2019年04月16日

過重労働と心の病 労災申請

昨日15日は、心の病の相談者の労災申請書への医師の証明をもらうために、通院に同行しました。
労災申請のための、相談者の主治医との面談はもう何度実施したでしょうか。心の病の場合、お医者さんが労災申請に協力してくれないことがよくあります。20数年まえは、心の病が労働災害だということを知らないお医者さんが多かったので、時が経てば事態は好転すると思っていたのですが、ちっとも良くなりません。

今回もとても悪い予感はありました。完全予約制で、持ち時間が限られていたからです。
不安は的中。一番恐れていた、ひどい断られ方を最初されました。医師は「労災じゃないって言ってるじゃないか」と強い口調で言ったのです。病気の彼女は泣き出しました。
 医師に話を聞くと発症時の出来事を誤解していました。誤解を指摘し、再度カンファレンス会議にかけてもらうことになり、再検討してもらえることになりましたが、それにしても、「そんな言い方、病気の人にしないでください」と医師に言ってしまうところでした。

紺屋の白袴みたいな話ですが、心の病のお医者さんにも余裕が無いのでは無いかと思いを馳せます。

話をしているうちに、最後にお医者さんが「労災の考え方も病院によって異なるので、うちでダメだったら紹介状を書きますね」と言われた時に、30年も昔の記憶が蘇りました。某大学病院に腰痛で入院していた時、労災申請をすると言ったら転医を勧められ、退院になったこと。その時のお医者さんが「労災申請なんかしたから、揉め事に巻き込まれるのはごめんだから、退院して」と言ったこと。
もしかしたら、ここも、めんどくさいのかもしれません。
ただでさえ忙しいのに、労災申請されると、意見書をまとめないといけない、意見書出しても労働基準監督署で却下されるかもしれない。医師にとって、労働災害のハードルが高いことはよくわかります。

でもね、これは巡り巡ってなんですよ。
労働災害にあって困っている患者さんに手を差し伸べることができないほど多忙になったら、次に心のバランスを崩してしまうのはお医者さん自身。

個人の力でどうにもならないのかもしれませんが、手を差し伸べることができる余裕は、自分の心と体のために必要不可欠なことだと、みんなの力で求めていきましょう。助け合えれば乗り越えられるハードルだと思います。
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2019年04月08日

これはうつになるようなパワハラ、これは労働災害。

国立市に所在する美容皮フ科で起きたパワーハラスメント事件の団体交渉を2017年11月に開始しました。当該の看護師さんはハラスメントの結果心の病(自律神経失調症)に罹患し、休業を余儀なくされました中での、団体交渉の開始でした。2回の団体交渉が年内に実施され、当初の対応が良かったので早期解決か?と期待しましたが、その後第2回団体交渉での約束事項が次々反故にされ、結果として昨年2018年に東京都労働委員会に不当労働行為で申立に至りました。

申立書は不当労働行為事件に絞って記載したのですが、公益委員から団体交渉議題であるパワーハラスメントについても詳細を準備書面に記載して提出するように求められ、今回パワーハラスメントの経過をまとめました。

わかりやすいパワーハラスメントですし、厚生労働省のパワーハラスメントの指針と労災の指針に照らせ合わせれば問題なく書けるだろうと当初、思っていました。

ところが、辛かったです。書く内容は決まっているのに、辛いのです。書き終わって、お風呂に入っていたら悲しくて涙が出てくる感じ。気持ちがドヨーンと落ち込んでいく感じ。書いている途中でも感じていた、ものすごい疲労感が襲ってきました。私、どうしちゃったのかな?と考えてみるに、これは「うつ」症状です。思い当たる節は、今回書いた準備書面です。当該のHさんが受けたハラスメントの証拠は彼女と会社側のLINEのやりとりです。そのLINEを画面撮りし、証拠にし、その内容を時系列を追いながら書き写して整理しました。この作業で、すっかりパワハラの言葉の数々が、「書く」という行為を通じて私の心に刺さってしまったのです。

リアルタイムでも無い、本人でも無い、第3者の私でも出来事と「言われたこと」を書き写しただけで心が暗くなってきたのです。直接そんな言葉をLINEで送信され続けた彼女は本当に辛かったのだと身を以て実感してしまいました。

私は人の感情が入り込みやすい体質らしく、1日に3人程の「心の病」労働相談ですぐにダメージが出る体質です。それでもというか、だからこそというか、相談を受けたり、今回のように経過を記載したりして自分がダメージを受けて「うつ」症状が出るような話は、実際にそこに「パワハラ」が存在し、「労働災害」たり得るものであると確認出来ます。
その上で、私の体質的確信を、厚生労働省の指針という物差しを使ってわかりやすく伝えるのが私の仕事。

今回も「うつ」症状はきつかったですが、指針の物差しに当てはめ、準備書面が無事校了し、都労委と会社側に送信したので、今日はもう気分はスッキリしています。

「心が沈んで辛い」「常に悲しくてたまらない」「体を持て余すほど疲れ切っている」などの「うつ」症状があった時、思い当たるハラスメントが存在していたら、まずは誰かに話してみてください。そうすると、相当因果関係があるかどうか、はきりすることがあるかもしれません。

もちろん、私たちの組合でもいるでも、welcomeですよ。
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2019年03月29日

「労働組合の存在する」職場と「労働組合の無い」職場との常識の違い

3月もいよいよ終わりです。来週からは4月。新しくたくさんの若い人たちが働き始めます。「働くこと」が辛いことにならないように、「働くこと」が楽しいことになるように、私たちは力を出し合っていきたいと思います。

 新しく「働く」時に見る書類の一つで有る「求人票」に労働組合は「有る」と書いてありましたか?「無い」と書いてありましたか?
 新聞折込チラシとかインターネットサイトの求人募集要領には労働組合の有無の記載が無いものが多くありますが、ハローワークで発行する「求人票」には労働組合の有無について書く欄があります。それは、労働組合が有るか無いか、ということが労働条件の大きな違いになるからです。

 結論から言うと、労働組合が「有る」職場の方が労働組合の「無い」職場よりも労働条件は基本的に「良い」です。
と言うのは、労使の話し合いによってボーナス支給額、賃上げ額、労働条件の変更について決めることが、労働組合の存在する会社におけるルールだからです。

 労働組合が「無い」会社では、「社長の胸先三寸」で全てが決まってしまうことがよくあります。
 そうするとどうなるかと言うと、「俺(社長)が気に入らないことを言ったから、ボーナス下げる」とか、「上司が嫌いだと言っているから、ボーナス低く抑える」とか、精神的にも金銭的にも辛い事が起きてしまいます。

 実はそんな労働組合の無い別々の2つの会社で嫌な目にあった方達の件で、昨年から今年にかけて続けて2件の労働委員会申立をしました。業種も職種も全く異なる会社です。当事者も、職種も性別も勤続年数も全く違う人たちです。共通点は皆、元々が労働組合の無い職場だという事です。
 
 彼らの労働組合が無い職場で、ボーナス支給を巡って何が起きたか。
Aさんは5年程前に社員旅行に行かなかった事でボーナス30万円支給が半額になり、その後ずっと半減されたボーナス支給が続きました。昨年私たちの組合で交渉して、5万円UPで妥結しましたが、会社が妥結の意味を理解していません。妥結の意味を知ってもらうために、労働委員会に申し立てをしました。

Bさんは会社のパワハラによって心の病になり、2017年11月に休業したところ2017年冬季一時金の支給額が、例年の4分の1程でした。にも関わらず、支給明細も支給根拠の説明をありませんでした。労働委員会申し立て後、2019年3月になりし2017年冬季一時金の支給明細が初めて示されました。そして就業規則に記載された算定対象期間が6月から11月で有るにも関わらず「12月以降退職する可能性があるから」減額したと説明されました。このような不合理な理由での減額に対し、次回団体交渉で理事長から説明をしてもらうことになりました。

ボーナスの支給一つとっても、支給の方法自体がハラスメントになるようなやり方が起きてしまう事があります。
労働組合の有る、無しが、重要な労働条件で有る理由です。
そして、私たち労働組合のお仕事は、労働組合がなかった会社で、労使交渉をして、労使で合意して、労働条件を決めるという手続きを多くの会社に知ってもらうことでもあります。

