2017年07月11日

「うちの会社もアベ政権と同じ!」と思ったら、組合作るしかないでしょ!

先週、労働相談に見えた方が頻繁に「うちの会社は本当、アベ政権と同じなんですよ」と繰り返し言われたので、すっかりそのフレーズが頭の中にこびりついてしましました。

 どういう意味かというと「お友達で役員やって」「誰も責任取らなくて」「嘘ばかり言ってごまかして」「それで、弱い立場の人をいじめるんです」ということでした。あー、そういう会社、多いよねー。と相槌を打ちましたが、今はもう日本中、そんな病気になってしまったんでしょうか・・・・。でもそれって、会社経営、危ないんじゃないの?
いじめらた人が立ち上がるのはそれは当たり前のことだけと、そんな会社でいじめられる人を見ているだけになってしまったら、その会社、未来厳しいですよね。働き続けたいと思ったら、労働組合作って反撃しようって、みんなに声かけてくださいね。と言って、その労働相談は、彼がもう一人に声をかけたのちに、再度いらっしゃることになりました。
でも本当に、これは今、危機的な話。
会社レベルでも危ない状況だし、それが日本社会全体に蔓延しているわけですから。

 私たちが子どもの頃(まあ1960年代ですよ)、「嘘はついてはいけない」「強い責任感を持たないといけない」「弱いものいじめはいけない」「弱きを助け、強きを挫く」というのが、ヒーローの条件でした。そんな優等生なんか、ケッツ!と思っても、強い者におもねる忖度なぞ、超かっこ悪いことだったはず。まあ、あんまり責任感強すぎても疲れてしまうからそこはほどほどにするとしても、やっぱり最低、政府や会社が嘘つきでは、どこに信頼関係や信義則を見出せばいいのかわからなくなってしまいます。それはやはり、様々な意味でのシステムの崩壊です。

 今現在は、無理無理のアベノミクスも公的機関の買い支えの株価が上昇で、賃金消費の伸びない横ばい回復景気が続いていますが、資本主義の原則で好景気の後ろには、不況がやってきます。労働者の労働条件を低く抑えることで、無責任経営でもなんとか景気回復期には運営されていても、不景気がやってくるとそういう会社がバタバタ行ってしまうことは、過去に何度も経験してきていることです。
 今現在で、アベ政権のような会社であったら、自らの失敗のツケを労働者にしわ寄せしてくることはこれはもう必至です。賃上げ、ボーナスが交渉議題に上がり、ボーナス払うかわりに労働者を「査定」したい会社が増えている今、労働組合を作って、交渉の準備を始めましょう。

posted by 朝倉れい子 at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年07月05日

お金をかけて運用できない査定システム作って、労働者をいじめるなんて・・・E社の不当労働行為事件

今日は、中野区にある酒問屋さんの事件で、労働委員会第1回目の期日がありました。この事件、「普通」であれば、労働委員会などで争うことなく解決していて不思議でないような事件です。
 事件の概要を書くと、ざっとこんな感じです。
 昨年の4月にAさんが上司から口頭で解雇通告されました。しかし、この解雇は社会的合理性のない解雇でしたので、本人が不同意の意思表示をしたところ、即日で撤回されました。ただ、Aさんは入社からすでに3ヶ月が経過していたのですが社会保険、労働保険に加入してもらえていませんでしたし、雇用契約書を示してもらっていなかったので、働き続けることに不安を感じて、私たちの組合に加入しました。そして団体交渉を重ね、解雇撤回を確認する協定書を締結し、会社は社会保険加入、労働保険加入を速やかに進め、雇用契約書を作成し、Aさんの育児時短についても就業規則の繰り上げが合意し、一見順調に進んだかのように見えました。
 ところが、団体交渉では法律遵守に向けた回答をして来た上司は、団体交渉外ではAさんに色々と細かい嫌がらせを続けていて、Aさんは昨年年末には休業せざるを得なくなってしまいました。休業に入る1ヶ月ほど前に冬季一時金要求書を出していましたが、会社からの回答は「検討中であり、決定次第連絡します」ということでした。
 その後、今年の1月になってから会社は査定の結果0円との回答を出して来ました。査定をめぐる交渉を5月まで続けて来ましたが、会社から出される資料が、交渉後の今年になってから後付けで作成されたものが続き、誠実説明義務に違反する内容でした。また、この0円が組合差別だということで、労働組合法第7条1、2、3項目違反で本件申立に至ったものです。

