2012年11月29日

労働委員会制度と申立書作成 その2

1昨日の続きです。が、1昨日に記載したAとBは後日にして、ちょっと別の話。

昨日、JUKIの団体交渉が有りました。JUKI事件は、東京都労働委員会で勝利命令を勝ち取った事件です。その勝利命令に基づき、開催された団体交渉で昨日で3回目の交渉でした。この勝利命令、このブログにも書きましたが、経産省から査察が入り、営業停止が予測された家庭製品事業部を別法人に分割した後に、解散させ、そこに働いて来た従業員を希望退職に応じるか解雇されるかのどちらも「退職」しか選択肢のない選択をさせて全員辞めさせたJUKIの親会社責任を認めて団体交渉開催命令を出したものです。判例からいって、けっこう画期的な内容です。ですから、この労働委員会命令をきちんと読めばJUKI株式会社は自らの行為を反省しないといけないはずなんです。けれども、JUKI株式会社は「団体交渉をやればいいんだろ」という態度を崩さず、「労働委員会の事実認定は間違っている。認めていない」と主張します。労働委員会の事実認定が間違っているならば、上級審で争えばいいのに、ただただ世間体、体裁だけを取り繕い、本質的解決を回避するわけです。これはまるで、JUKI株式会社が作成した営業マニュアルによって消費者からの苦情が膨大な数になっていたのに、会社が真剣に消費者に謝罪して向き合うのではなく、苦情が来ている部署だけを切り離して潰した過去の経過と同じ会社の体質です。

組合に加入してから発生した解雇事件や不利益扱い事件で、それが「組合活動を理由して」「組合加入を理由として」行われたもので有れば、ダイレクトに不当労働行為として申立をして、「現状復帰命令」つまり、賃金カットされた分を返済して、解雇であれば職場に戻す、という命令になるのですが、解雇されてから労働組合に駆け込んで来た事件は、団体交渉議題にはなっても、解雇そのものを不当労労働行為として争うことにはなりません。それで、団体交渉そのものの応諾義務違反であるとか、不誠実団体交渉とかの争いになります。

問題はこの不誠実団体交渉、団体交渉拒否事件です。出される命令は「団体交渉を誠実に応諾しろ」というものです。それに支配介入要素が立証できるとポストノーティス命令と言って謝罪文交付から掲示、入り口に板書までの様々な悪質性に応じたレベルの命令が出されます。

組合にとって、団体交渉は生命線ですから、誠実に開催されないとその先に進めません。そして、職場の中での労働組合の地位の向上にはポストノーティス命令はとても大事です。

しかし、これらの申立を代理人弁護士に依頼しようとすると大きな壁が立ちはだかります。何かというと、「お金にならない事件」なんです。不誠実団体交渉事件というのは。申立書における請求額がそれだけではゼロ円。請求どおりに命令が出されても、金額の支払いはゼロ円です。弁護士さんにお支払いする成功報酬を約束出来ない事件です。しかも、不誠実団体交渉事件というのは団体交渉の再現により立証しなければなりません。一つ一つの団体交渉の内容を参加者、場所、誰が何言ったかと、細かく証言しないと行けません。とっても手間がかかります。面倒くさくてお金にならない事件。でも、労働組合が労使対等の団体交渉を手に入れるには必要な事件。
 だから、不誠実団体交渉事件を扱ってくれる代理人さんはあまりいません。それで、会社側の代理人は不誠実団体交渉はやり得なのでバンバンやるわけです。

私がこの仕事をやり始めた頃、まだ20代後半だった頃。担当した組合結成で、不当労働行為が起きました。それで知り合いの弁護士さんにお願いした所、まあ、面倒くさくてお金にならない事件だったからでしょう。事件を引き受ける条件は「申立書を書いて来たらやってあげる」でした。「書き方が分からない」と言うと、国労の事件の申立書を渡されて「参考にして書いて」と非常に乱暴な指導をしていただいて何とか書きました。今思うと、ただ形式をなぞっただけの、争点整理もあいまいなものだったのですが、とにかくそうやって鍛えていただきました。このときは、なんて酷い人なんだろう、とその弁護士さんの事を思っていました。が、今から思うと、不当労働行為と闘うのは労働者自身であり、労働組合自身。その入り口の労働委員会申立で、そこの労働者が、その労働組合が格闘にしなければ闘えないぞ、という意味もあったのだろうと思います。

では、この続きはまた後日。
posted by 朝倉れい子 at 13:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働組合活動
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