納得のいかない、ボーナス支給や労働条件があったら、相談にいらしてください。



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2019年03月25日

解雇無効時の金銭救済制度は要らない。

厚生労働省の労働政策審議会ですでに6回も「解雇無効時の金銭救済制度」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000211235_00005.html なるものが討議されています。資料を読んでみると、対象となる解雇は「解雇権濫用に該当する解雇、禁止解雇、就業規則・労働協約に定める解雇事由に基づかない解雇、有期労働契約期間 中のやむを得ない事由がない解雇、有期労働契約に係る雇止 め法理に反する雇止め」という、いわゆる不当解雇そのものです。産前産後とか、労災の休業中とかの法律で禁止されている解雇についても、裁判や労働審判で「解雇無効」と判断された時に「労働契約解消金」を払って解雇していいよという法律を作ろうとしています。

一体誰が、こんな法律が必要だというのでしょう。
今現在は、不当解雇があって、裁判に提訴して、解雇無効の勝利命令を得るとバックペイという「解雇されなければ得ていた賃金相当額」と将来に渡って「賃金を払い続けること」という命令が出されます。命令を受けて、会社と交渉して職場復帰の条件を整えるのが労働組合のお仕事の一つです。命令の前に、「和解」で「金銭解決」ということもあります。

つまり、現状、労働者には職場復帰という方法も金銭解決という方法もありますから、「労働契約解消金」が労働者を救済するというものではない事がよくわかります。
では一体、誰を救済??となると、違法な解雇を強行する経営者を救済する以外に考えようがありません。
何と言っても、どんな不当解雇でも、しかも長い長い訴訟で争った後に「労働契約解消金」を払って解雇を無かったことにしてしまえるのですし、払ってしまえば職場に戻す必要も、給料を払い続ける必要も無くなってしまうのですから、労働者の使い捨てやり放題です。

しかも、資料を読むと「労働契約解消金」の算定根拠に「企業規模」を加えるとか、不当性の高い典型的な類型解雇でも増額しないとか、「事前の集団的合意によって企業独自の算定基礎を入れる」とか、とんでも無い事ばかり書いてあります。企業規模を算定根拠にすれば、ブラック企業率が高い中小企業に働いているというだけで安く使い捨てられてしまいますし、不当性の高い解雇でも増額しないということは今では発生率が少なくなっている労災や産前産後とかの人道上も大いに問題の大きな解雇もやり放題です。しかも、「事前の集団的合意」となると、第2労務部とも言える御用組合を作ったり企業の意のままの従業員代表を使って「集団的合意」に持ち込んでしまえばその金額すらもやりたい放題です。

読めば読むほど暗澹たる思いにとらわれるこの制度設計。こんな変な法律を作らせること自体、やめにしましょう。
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2019年03月06日

「雇用類似の働き方」のセーフティネットに「下請法」「建設業法」はどこまで使えるのか

日本には現在1000万人あまりのフリーランスがいると言われており、それは国内労働力人口の約6分の1(フリーランス白書2018より)です。フリーランス、言い換えれば「個人事業主」「個人請負」「個人委託業者」として働いている人たちです。
経済産業省が言うところの「雇用関係によらない働き方」であり、厚生労働省の言うところの「雇用類似の働き方」をしている人たちです。政府が推進している「柔軟な働き方」の一つでもあります。

労働組合的観点から言うと、このフリーランス、柔軟な働き方をしている人たちの多くの実態を掘り下げていくと、実態状の労働基準法上の労働者であったり、労働組合法上の労働者であったりする事になります。

私たちの組合でも「契約上は労働者でない」方たちが増え、労働委員会などで争っています。
「雇用類似の働き方」をさせる事で「社会保険に加入しなくてもいい」「労働保険に加入しなくてもいい」「解雇責任を問われない」「労働基準法を守らなくてもいい」と言ううまみに味をしめた経営者が、実態上の労働者であることを認めたくないので争いになっています。

会社が「労働者でない」と言い張るのに対し、では「下請法」はちゃんと守っているかどうかを確認すると、これもまた守っていないのが実態です。つまり、対等な会社同士の商取引をせずに、「雇用類似の働き方」をさせて、支配下に置くと言うやり方をしているのです。

このやり方に対し、私たち組合は労働基準監督署、労働委員会という労働法分野においての声を今まで上げてきました。

そして、今回、逆アプローチで、「下請法違反の事実」を浮かび上がらせようと考えました。
今回、まず最初に手をつけようとしているのは株式会社キツタカの違反問題です。株式会社キツタカは賃貸借不動産物件の畳襖のリフォームをしています。内装業の建設業です。建設業としての東京都許認可番号を持っています。

違反事項を記載した申告書、証拠書類を揃え終わったので、昨日建設業法の監督官庁である国土交通省に電話を入れました。すると東京都の許認可番号があるので東京都建設局に行くようにと言われ、担当部署と電話番号を教えてくれました。東京都建設局の担当部署に電話を入れてアポどりをしましたが、これが結構手間取りました。

思うに、慣れていない??
労働基準監督署や労働委員会みたいに、アポなしで窓口に行って相談する体制ができていないと言うことのようなのです。
建設業法には、社会保険に加入できる請負賃でなければならないとか、著しく安い請負賃はダメだとか、書いてあります。建設業における請負のガイドラインでは、下請けのために親会社を指導してくれると言う箇所がたくさんあります。
内装も含めると、建設業に働く下請けさんはたくさんいるはずなのに、活用されていないとしたらとても残念なことです。

ただ、結論から言うと3月12日にアポイントを取ることが出来ました。

政府が「柔軟な働き方」をセーフティネットなく進めている中で、経済産業省管轄下の公正取引委員会による「下請法」、建築業における「建設業法」がどこまで請負さんを保護しているのかを確認していきたいと思います。

「請負」「委託」と言う契約名称で、親会社の都合よく働かせ、都合よく切り捨てる事にしっかりとNOと言うために、使えるものは全部使って、闘っていくしかありません。
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2019年03月04日

1990年の賃金水準は今や高賃金?

先週金曜日に、「最低賃金1500円に!」という学習会を開催しました。講師には、にいがた青年ユニオンの山崎さんをおよびしました。山崎さんは40歳前後の方です。
山崎さんが用意していただたレジュメに「クレヨンしんちゃんパパはセレブ?」という項目がありました。クレヨンしんちゃんパパの設定は「30代で専業主婦の妻がいて、子供が二人いて、車を持っていて、ローンで持ち家で、年収600万(年2回ボーナス)。」というもの。山崎さんの年代から見ると、この年収や家族構成は「セレブ」。今の30代や40代前半はもっと貧しい層がたくさんいて、これだけの年収を得られる人はごくわずかのエリート。
 でも、山崎さんよりもだいぶ年が上の私には、どうしてそういう設定なのかわかります。その設定は1980年代後半から1990年のバブル期からバブルがはじけたばかりの時代の平均的なサラリーマン家庭なんです。派遣法は成立したけれど、ほとんどの労働者が正社員だった時代。正社員のお給料が年功序列だった時代。ボーナスが当たり前にあって、退職金が当たり前にあった時代。労働組合が春闘を当たり前にやっていた時代。労働基準法ギリギリとか、最低賃金ギリギリとかがブラックな会社だった時代。
 1980年代の標準は、2020年にさしかかろうという今、セレブ。
 いやはや、なんでこんなに労働者の賃金は値崩れしてしまったんでしょう。

翌日の土曜日、青伸グループ分会という2000年に結成された分会の団体交渉がありました。
会社側の提案する新賃金体系とこの間の諸問題を一気解決するための、賃金組み立て交渉がメーンです。
会社側案に対する組合案を出して、今後さらに詰めることになりました。
交渉の流れは悪くないのですが、その時に、会社役員が一言言いました。
「他の従業員に比べて組合員のAさんとBさんだけが突出して賃金が高い」。それは逆にいうと、他の人が「安い」。
 この理由を私たち組合員は本当によく知っています。
 なぜかというと、組合を結成した2000年頃から運転労働者の賃金値崩れが社会的に発生したからです。組合はただ、定期昇給年500円を早々に妥結し、協定書化しただけです。つまり、現在「賃金が高い」と言われているAさんもBさんも2000年当時の賃金に500円×19年分が上積みされているだけなのですが、相対的にたの運転手さんの賃金が値崩れしたために「高い」と言われる結果になったに過ぎないのです。
 組合員のAさんとBさんの賃金が値崩れしなかったのは、組合に入って会社と交渉し、賃下げ提案を断ってきたからだけの事です。たまに労働委員会をやったり、たまに組合旗を出したりはしていますが、大きな争議や賃上げ闘争をしていなくてもこの結果。労働組合組合員で居続けた成果です。