不当労働行為としては、以上のような感じなんですが、答弁書、今日の調査期日でさらなる「不思議」が出て来ました。
というのも、会社が行なった査定表は、個人面談による目標管理をして査定を行うシステムなんですが、そもそも査定対象期間前に、目標面接も行われておらず、目標設定もなく、二次評価者の評価も記載されていない、いわば、活用されていない評価制度だったのです。この間の団体交渉でこのことは再三指摘して来たのですが、今回わかったのは、そもそも査定で0円にしたのではないこと、この査定システムは2015年にコンサルタントに頼んで数百万円もかけて作成したものだということです。

15人くらいの従業員数の会社ですから、査定システムが機能していなくても何の不思議もないですし、そもそも、必要なのか??というくらいのものです。
なのに、わざわざ数百万円もかけて査定システムを作り、今はすでに2017年冬季一時金の対象期間ですから2年も機能させることなく、1従業員をいじめるためにだけ、査定形式を利用するというこのすごい「無駄」と「意味のない行為」に頭がクラクラして来ます。
会社から資料として出されたコンサルタントの作成した資料を読むと、「従業員の活性化を目標とする」と書かれています。それをこんな、真逆のことに使うなんて・・・・

今回も、自主交渉で何とかまとめようとして来ましたが、会社側がとても頑なで東京都労働委員会申立という結果になってしまいました。お金をかけて、評価制度を入れて、従業員の活性化を測ろうとするその前に、そのお金があれば、労働法をまずは守る、労働基準法をまずは守る、そこから始めるのが順序です。そして、労働者が会社で働くことが、病にならないように配慮してもらえれば、パワハラなど問題はなくなります。評価制度をきちんと運用するためには、お金も時間もかかります。お金と時間をかけて従業員をいじめても、会社の利益は出ません。労働者に後付けの捏造資料を提出して平然としている姿勢は、企業としての誠実さも問われます。
最近、少しお金に余裕が出ると、労働者の賃金は上げずに、査定システムを作成しようとする会社がいくつか見受けられますが、もう少し働く人の気持ちに寄り添ってもらいたいものだと思います。

 
posted by 朝倉れい子 at 19:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年06月15日

恐ろしくて物が言えない事に慣れていませんか?

共謀罪が強行採決されてしまいました。
戦争法案同様、反対意見は聞かない、民主主義的手続きは踏みにじる、法体系の美しさなどの全く度外視。至るところにあるテレビカメラで監視をされて、メールや電話も全て筒抜けが昨日までの日本でしたが、ここに、目配せやいいねでも罪に問われる法律が完成したのです。
ジョージ・オーエルの1984年の世界が今日からの日本です。
と言っても、昨日までの世界が自由に物が言える世界であったかというと、私たちは今までも長い時間をかけて「恐ろしくて物が言えないこと」に慣れてきているように思います。

 つい先日も、山手線の車両に監視カメラがつけられましたが、それを自分たちが監視されているのではなく、痴漢や犯罪から守ってくれるいう評価もあると聞き、驚きました。痴漢や犯罪にあった時、監視カメラで見ている向こう側の人が直ちに助けに来てくる保証も約束もどこにもありません。痴漢や犯罪から身を守るのは、声を上げる自分自身であり、声を上げる自分自身を隣でサポートしてくる近隣に所在する人たちです。もし仮に、監視カメラの向こうで見ていてくる人が、痴漢や犯罪に気がついてやって来てくれたとしても、来てくれた時にはすでに被害は起きているのです。被害を防ぐのは自分自身であり、思いやりを持って、他人を助けようとする隣の人であることを忘れているのではないでしょうか。また、監視カメラがあれば、犯罪や痴漢を未然に防げるんだよという声もあるかもしれません。けれど、毅然とした態度と、人の目が注意をすれば、カメラなどよりもよほと威力があるはずなんです。
 監視カメラを、「守ってくれるもの」と勘違いしてしまうのは、「物を言えない」「声を上げれない」「毅然とした態度が取れない」自分自身だからであり、そして何よりも隣に立っている人、隣に座ってくれる人が声を上げる自分を助けてくれないという、絶望感に似た人間不信がある気がします。

 この隣の人よりも監視カメラの方が助けてくれるという感覚は、働く現場で日々起きています。有給休暇が取れない、残業代が払われない、という簡単な労働基準法違反でも、会社に要求したらどんな報復されるかわからないと、要求できずに悶々として退職後に残業代請求をする労働者がいます。本当はこんな会社、ブラックだな、おかしいな、と思っても、自分が声を上げるなんて恐ろしいし、黙っていても誰かが言ってくれるかもしれない、場合によっては労働基準監督署が査察に入ってくるかもしれないしと思い続けるうちに、ブラックな労働条件に慣れてしまい、うちの会社もまんざら悪くないって思うようになることもよくあります。でも、労働者が声を上げない言い訳をいっぱいするうちに、労働者の話を聞かない、自分だけが正しいと思い込むブラック企業の社長を育ててしまうんです。ブラック企業のワンマン社長の元で苦労するのは労働者。だけれど、ブラック企業のワンマン社長を育ててしまうのも、物を言わない労働者。

