その一つが、ボーナス支払いに関する会社の交渉応諾義務です。
東京都労働委員会からの救済命令は、@「組合が結成された事により、『弁護士代がかかる』としてボーナスを支払わない」と社長が述べたことが支配加入である。A組合が結成されたことにより「ボーナス」を半減したことが不利益取り扱いである。というものです。
これに対し、会社側が反論しているのは「ボーナスの支払いは社長の裁量なので、支払うも支払わないも、社長が決めることだから、払わなくとも半額にしても不当労働行為にはならない」「ボーナス支払いは就業規則に記載していない」ということです。
それで組合は次のように反論しました。
@就業規則は周知されていないと効力がない(木村建設では不当労働行為があった2015年夏時点で就業規則を見たことがある従業員がいなかった)ので、就業規則の記載は関係ない。
Aボーナスを年3回支給することが、求人票に記載されているので、ボーナス支給は入社時に契約した労働条件である。
B毎年前年支給分よりもUPした金額で支給されているので、ボーナス支給を見込んでローンなどを組んでいる。従業員らは支給されることについて期待権を持っている。
木村建設の場合、上記に記載した通りの事情で「組合結成」を理由に「支払わない」とすることや「前年半額支給」とすることが不当労働行為になるわけです。
そして、不当労働行為ばかりでなく、ボーナス交渉の請求根拠もここにあります。
そもそも、ボーナス支給は法律に義務として定められたものではありませんが、労働条件問題なので会社側に団体交渉応諾義務があります。就業規則に定めていても、いなくても、誠実に団体交渉を開催しなければならない事項です。就業規則に支払わないと決めていても、就業規則変更要求も含めて、会社は誠実に団体交渉に応じなければなりません。木村建設のように、「社長の胸先三寸で支給額を決めている」という中小企業であれば、その社長の胸先三寸の内容をわかりやすく組合に説明しなければなりません。そして、「胸先三寸」といえども、以下の内容は回答してもらわないと、組合は妥結の判断が難しくなります。
@全社員への支給総額
A平均支給額(平均年齢)

B勤怠査定の有無と査定基準
C考課査定の有無と査定基準
会社の経営状態が厳しいから出せないなどの回答があったら、経営資料を出してもらいましょう。
経営数字を読み込んで、ボーナスを出せる余地があるのかないのか、組合としても検討してしっかり交渉をしましょう。
今月7月21日(土曜日)の組合交流会は、経営資料の読み方をやります。組合のスキルをアップさせて、ボーナスUPに繋がる交渉をしていきましょう。