私は、この役員の言葉を聞いた時、昨夜の「なんでこんな時代になってしまったのか」という疑問の謎が解けました。「労働組合の力」を労働者が使わなくなったからです。
労働組合に入っているだけで値崩れは防げるのに、入っていいなかったから、入らなかったからこんな時代になってしまっています。
今からでも遅くありません。労働組合に入って、値崩れ前の賃金水準、雇用不安のない雇われかた、そこにディンセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の付加価値をつけて、良い時代を作っていきましょう。


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2019年01月10日

嘘つき社会を変えるのは、働くみんなの力 ー勤労統計改ざんの労災保険休業補償に対する影響ー

あけましておめでとうございます。
 と言っても、年初めから権力者や国の嘘が続いてちっともおめでたくありません。私たち労働組合は、経営側の嘘に対して、「管轄省庁に訴える」ことで解決の糸口を探すことがあります。また、昨今の経営者や経営側弁護士の嘘の連発に首をひねり続けることもあります。経営者の中に「嘘をついても、騙し続けたほうが勝ち」という認識が流行っているのかと思ったら、政府官公庁にも「嘘つき」の病は蔓延しているのですね。
 とりわけ、本日報道された厚生労働省の勤労統計の15年に渡る改ざんは、データー改変ソフトまで作成していたという、計画的な「嘘」です。もはや犯罪レベルだと思うのですが、なんだってこんな国になってしまったんでしょうね。
 まず、セーフティネット利用者に対して軽く扱っていることに対する疑義が湧きます。労災給付や失業給付はセーフティネットです。職を失ったり、病気になったりしたときに、安心して次の仕事を探し、病気を治すために必要な保障です。そこには、雇用主の不法行為によって失職した時や病気になった時も含まれます。
 だからこそ、労働災害保険法施工規則第9条(給付基礎日額の特例)では四項で「前三号に定めるほか、平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる場合には、厚生労働省労働基準局長が定める基準に従つて算定する額とする。」とされ、五項で「平均賃金に相当する額又は前各号に定めるところによつて算定された額(以下この号において「平均賃金相当額」という。)が四千百八十円(当該額が次項及び第三項の規定により変更されたときは、当該変更された額。以下「自動変更対象額」という。)に満たない場合には、自動変更対象額とする」と「自動変更対象額」が定められています。さらに、第2項で「厚生労働大臣は、年度(四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)の平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計(次条及び第九条の五において「毎月勤労統計」という。)における労働者一人当たりの毎月きまつて支給する給与の額(第九条の五において「平均定期給与額」という。)の四月分から翌年三月分までの各月分の合計額を十二で除して得た額をいう。以下この項において同じ。)が平成六年四月一日から始まる年度(この項及び次項の規定により自動変更対象額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至つた場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の八月一日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。」と定めているのです。

 どういうことかというと、通常は労災保険休業給付は、労災に罹病する3ヶ月前の平均賃金から算定されます。でも、平均賃金が計算できない場合、その金額が著しく安い場合、休業が長期に渡ると罹病前の平均賃金がその後の賃上げや賃下げとズレてくることがあります。それで、今回改ざんが明らかになった「毎月勤労統計」の平均給与額が給付に影響してくるのです。

 実際に、私が担当した事件では、雇用契約書の締結されていないアルバイトとして働いて2日目の職場が火災となり毛髪が全て焼けるような重度の火傷を負った労働者のケースでは、平均賃金が計算できませんでした。そのため、最初はこの法律で書かれているところの4180円の日額計算でしたが、その後自動変更対象額の変更で上積みされました。3年ほど受給していたケースでしたが、途中からの増額でなんとか一息つけた感じで、すごく喜んでいたのを今でも覚えています。

「毎月勤労統計」による金額の変動は、大変な状況にいる人ほど直接の影響が多きいものです。労働基準法、労働基準法施工規則、労働安全衛生法などを紐解いていくと、「厚生労働大臣が定める」と記載された金額の多いこと。

 数字の後ろに存在する多くの生活を考えたら、こんな改ざんは到底できようものではありません。
権力のある国、政府機関、経営者・・。「嘘をついて」も嘘をつき得にさせないため、こんな社会を変えましょう!
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2018年12月06日

利用者の人権を守る為に、労働者の人権を尊重しよう

今日は日野市にある寿優和会という特別養護老人ホームを経営している社会福祉法人との団体交渉でした。ワーカーさんで働いているYさんが本意でない「退職届」に署名させられ、退職に追い込まれようとしている事件です。そして、「退職届を書かないと今日は帰らせない」「配置転換か退職かどちらかを選ばないといけない」「配置転換しても針のむしろ」「配置転換を断ると懲戒解雇になる」「懲戒解雇よりも自己都合退職がまし」と脅され、騙されて、退職届に署名させられた事件です。この時、「東京都」「日野市」から「求められて」いると施設長が言ったということでした。

ところが、本日の団体交渉では、法人側は「退職届を書けとは言っていない」と言いました。それならば、Yさんは働き続けたいのだから、退職届は「無かった」ことにして、勤務継続させれば良いのではないかと提案しました。しかし、法人側は退職は撤回できないと言いはります。

また、Yさんが書いた退職届に、Yさんは退職日を記載していません。
にも関わらず、法人は12月15日を退職日だとして強行しようとしています。
このことについて、退職日を決めていない退職届をもとに、12月15日を退職日としているのは解雇に他ならないと伝えると、なぜか、法人側代理人は「退職日が書いていない退職届でも12月15日退職で有効だ」と言いました。その理由を求めるとそれは「今は言えない」・・・・・。
なんなんでしょう!!

そして、団体交渉に必要な資料の提出回答も12月20日だと法人側は言います。
資料の提出を受けないまま、このままでは解雇が強行されてしまいそうです。

この法人のホームページの冒頭は「人権と個性を尊重し」と大きな文字が書いてあります。
利用者さんに向けられた言葉かもしれません。
けれども、従業員の人権を尊重しないことには、利用者さんの人権が尊重される介護が出来ようがありません。
退職の意思表示を尊重するというのは、働く現場における労働者の人権尊重の基本です。
退職する意思が無い労働者を、脅したり騙したりして退職届を出させ、民法に基づき意思表示の撤回の意思表示を労働者がしても、一旦手にした退職を強行することは、解雇よりも悪質な人権侵害です。
ぜひ、人権を大切にする社会福祉法人で、このような人権侵害を1日も早く無くしてほしいものだと思います。

私も含め、働くことと、両親家族の介護は繋がっていること。労働者が人権を侵害されている福祉現場がとても心配です。

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2018年12月04日

奥井組中労委和解しました

IMG_0015.jpg 本日、12月4日、中央労働委員会で係争していた奥井組事件が無事和解にこぎつけました。
そして、分会の和解はどこでもそうですけれど、終わりでなく始まりです。誠実な団体交渉の始まり、次のステップに進む始まり。新たな労使関係の始まり。様々な確執を超えて、良い関係を築けるようになっていきたいものです。

 この事件は、ホント、長かったです。
 2010年夏に分会を結成し、事故の連帯責任の廃止から始まり未払い残業代請求から差別のない賃金体系作りと進んで行ったのですが、2012年に2回目のデジタルタコメーターの改ざん問題が発生します。そのおり、和解のチャンスも訪れたのですが様々あって、2012年秋には労働委員会提訴と訴訟提訴となりました。
 訴訟は未払い残業代+同意のない賃金体系強制適用の差額支払い訴訟でした。これも色々ありましたが、2017年12月に無事和解解決し、納得のいく金額を支払ってもらうことができました。この訴訟解決が一山を超えた感でした。さらっと書いてしまうとこんな感じなのですが、詳しく書くと、もっと一般化されるような話です。

