2012年12月19日

労働組合結成 仲間を信じる事から始めよう

以前、といっても、そんなに昔でない以前、私達の組合に「S」という会社の分会がありました。
詳細は後述しますが、昨年3月に解散しました。
そしてその後、別の地域の合同労組で同じ「S」という会社の組合が結成されてとのことで、私のところに問い合わせがありました。
私は引っかかる気持ちがあったので、その事を、問い合わせた人に伝えました。
そして、先日、その問い合わせしてきた人とバッタリ都庁前で会ったのですが、その時彼はこう言いました。「あの話は言われたとおりかもしれない。『S』組合の1人が亡くなって、遺品を整理していたら会社との怪しい協定書が出てきた。」・・・・

人生は一度きり。裏切られる事はとても辛いけれど、裏切った過去を持ったまま死んでしまうのはもっと悲しい。

その『S』分会は、私達の組合に加入したとき、当初3名の解雇でしたが、未払い残業代がある事がわかり、二桁の組合数になりました。そして東京都労働委員会での係争もあり、半年後には全員解雇撤回、職場復帰、バックペイの支払いが実現し、労働組合の力を発揮する事が出来ました。ところが、その9ヶ月後、ちょうど東日本大震災が発生する直前くらいですから、3月の初旬に、職場復帰後に腰痛で自宅療養を余儀なくされていた分会長から「分会員が誰も電話にでない」「団交出席の連絡が誰からも来ない」という連絡が入ったのです。この年の1月には川崎と町田の労働基準監督署に申告を行い、すこしずつ前進していたはずでした。分会長が腰痛で休業していた事は不安材料でしたが、職場の仲間とはつながっていると思っていたのですが。分会長のその電話を受けて、私も分会役員の人たちに電話を入れましたが、やっぱり誰も出ません。すごく嫌な感じです。そして大震災。実家が茨城で、その実家で被災してしまった分会長から「だれも電話に出ないし、被災して心が折れた。もう分会解散する」との連絡が有ったのはそれから程なくしてからでした。

 合同労組の専従である私からの電話を、組合員の人が取らなくなるときは、ほぼ、切り崩し=組合脱退勧奨があった時です。それも、目の前に良い条件がぶら下がった時です。目先の利益に、後先考えず飛びついて行く事い精一杯で、自分を守ってくれた労働組合など、さっさと縁を切る、そんな構図です。まるで、イソップ物語の、繁った木の後ろに身を隠した鹿が、その木の葉っぱを食べてしまったばかりに猟師に見つかってしまう寓話のようです。身を守る手段を大事にせず、目先の誘惑でせかく繁った樹木を裸にしてしまう事で、身を滅ぼしてしまう・・・。とても悲しい話です。

 彼らが、私達の組合と、何の連絡もとらなくなってから、何があったかわかりません。ただ、彼らが私達の組合から去ってから1年以上経ってから違う合同労組に加入した理由は解雇と未払い残業代です。という事は、会社とどんな協定をしたのか、わかりませんが、残業代をきちんと払ってもらう事が出来ず、解雇に至ったということです。

 労働組合という、人と人との関わりによって成り立つ仕事、しかも労使関係という日々の生活、生活費と直結する、利害関係の真っ只中の仕事では、「信頼」という喜ばしい財産が出来る反面、裏切られる事も多くあります。労働者は弱い。弱い労働者ほど目先の利益で動いてしまう。この事実をいつも反芻するのですが、それでも裏切られる毎に心がザラザラしてきます。
今回の一連の出来事、心の中のザラザラしたものが、悲しみになってしましました。

信じることから始め直さないと癒えない、そんな感じです。
仲間を信じる事から始める労働組合の力を知ってもらいたから、私達の組合を訪ねてきてくださいね。

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2012年11月29日

労働委員会制度と申立書作成 その2

1昨日の続きです。が、1昨日に記載したAとBは後日にして、ちょっと別の話。

昨日、JUKIの団体交渉が有りました。JUKI事件は、東京都労働委員会で勝利命令を勝ち取った事件です。その勝利命令に基づき、開催された団体交渉で昨日で3回目の交渉でした。この勝利命令、このブログにも書きましたが、経産省から査察が入り、営業停止が予測された家庭製品事業部を別法人に分割した後に、解散させ、そこに働いて来た従業員を希望退職に応じるか解雇されるかのどちらも「退職」しか選択肢のない選択をさせて全員辞めさせたJUKIの親会社責任を認めて団体交渉開催命令を出したものです。判例からいって、けっこう画期的な内容です。ですから、この労働委員会命令をきちんと読めばJUKI株式会社は自らの行為を反省しないといけないはずなんです。けれども、JUKI株式会社は「団体交渉をやればいいんだろ」という態度を崩さず、「労働委員会の事実認定は間違っている。認めていない」と主張します。労働委員会の事実認定が間違っているならば、上級審で争えばいいのに、ただただ世間体、体裁だけを取り繕い、本質的解決を回避するわけです。これはまるで、JUKI株式会社が作成した営業マニュアルによって消費者からの苦情が膨大な数になっていたのに、会社が真剣に消費者に謝罪して向き合うのではなく、苦情が来ている部署だけを切り離して潰した過去の経過と同じ会社の体質です。