 この日本は、民主主義を破壊し、子供っぽい振る舞いも、わがままな振る舞いも恥ずかしいと思わない独裁政権を育ててしまった。でも、私たちは今、物を言わない事に慣れてしまっているだけのこと。
まだ闘えるし、社長や政権を変えることができる力を持っています。
身近な仲間や、お隣の人が、会社や上司や痴漢から嫌なことをされている時、あなたではない他の人を守るために動くことができれば、それは変えていく第一歩です。
posted by 朝倉れい子 at 16:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年05月31日

長時間労働と自己責任はどちらも病気の元

 2月から4月末にかけて、私の労働組合のお仕事では、労働委員会の審問続きでした。殊に4月は3回も審問がありましたから1ヶ月は神経が張り詰めていました。まあとっても忙しい日々でもあったので、土日もほとんど仕事でした。
 そんな訳で、5月の連休が明けて、週末に何もない土日があることの開放感と言ったらありませんでした!とっても気が楽な開放感。張り詰めていた緊張の糸がほどけた途端に、風邪菌に取り憑かれてしまい、発熱を繰り返しているうちにもう6月です。でも、この発熱、風邪は、結果として体を休養させることになり、溜め込んだ疲労物質をデトックスすることにもなりました。ただ。もし、土日も休みなしの長時間労働があと1ヶ月、2ヶ月続いたら、と考えると危険だったなあとしみじみ思います。私の仕事の場合、日常的な業務はある程度の自己裁量による労働時間の調整が可能なのですが、審問や書面作成などは全て完成させる期日が定まっていますから、こればかりは自己裁量の幅が少なくなります。体の具合がどうであろうと、作業の進捗状況がどうであろうと期日には間に合わせなければなりません。そういう仕事です。
 裁量権や自己決定権の無い、過重労働がベースに過労死や過労性疾患があることを自分自身の仕事から図らずも検証してしまいました。

 ただ一つ、最近多い心の病のケースとは決定的に違っていることがありました。
 それは、「長時間労働に成るのは自分の仕事が遅いから」「長時間労働をするのは仕事ができない人だから、それを隠すように仕事をしなければ」などという、仕事を自己責任の尺度で測る物差しがないことです。仕事量が多いから長時間労働になっている、長時間労働は自分の責任ではない、とはっきり言い切ることができるのは、心の衛生上ものすごく必要なことです。
 昨今の労働時間規制が、残業時間を短くする、早く帰ることを奨励するだけのことになっているようで、とても気になります。そもそもの仕事量が適正にされなければ、労働者の自己努力だけで労働時間を縮小しようとしたら、単なる能力論になるだけだからです。能力論は、無言の無理を強いる重圧です。できているフリ、能力のあるフリという、嘘を重ねる中で、人は病んでいきます。
 ありのままの事実を恐れずに言える職場であるかないかは、心の健康と職場の改善に不可欠です。それが出来る職場って、きっと、労働組合がある職場じゃないと無理ですよね。労働組合があっても、ありのままの事実をいう人を守ってくれる労働組合じゃないと無理ですよね。
 まかり間違っても、パワーハラスメントがある職場では絶対に無理です。だって、パワーハラスメントがあると、能力があると勘違いしている上司や経営者が、部下や労働者に向かって、「お前が残業なんかするから監督署に睨まれたじゃないか」「残業代泥棒の上に、光熱費の無駄遣いだ」なんて見当違いの罵声も付いてくる訳で、本当は残業のない適正な労働時間管理がされるはずの職場で、心の病という労働災害が発生し、残業時間が少ないから労災が業務外認定なんていう事態にだって発展してしまいそうです。

 ここ数日、心の病の相談が少し続いています。そんな時、その人たちの職場で病気になる前に労働組合があればよかったのに、といつも思います。病気になってしまいそうなうちに、組合に相談にいらしてもらえれば、病気になってからよりももっと沢山の改善に取り組むことができます。事実が言えない、能力の責任にさせられるなんてことがありましたら、病気になる前に、相談してくださいね。
posted by 朝倉れい子 at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年02月18日

長時間労働を無くすためには、まず賃上げが必要です。2017春闘ガンバロー

「労働組合というと、長時間労働反対でしょ」とよく言われます。それはどういう時に言われるのかというと「残業差別反対」を訴えた時、「労働時間削減反対」を訴えた時です。

 労働時間が過労死ライン、うつ病ラインに達してしまい、労働災害の取り組みをしているときにはそんなことは言われません。
働く時間が短くなると、給料が下がるので困ると訴えたときに限っています。