 そもそも、未払い残業代の発生は歩合給を支払っているから残業代の支払いが必要がないと会社が思い込んでいたことから始まりました。この近隣の会社では、同じような例が散見していましたから、近隣で同じようなレクチャーを受けて、でも法的には問題のあるやり方になっていたのでしょう。
 大型特殊車両の長距離運転手さんたちなので、日をまたいだ労働、長時間の荷待ち待機、長時間の荷積み、運行許可時間までの待機などが組み合わされ、会社に出勤してから、会社に戻るまで2週間もあったりして、労働時間管理は簡単でないことがわかりました。労働基準法的に整理すると同時に、労使間で話し合って労働時間と待機時間、休憩時間について整理していく必要のある労働実態です。
 会社に理解してもらうために長い時間を要しましたが、労働基準監督署の勧告もあり、2012年冬には賃金体系が変更になりました。この時、会社と組合は2013年2月までに賃金体系に合意するために事務折衝を重ね平等性のある賃金体系を作成しようという約束をしました。ところが、会社の事務折衝の担当者が言うことがなかなか確定しないなどの問題で2013年の夏がすぎ、秋が過ぎても新しい賃金体系が作れない中、会社が約束を反故にして非組合員らに残業代を支払って人件費が突出したので平等性のある賃金体系は作れない、と言い出しました。これは都労委で係争中に起きたことでしたが、追加申立を行い、不当労働行為であると認定され、2016年夏に東京都労働委員会から救済命令が出されました。

 都労委の救済命令が出された時、流石に会社も遵守するのではないかと思いました。しかし、会社は中労委に上告しそれから2年です。労使関係は生き物なので、申立時点で問題になっていた事のうち今でも継続していること、新しく発生したことが、都労委申立てから5年、都労委命令から2年、訴訟和解から1年の月日の中で変わってきています。そして、今まで5年間は労働委員会の期日が絶えずありましたから、期日のたびに労働委員会がこれ以上の労使紛争が拡大しないように、様々なアドバイスを出してくれていました。最初は、確か、団体交渉議事録確認についての調整でした。それまで団体交渉で言った言わないを巡って3回期日6時間ほど争いが続いていたのですが、労働委員会の中立でお互いの言い分記載して取り交わすことになりました。その後もことあるごとに労働委員会の方々にはお世話になってきました。

こんな経過の中で今回ようやく、和解です。和解勧告の内容は「当たり前」の事ばかりです。これに付け加え、公益委員から「日報改ざん、配車差別を含む差別などの組合が疑義に思っていることを会社は受け止めて対処するように」と言う一言が加えられ、後日「調書」として双方に送達されることになりました。

当該もこれを受けて、早速団体交渉申し入れを会社に行うと言っていました。

職場分会の和解はいつも終わりの始まりです。協定書を作成しても、ちゃんと会社が守ってくれないとまた、係争勃発します。それでもやっぱり、奥井組であれば分会結成の2010年の頃よりも法令を守る会社になってはいます。
次の団体交渉が楽しみです。
 

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2018年10月22日

八王子労働基準監督署にて

今日は、畳襖などの(株)キツタカの偽装請負問題で八王子労働基準監督署に行きました。申告した2月から延々と続いてます。この事件、申告時点で「請負」契約だからと最低賃金以下の労働を強いられていたのですが、なかなかキツタカへの指導が及びません。このため2月から10月にかけて、会社側は「請負」契約を幸いに、業務量を勝手に減少させたので、組合員らは兵糧攻めです。生活苦を抱えながら、「請負」契約という名前ではなく、実態で労働者性を判断してもらうために監督署を説得しなければなりません。困難ではありますが、今組合は半年以上かけて監督官に実態を理解してもらうための作業と交渉を続けています。もし、労働者が一人でこの作業をするとなったら、並大抵ではないはずです。国の役所で権力がある労働基準監督署が、弱い者の立場に立ってくれれば、こんな苦労をしなくても良いのですが。とっても残念なこの現状の中で、私たちは頑張っています。

実は、今日も、事前アポイントの様子を当該から聞き及び、ちょっとみんな憤慨していました。そんな気持ちを抱えたまま、監督官と話している時、私たちの後ろで別の人が別の監督官に怒りをぶつけていました。聞くともなく耳に入ってきた言葉は、「監督署に何度も訴えたのに、監督署が動いてくれなかったからこんな結果になってしまった」「会社が潰れたらどうするか、と言われても、こんな会社なら潰れたほうがいい」「この結果は監督署の責任だから、私は監督署相手に訴訟することも考えている」などなど。どうも私たち以上に監督署が仕事してくれずに、怒り心頭の様子。

そうだよなあ、と思いました。私たちは組合という組織を作って、監督署や会社からひどい対応があればその怒りを皆で共有し、対策を考えて、必要に応じて顧問弁護士とも相談して、関係する議員さんたちとも相談して、歩みを進めています。でも、お一人で、理不尽な事態に対応せざるを得ないときは、本当に辛いだろう思います。

労働局、労働基準監督署、こんな大事なお役所が労働者の立場に立って動いてもらうためには、やっぱり地域の労働組合の役割がとても大事です。それは、組合が様々な事案を持ち込み、解釈や対応についてきちんと監視するという役割も労働組合は担っていると思うからです。
世間では、たまに、「労働組合なんてあてにならない」という声がありますが、労働基準監督署交渉でも、訴訟でも、労働組合が果たす役割がきちんと存在します。一人で、交渉の行き詰まりを感じたら、思い切って地域の労働組合の相談窓口を尋ねて見ませんか?


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2018年08月29日

介護も一人で背負わないでくださいね

先日、ある分会の臨時大会を開催しました。女性の多い職場で、皆さん介護が大変と訴えます。ある程度年齢を重ねてくると、親も高齢化します。子育てをしながら働き続けられる職場と、介護をしながら働き続けられる職場づくりは、労働組合の大切な課題です。
 今は小康状態ですが、私自身ちょっと大変で、でも振り返ると愛しい介護の時期がつい最近ありました。
 私が仕事と介護を両立できたのは、組合という仕事の中で理解してもらえたり、融通を効かせることが出来たからです。そして、両立できたから、振り返ると「楽しかったかも」とすら思えるのですが、これが仕事を退職せざるを得ないとか、職場で針の筵になったりしたら、介護は辛く恨めしいものになるかもしれません。
 当たり前のことですが、職場の人たちの協力と、誰から辛くならないための職場環境づくりのための経営者との交渉が、当たり前の人の営みである介護を普通に行うためには欠かせません。本当に当たり前のことなんですが、「余裕」があってこそ、人に優しくなれるのが人間です。その「余裕」を組合がどのように作り出すことが出来るのか、正念場です。