組合に加入してから発生した解雇事件や不利益扱い事件で、それが「組合活動を理由して」「組合加入を理由として」行われたもので有れば、ダイレクトに不当労働行為として申立をして、「現状復帰命令」つまり、賃金カットされた分を返済して、解雇であれば職場に戻す、という命令になるのですが、解雇されてから労働組合に駆け込んで来た事件は、団体交渉議題にはなっても、解雇そのものを不当労労働行為として争うことにはなりません。それで、団体交渉そのものの応諾義務違反であるとか、不誠実団体交渉とかの争いになります。

問題はこの不誠実団体交渉、団体交渉拒否事件です。出される命令は「団体交渉を誠実に応諾しろ」というものです。それに支配介入要素が立証できるとポストノーティス命令と言って謝罪文交付から掲示、入り口に板書までの様々な悪質性に応じたレベルの命令が出されます。

組合にとって、団体交渉は生命線ですから、誠実に開催されないとその先に進めません。そして、職場の中での労働組合の地位の向上にはポストノーティス命令はとても大事です。

しかし、これらの申立を代理人弁護士に依頼しようとすると大きな壁が立ちはだかります。何かというと、「お金にならない事件」なんです。不誠実団体交渉事件というのは。申立書における請求額がそれだけではゼロ円。請求どおりに命令が出されても、金額の支払いはゼロ円です。弁護士さんにお支払いする成功報酬を約束出来ない事件です。しかも、不誠実団体交渉事件というのは団体交渉の再現により立証しなければなりません。一つ一つの団体交渉の内容を参加者、場所、誰が何言ったかと、細かく証言しないと行けません。とっても手間がかかります。面倒くさくてお金にならない事件。でも、労働組合が労使対等の団体交渉を手に入れるには必要な事件。
 だから、不誠実団体交渉事件を扱ってくれる代理人さんはあまりいません。それで、会社側の代理人は不誠実団体交渉はやり得なのでバンバンやるわけです。

私がこの仕事をやり始めた頃、まだ20代後半だった頃。担当した組合結成で、不当労働行為が起きました。それで知り合いの弁護士さんにお願いした所、まあ、面倒くさくてお金にならない事件だったからでしょう。事件を引き受ける条件は「申立書を書いて来たらやってあげる」でした。「書き方が分からない」と言うと、国労の事件の申立書を渡されて「参考にして書いて」と非常に乱暴な指導をしていただいて何とか書きました。今思うと、ただ形式をなぞっただけの、争点整理もあいまいなものだったのですが、とにかくそうやって鍛えていただきました。このときは、なんて酷い人なんだろう、とその弁護士さんの事を思っていました。が、今から思うと、不当労働行為と闘うのは労働者自身であり、労働組合自身。その入り口の労働委員会申立で、そこの労働者が、その労働組合が格闘にしなければ闘えないぞ、という意味もあったのだろうと思います。

では、この続きはまた後日。
posted by REI at 13:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働組合活動

2012年10月19日

労働組合と弁護士、社労士、どこに相談すれば解決するの?

労働相談で、労働組合に相談するのと、弁護士に相談するのと、社労士に相談するのでどれが良い?という相談を受ける事が有ります。
相談する方は藁をも掴む気持ちで、どこに相談するのが一番良い解決になるのかな?という気持ちなのでしょう。
もともと性質の違う、役割の違うものを比べるのは無理がありますけれど大体こんな回答をしています。

「手段」の問題として考えた時、例えば未払い残業代問題であればこのように答えています。
 働いている会社で残業代の請求をすると、その結果は「過去分+就業規則の改訂」という形になるので、就業規則の改訂まで出来るのは労働組合だけですよ。と。
 その理由は、弁護士さんに頼めば訴訟は出来ますが、弁護士さんの作成してくれる内容証明郵便には強制力は有りません。そして訴訟は過去分の賃金を請求する場であって、将来の就業規則を作成する場では有りません。また、残業代は労働基準法にその計算方法が細かく定められているものですが、これを知らない弁護士さんが多いのも事実です。
 社労士さんは残業代の計算の相談にはのってくれるかもしれませんが、訴訟はしませんし、交渉権があるわけでは有りません。
 労働組合では、会社に対して団体交渉権が有りますから、会社が団体交渉に応じない法律違反になります。交渉において強制力が有ります。集団的労使関係としての就業規則の作成改訂は労働組合の力が一番発揮できる場です。もちろん、交渉毎の中には過去の残業代計算も含まれます。訴訟をする場合には弁護士さんを頼む事がありますが、労働問題に詳しい、残業代訴訟が得意な顧問弁護士がいますよ。
 と、いつもお答えしています。


以上、問題解決の「手段」としての相談先として労働組合が一番良いですよ、というお話。
だけど、「手段」の説明をしすぎると、本当の労働組合の姿が見えなくなってしまいます。
「手段」の労働組合ではなく、「生き方」としての労働組合。
目先の損得だけの利益ではなく、人生においての利益を見据えた相互扶助が組合です。
お金を出し合って、お互いに助け合う。労働組合でなくとも、組合と名のつくものは皆そういう性格です。

お金を出して「サービス」を買う、例えば企業が多額の顧問料や、着手金を払って弁護士さんや社労士さんの知識や労働を買うのと、労働組合に加入して助力を仰ぐのとは全く異なっています。
相互扶助がめんどくさい!という話もよく聞きます。多額のお金があれば弁護士さんに毎回の団体交渉に同席してもらう事も出来るでしょうけれど、そんなお金がないから、人に雇われて働いているのですよね。
お金が無くても、卑屈にならず、権利を主張する為には、人と人との関係の力で、活路を見出す、これが労働組合です。
posted by REI at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働組合活動