きたら、直ちに動かないといけません。この時に、時間がないとかお金がないとか考える余地は有りません。つまり、不当労働行為は起きたらばすぐに救済を求めないと、労使対等の交渉に行き着かないのです。内容によっては、不当労働行為が発生した翌日に申立をしなければならない事が有ります。そんな時のための、口頭申立を法的に保障しているのだと、私は考えます。緊急的な問題が発生した時に、忙しい弁護士さんに予約を取って、それから事態を説明して、申立書を書いてもらって、といった悠長な事をしていては、間に合わないときが有るのです。それは、「不当労働行為はやり得」という言葉が経営側に有るように、不当労働行為をして、本人が諦めてしまえば責任を問われないからです。

労働委員会制度というのはまとめていえば、あらかじめ代理人制度を予定していない、口頭でも申立が出来る制度で、それは労使による対等な交渉に行き着くために排除しなければならない不当労働行為に即応で対応することが求められているからだ、という事です。

ABはまた明日にでも。

タグ:労働委員会
posted by 朝倉れい子 at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 組合用語解説
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