私の実家の事情はこんな感じでした。
 父大正12年生まれ95歳。母昭和4年生まれ89歳。10年ほど前、父が階段から落ちて首の骨を折り、母も静脈瘤手術を繰り返す、最初の介護がありました。この時に母は障害者手帳を持つようになりました。その後はなだらかにボチボチ老いていくのだろうと思っていました。
病気は突然。
 今年2018年の1月のお正月も、年取ってきたなあって感じで過ごしました。ところが、1月17日に事務所で作業をしていると父から電話で「お母さんが救急車で入院した」と言います。姉に確認すると母は「もう死んだ方いい」と言って、苦しんでいるということ。ちょっと事態が理解できずにぼーっとしました。が、一緒に作業をしていたMちゃんから「すぐに帰って!」と言われ他ので、病院に駆けつけることが出来ました。
 様々なチューブに繋がれた母は肺水腫のために浮腫がひどく、集中治療室です。面会時間19時に間に合うように、連日仕事を速攻で終えて、猛ダッシュで横浜の病院へ!でも、通わなければ後で後悔するのが本当に怖かったです。
夕飯食べに実家に帰ろう。
 ふと気がつくと、元気のはずの父親の様子がおかしい。尋ねると「お母さんが入院してから一人でご飯食べている。会話が無い。」と言います。
 父がボケないために、姉が夕飯を作り、父と私が一緒に食べる(姉は一緒には食べない)事に。気がつくと姉も一緒に食卓を囲むようになり、何十年かぶりの家族の会話が復活していました。
いきなり失語症。
 肺水腫で入院した母の容態はどんどんと回復に向かい、2月中旬には退院できるということにまでなりました。素晴らしい生命力!なのですが、母の声が言葉にならない。あー、うー、という音にしかならない。看護師さんに言うと「もともとそう言う(つまりボケている)人なんじゃないですか」と言う。いえいえ、もともとよく喋る人で、新聞も本も読んでたし、ちょっと天然で薄らボケはあるかもしれないけど、完全にはボケてないです。姉も一緒に主治医の先生に訴え、やっと「検査しましょう」と言うことになりました。検査の結果は、「脳梗塞を発症し、失語症になった」というものでした。何も言わなかったら、「もともとボケている人」「もともと話せない人」扱いになって、脳梗塞を起こしているのに検査も治療もしてもらえなかったんだろうとしか思えません。
家族がしっかり伝えることも介護のうち
 結局母は、入院中に2回脳梗塞を起こし、一旦よくなりかけた失語症が悪化を繰り返しました。ただ、失語症は、言葉が出ないだけで他は正常です。トイレに歩いて行くことも出来るし、周りを気遣うことも出来る。内臓は丈夫です。歯も丈夫です。でも、危ないからと言う理由で、病院では一人でトイレに行かせてもらえない。食事はなぜか、全て形のない裏ごしをしたものばかり。こんな食事ばかりしてたら体が弱ちゃうんじゃないの?と言うのが私たち姉妹の感想で、姉は再三に渡り、普通食に変えて欲しいとナースステーションに訴え、ようやく改善されました。
 その後3月末に言語療法士の先生のいるリハビリ施設に移ると、どんどん言葉が出るようになって来ました。リハビリの成果、素晴らしいです。6月3日には無事に自宅に戻りました。
介護はきっと最後の、もう一度家族をすることかもしれない
 激動の半年間でしたが、いろんな事が使用前使用後のように形を変えました。
 母は食事づくりをしなくなりました。母は家事から解放され、姉と喧嘩しなくなりました。
 そして母はケアプランを立ててもらい、デイサービスに通うようになり、「お友達ができたの」と言っています。リハビリ施設入所中の向かいのベットの人とは、文通友達になったようです。
 父も母と一緒にサービスを利用するために介護認定を受けたところ、要支援1で元気なことがわかりました。
 今回の介護まで、両親と一緒に食事をする事がなかった姉が、食事の準備をして一緒に食卓につくようになりました。
一人で悩まず、相談してくださいね
 少しずつ、形を変えて、私たちは年老いて行くけれど、その時々、その時間は全て愛しい大切な時間です。また何かあったら、バタバタするかもしれませんが、私たちはendマークに向かいながら今を生きて、今の問題に対処し続けてくものだから、組合も介護も、私はきっと出来るから、安心してくださいね。
 そして、組合の人たちにも、後悔しないで介護も仕事も組合もしてもらいたいから、個人的な事、などにしないで、「余裕」が無くなりそうになったら、いつでも相談にきてもらいたいと、心から思います。
posted by 朝倉れい子 at 21:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年02月05日

こんなに未払い残業代が多いのは、何故?

以前、労働審判員をやっていた時に、未払い残業代の請求があると裁判官が「退職金の代わり」と言っていて、とても違和感がありました。残業代がしっかり払われないと、野放しの長時間労働になるのだから、退職金の代わりを未払いの残業代にしてしまったら、全く労働時間規制なんてできないじゃない!という違和感です。そして、裁判などで残業代を争う時に感じるのもこの違和感です。「お金」を労働者が請求しているから、経営側が払ってやりなさいというノリがある時があるからです。

私たち労働組合にとって、未払い残業代はブラックな会社の判断基準です。未払い残業代の存在は労働者の労働に対する正当な評価をしていないということであり、労働時間管理が出来ていないということの表れであったり、故意か無知かのどちらかで法律を理解していない会社であるということだからです。法律を知らないで労働者を働かせている会社も、法律を知っていても敢えて無視する会社も、どちらも労働者を雇うに足る会社ではありません。そして、長時間働かせてごめんね、深夜働かせてしまったけど健康は大丈夫?という気持ちも持ち合わせていない経営者であることが一番困ったことです。

以前からの傾向ではありますが、労働相談でいらっしゃる方の殆どが、未払い残業代問題を抱えています。ご本人が最初から相談項目に入れている場合もありますし、相談を聞いているうちに未払いがあることがわかったり、組合の学習会で未払いがあることに気が付いたりと、未払いの発見方法は様々です。

ただ、それやこれやで今未払い残業代の計算をしている方が、私たちの組合では全部違う職場で、10箇所近くあります。残業代請求をする場合、組合で作成しているエクセルフォーマットに始業終業休憩時間を打ち込んでもらい、確認作業をして行きます。歩合給、年間変形性、月の変形性など計算方法が異なる数式の確認で、それなりに手間がかかる作業です。就業規則に年間変形性と記載されていても、必要要件を満たしていないために請求を起こすこともあります。

ここのところ、それぞれの計算式の確認作業をしているのですが、なんだってこんなに未払いが多いのかなあ?とふと思います。思い当たるのは、労働者が大人しいから、未払いは発生するんだろうなあということです。

労働組合が結成された時に未払いがあった会社でも、労働組合の見える範囲では未払いは起こしません。それは、未払いをめぐり、組合から交渉をされたことで、組合に突っつかれないために法律を守るからです。
組合のない会社だと、就業規則に「8時間超えた時に支払う」と記載していても支払わなかったり、「みなし残業」「裁量労働」という言葉を聞いてきて残業代を支払わなくてもいいやり方だと勝手に解釈して運用していたり。一言で言えば経営側の好き放題な状態なので未払い残業代が発生しているのです。

「働き方改革」で残業抑制と言いながら、残業代ゼロ法案を通そうとしているやり方を見ると、労働者が何を言わなければうまく言いくるめて残業代支払わなくても良いと考える経営者がもっと増えそうだと思えます。経営者にも、社会にも、国にも、きちんと労働者の権利を主張しないと、どんどんタダ働きさせられて、使い捨てにされてしまいます。声をあげましょう!
posted by 朝倉れい子 at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年01月10日

今日は今年最初の団体交渉でした。2018年は我慢しない、こんなものだと思わない「働き方」をしましょう。

今日は、2018年始まってから一回目の団体交渉でした。2018年最初の労働相談の、最初の団交という、ちょっと早い展開です。
そして、内容も昨年から少し続いている、労働者性のある「個人事業主」問題です。
と言っても、今回のケースはこれまでのケースよりもより一層、ただのブラックなケースです。
と言いますのは、そもそも「請負」契約書自体が存在していないので何の仕事をどのようにしたらいくら支払うかということも、契約の始まりと終了についても、一切が決まっていなかったからです。

会社の社長さんは口約束での仕事を「業界慣習」だと言いましが、業務委託契約、業務請負契約であればその文言の通り「どのような業務」を「いくら」で行うのかが明確でなければ、労働の結果の対価物を購入する契約が成立しません。

そして何よりも、このケースの場合は毎日定時である10時に会社に出社し、7時間が所定労働時間、仕事が終わるまで会社から帰れないという労働時間管理がありました。そして、都度会社の社員の指示命令に従って業務をしていました。これは、労働の結果の対価物を購入する「業務請負」ではなく、会社が労働力を会社の支配下において使用する労働契約以外の何物でもありません。

しかも、今回のケースのことの発端は、「退職させてくれない」というものでした。こうなると名前だけ「請負」で、実体上の労働者であることはもう疑いようもありません。

今回のケースは、「退職」をめぐって「引き継ぎをしろ」「マニュアルを作成しろ」と通常業務以外の業務命令を会社が行い、その進捗状態に不満を抱いた社長が2時間に渡り恫喝した事で、当人が会社に行かれない状態になった事が引き金となって始まりました。
本当に業務請負の個人事業主であれば、恫喝は不法行為となるかどうかの争いですが、実態上の労働者ですから、パワハラによって心の病になった時は労働災害に該当します。

そもそも月80時間を超える残業で心の病を発症していたこと、そこに2時間にわたるパワハラが起きてしまい休業を余儀なくされた事。休業に当たって労働災害申請の準備はするものの、有給休暇取得申請をする事。社会保険にも未加入ですから、社会保険に加入する事。月80時間を超える残業の、対価が支払われていなかったので支払う事。などが今回の団体交渉の要求事項です。

そこで、本日の団体交渉となりました。
本日の団体交渉では、賃金を勝手に下げない事は約束してもらいました。
そして、会社が預かっていた本人名義のクレジットカードも返してもらうことができました。

会社は本人に対して人格を否定する発言、著しく心を傷つける発言をした事は「ちょっと怒鳴ったかもしれないけれど」と、発言した事すらも覚えていない様子でした。本人のメモがしっかりしていますので、今後の交渉で解決を目指したいと思います。

今日の団体交渉の一番の成果は、社長が本人に支払っているのが「給料」だと連呼した事でした。労働者だ、と言っていることにこれは他なりません。

「個人事業主」契約をしてしまったから、年休なくても、残業代もらえなくても、社会保険入ってなくても「しょうがない」と諦める前に、組合に相談してみてください。
労働時間でしか対価性が図れない業務をしているのであれば、法律上の労働者である可能性がとても高いからです。
指示された仕事が終わらなくて、会社に泊まり込んだり、タクシーで帰宅したりしているのに、もらっている給料がとっても安い、そんな場合も、法律上の労働者である可能性がとても高いです。
自分のいる業界はこんなもんだ、と思わずに、交渉しましょう。体を壊したり、心を壊す前に。
posted by 朝倉れい子 at 16:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年12月26日

労働組合という場を使って、助け合い、疲れた心を回復させましょう。

昨日25日はXmasでした。無宗教の私としては、Xmasをお祝いするのならラマダン明けも花まつりをもっとお祝いしないとね、って思います。ただ、「幸福な王子」とか「若草物語」に出てくるような、自分よりも辛い立場の人に幸せを届けようとする行事がXmasであるのであれば、年末の行事として必要なことだと思います。

労働相談をやっていると、いろんな人が訪れてきます。「助けてください」という声、「やってください」という声、「お願いします」という声から始まって、「組合費を払えばなんでもやってくれるんですよね」と言われることもあります。

たまたま、私たちの組合には専従者が居て、労働相談の担当をしていますが、これは「たまたま」です。労働組合の基本は、お互いに助け合うために力を出し合うことです。互助の精神を持つ団結が基本にあって、交渉権と団体行動権という労働3権を構成しています。基本はお互いがお互いを思い合う、助けある団結なんです。だから、組合に加入するというのは助けてもらうということではなく、助け合い支え合う仲間に入ると思って来てもらいたいのです。仲間だから、助け合えるんです。専従者は労働組合の中では、サポーターですが、仲間であることには変わりは無いので、やはり組合費を支払う組合員です。労働組合の中では、誰かが誰かのために奉仕をするということも有りません。お金を払ってサービスを買うことが当たり前になっている中で、サービスを買うのではなく、助け合うことで労働条件を向上させたり、自分の権利を回復させるという事は、馴染みにくいのかもしれません。

でも、お金を払ってサービスを買う事は、圧倒的にお金をたくさん持っている経営者に有利な事です。労働組合はお金を払ってサービスを買うのではなく、組合員通しの助け合いによって権利を獲得していくところに強さが有ります。そして、お金を払ってサービスを買うことの方が簡単そうに思えるかもしれませんが、それは金の切れ目は縁の切れ目。お金が無くなったりして困った時には、そのサービスは買うことができません。けれども、団結の積み重ねによる人と人との信頼があれば、困ったときに差し出してくれる手があります。

明日も、事業主のパワハラに翻弄されて身も心も疲れ果てて組合を尋ねて、組合員となったAさんの団体交渉があります。その団体交渉に、昨年の今頃、上司のパワハラで休業を余儀無くされてた他の組合員Bさんが参加してくれることになりました。先日開催した個人加入組合員のための会議の忘年会で、緊張の糸がほぐれないAさんに、Bさんが「私も昨年は会社にも行けなくなっていたけど、今は組合の交渉と取り組みでパワハラの謝罪を受けたから大丈夫」と話してくれていました。助けられた人が助ける側に回り、また助けられるという、助け合いの連鎖が続いていく事。このことこそが、労働組合の専従をやっていて良かったと思えることです。

一人で棘を出し続けていても疲れるだけです。おんなじように辛い目にあった仲間と労働組合で巡り合って話をするだけでも一歩前に踏み出せます。辛さを抱えたまま年を越す前に、来年に向けて一歩前に踏み出す準備をしましょう。
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2017年12月13日

ひどい社会になっても労働組合は負けない

とんでもない法律が出来たり、世の中が悪くなっていくときは、法的には灰色状態の劣悪な労働環境が法改悪によってホワイトに脱色されます。

先週の土曜日、12月9日は私たちの労働組合の第6回定期大会でした。今年、2017年は2件の都労委勝利命令があり、2件の都労委和解があり、二つの新組合結成があり、振り返ってみるとなかなか前進できた年でした。組合員も増加し、大会出席者も増えました。昨年と同じ会場で大会を開催しましたが、広さがギリギリになっていて、来年はもう少し大きい会場でやらないとダメかな?なんて、希望的観測です。

労働組合というと、正社員の男性が中心で運営されているという、旧態依然としたところもありますが、私たちの組合はそもそも女性が中心。だから非正規労働者の割合も多い組合です。多摩地域という、東京でも23区内とは異なる生活中心の街での労働組合なのが私たちです。学校、病院、小売店という生活の周辺の職場で働く人たち。23区内に比べて土地代が安いということで車庫や倉庫を必要とする業種で働く人たち。暮らすことと働くことが近くにあることは、田舎ということなのかも知れませんが、とても好ましい事だと私は感じています。けれども暮らすことに近い労働の対価がなぜが安いという、世の中の不思議。多分、正社員の男性中心の労働組合よりも、平均賃金も労働条件もよくありません。ただ、その分、世の中の風を敏感に受け止めることができる労働組合になっています。

今年の大会に来賓でいらした某官公労の方が、「年功序列賃金が廃止されようとしている」と訴えていました。でもそれは、1990年代になろうとした頃に前川レポートが描いた当時の10年後の社会の話。前川レポートが描いた「自由な労働力移動」の世の中は、男女雇用均等法による母性保護の廃止で女性にも長時間労働の途を開き、労働者派遣法でアウトソーシングを進め、少数の正社員と多数の非正規雇用という使い捨て労働力市場を形成することで2000年代頭には完成しています。私はその頃すでに労働者で、労働組合にも加入し、労働争議中でしたが、「働きすぎの男性社会に女性労働力を投げこみ、労働者を雇用身分で分断する動き」が1980年代後半から先行実施されている様を肌身で感じていました。朝5時からの市場での朝売りにスカートで行き定時の17時過ぎまで働くことが、「わが社のキャリアウーマン」という言葉と引き換えに強制され、平社員の正社員でも請負業者を「使う立場」になって偉くなった気持ちになっていたりするのを知っていたからでした。労働者派遣法の施行から33年間。長時間労働で死亡する女性の労災問題が特殊な事件ではなく、正社員は派遣や契約やパートが出来ない仕事をする特殊な人にさせられようとしています。

今年、私たちの組合には、「しあわせ分会」という名前の株式会社キツタカで「請負」業者として働く労働法上の労働者の人たちの分会が出来ました。この分会は、正社員、請負、孫請けで構成されています。そして、ダブルワークをして帰宅途中に倒れてしまった母親の社会保険加入のために組合に加入した高校生がいました。今期は、他にも母親の労働相談に付き添ってきた高校生、フィールドワークで組合に話を聞きにきた高校生もいました。全て私たちからすると自然な流れなのですが、別の某官公庁で働く大会来賓の方から、「ちょっとびっくり」の組合員構成だと言われました。でもこれは、「働き方改革」「働き方革命」が描く未来の入り口です。年収850万円の人が増税され個人事業主が減税されるという事態からも、労働法の保護からこぼれ落ちる働き手を作り出そうとする国の意図がミエミエです。でも、私たち労働組合は「労働法の保護からこぼれ落とされた」ように見える働き手に、本当はこぼれ落ちていない事実を伝えていくことができますし、一緒に闘うことができます。自分は労働組合に入れないんじゃないか?と思っていても、まずは相談してみてください。以外と道が開けるかもしれませんよ。
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2017年11月29日

冬のボーナス査定、会社と交渉してみませんか?

今日午前中に、都労委で昨年の冬のボーナスの査定をめぐり申し立てた事件が解決しました。そして、今午後15時から、中央労働委員会で奥井組事件の期日です。和解に向かっているかに思えた奥井組事件でしたが、今日の午前中に今年の冬のボーナスの査定が不平等だという問題が勃発し、和解に暗雲が立ち込めています。

ボーナス査定、金額にするとそんなに大きな金額ではないこともよくあります。でも、労働者に落ち度がないのにマイナスの評価を付けられること自体が許せない、その気持ちはお金だけの問題じゃあないです。というのは、マイナス査定って、査定という名前の悪口だったり、査定という名前のハラスメントだったりするからです。

奥井組では以前に査定の悪い理由を「痩せているから」と言われた組合員がいました。別の組合では以前に「理由はないけれど、他の人の査定をよくするために下げた」と言われた人がいました。本日都労委で和解した事件では、他人のミスを自分の責任にされたり、上司の思い込みや好き嫌いでゼロ円になるような査定をされました。
査定をめぐる問題が、この一時金の季節には本当にたくさん出ます。そしてそれを訴える組合員はみんな、「侮辱された!」と怒っています。査定制度はその運用を一つ間違えると、人間の尊厳がお金に紐つけられる制度になってしまうのです。そして、この「好き嫌い」査定をつけた上司は、ハラスメントをした上司と同様に、人の心を傷つけた事に対して無自覚です。場合によっては、「自分の仕事だから」と言い訳をする上司もいるかもしれません。仕事だとしても、会社のシステムだとしても、働く人のモチベーションを上げるボーナス支給でかえってモチベーションを下げてしまったら逆効果ですよね。

仕事、システム、どれもがそれを命令する人がいて、それを作り上げる人がいます。だからそれは、良い方向に直すこともできれば、止めることもできることです。

ボーナスが出るかどうか、出てみないとわからない。どうしてその金額になるのか、聞いたことがない。有給休暇を取得するとボーナスが減るという噂がある、そんな時は組合に相談してください。

組合はボーナスについて、「基準内賃金×支給月数」「支給日」などの要求を出します。そして、団体交渉で「ボーナス支給のための原資総額」「支給額平均値」「平均年齢」「具体的な査定システム」について経営者から説明を受け、交渉をしていきます。そのような事を十分に説明しない会社は、労働組合法第7条2項の「誠実な団体交渉」をしていない会社、つまり法律違反をしている会社という事になります。

ボーナス、ワクワクしながら不安になりながら、ただ待つだけよりも、きちんと交渉してみませんか?


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2017年10月25日

有給休暇使用は、今年分から?前年分から?

労働基準法115条に「2年の消滅時効」が明記されていることから、前年度の未消化有給休暇分+今年度の付与日数が使える有給休暇日数であることは結構知られていることです。
そして、私たちが交渉で拝見する就業規則はそのほとんどが、時効は2年と記載されています。

 ところが、ある現在私たちの組合と紛争中の会社の就業規則には、「今年度分からの支給」が明記されていました。この記載は、労働者にとっては、有給取得日数によっては、前年度分の付与日数を捨てることになってしまい、不利益です。
 昭和22年12月15日基発501号など、菅野和夫著「労働法」などで労働者が不利益となるような取り扱いは認められないとなっており、「繰り越された年休」つまり前年度分の有給休暇から行使されるべきものなので、実際に有給休暇が今年度分から消化させられ、組合員が不利益を被ったら労働基準監督署に申告しようと、準備していました。
 ただ、この就業規則が誤った記載となっていた会社は、団体交渉でその誤りを認め、就業規則は今後変更すると言ってきましたので、組合としては取り組みをする必要がなくなりました。

 あの就業規則の記載は何だったんだ??と思っていた矢先、新たな事実が判明しました。それは青梅に所在する某会社の団体交渉終了後、会社側社会保険労務士さんが電話をかけてきて言った言葉でした。「社労士協会では有給休暇は今年度分からの使用をすると決まっていまる」「前年度繰越分から使用させるとは労働基準法に書いていない」「(菅野和夫さんや荒木尚志さんなど)学者が書いた本など問題にしていない」「基発があるというなら見せてもらいたい」これは全部社会保険労務士さんが言った言葉。そういえば、「今年度分から消化する」と記載された就業規則も社労士さんが作成したもの・・・。もし本当に、この青梅の会社の社労士さんが言ったように、社労士協会で、「学者が何を言ってても」「法律本文に記載されていなければ」労働者に不利になるように今年度分からの使用をさせると決めているのであれば、とんでもないことです。

 私たちの組合でも、他の組合でもそうでしょうけど、団体交渉や労働基準監督署段階で解決しない問題があり、時効が絡めば訴訟に移行します。社労士さんが言われる「学者の本」は、判例を研究した上で記載されているものです。裁判所の判断を無視して、目先の「会社の利益」を売りにすれば、行き着く先は、「会社の不利益」「労働者の不利益」です。

 東京弁護士会労働法制特別委員会編著の「新労働事件実務マニュアル」でも「繰り越された年休から行使されると解釈される」と記載してあります。

 青梅の会社の社労士さんが言うように、社会保険労務士会だけが、有給休暇使用に関して独自の見解を会社や労働者に押し付けようとしているのだとしたら、ここは労使が泥沼に入らないように、その社労士さんの見解を引っ込めてもらうようにしないといけないですね。困ったものです。
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2017年10月03日

権力に群がらなくとも、権利を確立しよう

7月から係争事件の書類作成が続きました。
 7月には白百合クリーニング事件の中央労働委員会で会社側が都労委命令の取り消しを求めて92ページもの補充申立をしたため、その反論書きが皮切りでした。2015年に組合が作成したyou tubeが2017年2月の行動のものだと主張していたり、時系列的にも誤りの多い書面だったのですが、反論を書かないことにはそれらを認めてしまうことになります。ここにも嘘が!なんて言いながら52ページの反論を書きました。おそらく弁護士さんが記載したのでしょうけど、社長名で出された会社側補充申立は同じ内容の時系列の間違いがなんども繰り返されていて、読むのがすごく辛かったです。時系列は資料をきちんと読めばばわかること。それを2年くらい平気で超えてしまうのは故意なのか、資料をきちんと読んで当いないからかどちらかです。嘘をついてまで、都労委命令が間違っていると言うのは人間としても如何なものかと思いますが、もし資料をきちんと見ないで記載していたのであれば、職業人としても心配ですよね。社長も弁護士さんも、もちろん組合も、嘘のないところで向かい合わなければ、何一つ前進しません。それに、今回の会社の補充書面の嘘はバレる嘘です。すぐにバレるような嘘は評価を貶めるもの。人を使う立場の人にはすぐバレる嘘はついて欲しくないですね。そんな気持ちでニュースを見ると、首相が嘘をついていました。日本はいつから首相から弁護士から、社長から、嘘つき社会になってしまったんだろう、そんな暗澹たる気持ちでした。
 そして、7月は終わり、8月から9月にかけては木村建設事件の最終陳述書作成でした。
 2015年9月に起きた木村建設解雇事件から早2年。2年越しの結審です。不当労働行為事件申立から2年と1ヶ月が経過した結審です。この事件、組合結成通知から2ヶ月で組合員全員解雇と言う事件です。しかも、その間の社長の「組合辞めるか、会社辞めるか、どっちか選べ」と言う恫喝が録音されたりしていますから、早々に命令になるとばかり当初は思っていました。ところが、会社側の引き伸ばしが延々続き、結審まで2年を超えてしまいました。昨年夏には残業代の1部が支払われましたが、解雇されたのちの生活は皆大変です。とにかく勝たないことには、解雇された組合員らが借金で生活していいますから、その借金返済すらできません。さらに、組合結成したら解雇されるような職場に働き続ける人たちも大変です。組合結成したら解雇してはいけない、と言うこの当たり前のことが当たり前になるように、どうしても勝たないといけない。そんな思いで、まとめ上げて見たら84ページにもなりました。なんとか結審も迎えることが出来、あとは勝利命令だけです!しかしまあ、この事件、代理人さんが4人も付いていまして、さらに、仕事で労働委員会に証人出席した従業員が5人、調査にも出席した従業員が4人。従業員が20数名の会社としては非常に高い比率です。費用をつぎ込んでも組合を潰したい社長と、お金持ちの社長にペコペコする人たち。これもまあ、日本の縮図ですね。
 7月8月と書面作成に追われる最中、エイコーという酒問屋さんで、暴力を伴う不当労働行為事件が発生してしまいました。労働委員会事件が解決に向かうかと思われたところだったので、非常に残念です。しかも、その証拠を残そうとしたことを持って懲戒処分までしてきました。証拠がなければ「やっていない」とこれまでも言っていたので、団体交渉で録音を残すことで合意していたのですけど。この件の追加申立10ページもようやく終わりました。小さい会社では感情がぶつかりあいやすい事もわかりますけれど、人事権という権力を使って、事実を捻じ曲げようとしたり、自分の感情を満足させようとすることは、他人の人権を踏みにじることです。それをパワーハラスメントと言いますし、労働組合憎しで行えば、不当労働行為です。

 なんだか最近の社会全体が、弱いものいじめの社会になり、権力や力がないと何も出来ないとばかりに、権力に群がろうとする人たちが目につくようになっています。権力者のわがままな解散で選挙が始まります。権力に群がらなくても、権利を確立するための声を上げていきましょう!
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2017年07月11日

「うちの会社もアベ政権と同じ!」と思ったら、組合作るしかないでしょ!

先週、労働相談に見えた方が頻繁に「うちの会社は本当、アベ政権と同じなんですよ」と繰り返し言われたので、すっかりそのフレーズが頭の中にこびりついてしましました。

 どういう意味かというと「お友達で役員やって」「誰も責任取らなくて」「嘘ばかり言ってごまかして」「それで、弱い立場の人をいじめるんです」ということでした。あー、そういう会社、多いよねー。と相槌を打ちましたが、今はもう日本中、そんな病気になってしまったんでしょうか・・・・。でもそれって、会社経営、危ないんじゃないの?
いじめらた人が立ち上がるのはそれは当たり前のことだけと、そんな会社でいじめられる人を見ているだけになってしまったら、その会社、未来厳しいですよね。働き続けたいと思ったら、労働組合作って反撃しようって、みんなに声かけてくださいね。と言って、その労働相談は、彼がもう一人に声をかけたのちに、再度いらっしゃることになりました。
でも本当に、これは今、危機的な話。
会社レベルでも危ない状況だし、それが日本社会全体に蔓延しているわけですから。

 私たちが子どもの頃(まあ1960年代ですよ)、「嘘はついてはいけない」「強い責任感を持たないといけない」「弱いものいじめはいけない」「弱きを助け、強きを挫く」というのが、ヒーローの条件でした。そんな優等生なんか、ケッツ!と思っても、強い者におもねる忖度なぞ、超かっこ悪いことだったはず。まあ、あんまり責任感強すぎても疲れてしまうからそこはほどほどにするとしても、やっぱり最低、政府や会社が嘘つきでは、どこに信頼関係や信義則を見出せばいいのかわからなくなってしまいます。それはやはり、様々な意味でのシステムの崩壊です。

 今現在は、無理無理のアベノミクスも公的機関の買い支えの株価が上昇で、賃金消費の伸びない横ばい回復景気が続いていますが、資本主義の原則で好景気の後ろには、不況がやってきます。労働者の労働条件を低く抑えることで、無責任経営でもなんとか景気回復期には運営されていても、不景気がやってくるとそういう会社がバタバタ行ってしまうことは、過去に何度も経験してきていることです。
 今現在で、アベ政権のような会社であったら、自らの失敗のツケを労働者にしわ寄せしてくることはこれはもう必至です。賃上げ、ボーナスが交渉議題に上がり、ボーナス払うかわりに労働者を「査定」したい会社が増えている今、労働組合を作って、交渉の準備を始めましょう。

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2017年07月05日

お金をかけて運用できない査定システム作って、労働者をいじめるなんて・・・E社の不当労働行為事件

今日は、中野区にある酒問屋さんの事件で、労働委員会第1回目の期日がありました。この事件、「普通」であれば、労働委員会などで争うことなく解決していて不思議でないような事件です。
 事件の概要を書くと、ざっとこんな感じです。
 昨年の4月にAさんが上司から口頭で解雇通告されました。しかし、この解雇は社会的合理性のない解雇でしたので、本人が不同意の意思表示をしたところ、即日で撤回されました。ただ、Aさんは入社からすでに3ヶ月が経過していたのですが社会保険、労働保険に加入してもらえていませんでしたし、雇用契約書を示してもらっていなかったので、働き続けることに不安を感じて、私たちの組合に加入しました。そして団体交渉を重ね、解雇撤回を確認する協定書を締結し、会社は社会保険加入、労働保険加入を速やかに進め、雇用契約書を作成し、Aさんの育児時短についても就業規則の繰り上げが合意し、一見順調に進んだかのように見えました。
 ところが、団体交渉では法律遵守に向けた回答をして来た上司は、団体交渉外ではAさんに色々と細かい嫌がらせを続けていて、Aさんは昨年年末には休業せざるを得なくなってしまいました。休業に入る1ヶ月ほど前に冬季一時金要求書を出していましたが、会社からの回答は「検討中であり、決定次第連絡します」ということでした。
 その後、今年の1月になってから会社は査定の結果0円との回答を出して来ました。査定をめぐる交渉を5月まで続けて来ましたが、会社から出される資料が、交渉後の今年になってから後付けで作成されたものが続き、誠実説明義務に違反する内容でした。また、この0円が組合差別だということで、労働組合法第7条1、2、3項目違反で本件申立に至ったものです。

不当労働行為としては、以上のような感じなんですが、答弁書、今日の調査期日でさらなる「不思議」が出て来ました。
というのも、会社が行なった査定表は、個人面談による目標管理をして査定を行うシステムなんですが、そもそも査定対象期間前に、目標面接も行われておらず、目標設定もなく、二次評価者の評価も記載されていない、いわば、活用されていない評価制度だったのです。この間の団体交渉でこのことは再三指摘して来たのですが、今回わかったのは、そもそも査定で0円にしたのではないこと、この査定システムは2015年にコンサルタントに頼んで数百万円もかけて作成したものだということです。

15人くらいの従業員数の会社ですから、査定システムが機能していなくても何の不思議もないですし、そもそも、必要なのか??というくらいのものです。
なのに、わざわざ数百万円もかけて査定システムを作り、今はすでに2017年冬季一時金の対象期間ですから2年も機能させることなく、1従業員をいじめるためにだけ、査定形式を利用するというこのすごい「無駄」と「意味のない行為」に頭がクラクラして来ます。
会社から資料として出されたコンサルタントの作成した資料を読むと、「従業員の活性化を目標とする」と書かれています。それをこんな、真逆のことに使うなんて・・・・

今回も、自主交渉で何とかまとめようとして来ましたが、会社側がとても頑なで東京都労働委員会申立という結果になってしまいました。お金をかけて、評価制度を入れて、従業員の活性化を測ろうとするその前に、そのお金があれば、労働法をまずは守る、労働基準法をまずは守る、そこから始めるのが順序です。そして、労働者が会社で働くことが、病にならないように配慮してもらえれば、パワハラなど問題はなくなります。評価制度をきちんと運用するためには、お金も時間もかかります。お金と時間をかけて従業員をいじめても、会社の利益は出ません。労働者に後付けの捏造資料を提出して平然としている姿勢は、企業としての誠実さも問われます。
最近、少しお金に余裕が出ると、労働者の賃金は上げずに、査定システムを作成しようとする会社がいくつか見受けられますが、もう少し働く人の気持ちに寄り添ってもらいたいものだと思います。

 
posted by 朝倉れい子 at 19:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記