 その言葉をいう人達は、経営者であり、経営側弁護士なんです。経営者が組合差別や、嫌がらせを目的として、残業差別を行い、賃金切り下げをし、その抗議を組合がすると「労働組合は長時間労働反対なんだから、残業させないのはおかしいなんて労働組合にあるまじき行為だ」というわけです。次に、言われるのは、時間給で働く労働者が全体の労働時間削のときに、月の総労働時間減少に伴い月額収入が減少することに抗議したときです。「労働組合なんだから、労働時間削減をいう立場にあるんだから、反対するのはおかしい」と。
 つまり、これらは詭弁なんです。

 労働者は生活のために、働いてお金を稼がないといけないので、働いています。生活できる賃金が必要です。低賃金で、残業をしなければ生活に必要な賃金が得られないとき、ほんとうは8時間働いたら家に帰って眠りたいけれど、頑張って働きます。働かざるを得ない。そこを逆手にとって、低賃金しか払っていない経営者が、「残業させてやらないぞ」というのです。労働者に「長時間働かせてください」と言わせてしまうこと自体、なんというアイロニー。そもそもの長時間労働をせざるを得ない原因をつくっているのは、その経営者じゃないですか。まず、賃金をあげて、8時間労働で生活ができる賃金にして、残業しなくてもいい環境を作るのが経営者の仕事です。
 私は、ここ最近の政府の働き方会議の言うところの「長時間労働撲滅」を聞くと、いつも経営側から言われる「労働組合のくせに」という責任転嫁発言を思い出してしまっています。

 この1月末に、私たちの組合の白百合クリーニング分会の労働委員会係争事件で勝利命令が出ました。いくつか争点がありましたが、「降格配置転換されなければ得ていたであろう賃金と、降格配置転換後の賃金差額の支払い」命令がでたことで私たちはホッと胸をなでおろしました。この争点、詳しくいうと、ラビット21という店舗を経営している白百合クリーニングで、店舗が開いている時間は11時間です。そこでマネージャーの仕事をしていた分会長は、職務の性質から開店から閉店まで店舗の問題に対応していました。つまり、毎日11時間労働でした。その上、週1日の休日という決まりでしたので、1週間の残業時間は最低でも3時間が5日+11時間の26時間、4週間で100時間を超える長時間労働でした。ただ、マネージャーといえども、最低賃金に少し上乗せしただけの時間給でパート労働者として働いていた分会長は、当時母子家庭で、その賃金で子供を育ててきていました。計算していただくとわかると思いますが、2017年現在の東京都の最低賃金932円で1日8時間働くと、日給は7456円。週休2日で月21日働くと156576円。1日8時間、週40時間の労働基準法に定めた労働時間では、総支給で15万円強。ここから税金、社会保険を引くと手元に入るのは10万円強です。そこから家賃を払って、食費を出して、となると、子供の養育費まで捻出するのは至難の技です。1ヶ月は大体4.3週なので、週26時間働くと割増なしでプラス10万4千円。割増賃金で計算すると13万円がプラスになります。それでも、総支給約28万円と子供を育てるにはかつかつの低賃金ではありますが、総支給15万円よりはまだなんとかなります。今回、この月10万円強の差額の支払いが東京都労働委員会から命令され、ホッとしたのも束の間、会社はこの命令に従わないということなので、まだまだ兵糧攻めが続きそうです。
 しかし、この、長時間労働ではあるけれどもそれによって生活と子育てを支えていた賃金を組合を潰すため取り上げて、会社が「法定どおりの1日8時間週40時間にしただけです」と居直ったことが、不当労働行為であると認定されたことはとっても意味のあることです。

 私たち労働組合は、決して長時間労働が良いとは思っていません。子育て中の女性が定時以下の労働時間で生活と子育てができる賃金を得ることが、組合の目標です。
 時間短縮のために、最低賃金または最低賃金プラスαの時間給で働く労働者の労働時間を、時間給のUPなく削減することは順序が逆なんです。そんなことをすれば、労働者の生活が立ちいかなくなり、ダブルワーク、トリプルワークに追いやることになる現実があります。それは、1企業内での労働時間短縮が行われても、1個人労働者の労働時間+通勤時間は短縮されるどころか増加することを意味します。1企業内の労働時間短縮により、労働者の生活時間、自由時間が縮小し、過労が促進するわけです。
 そして、厚生労働省は「働き方の未来2035」でダブルワーク、トリプルワークによって複数企業で働くはめになることを、企業から自由になると表現し、あたかも「自由な働き方」のように描いています。「長時間労働をなくそう!」という反対出来ない美しい言葉の後ろに、低賃金労働者の悲惨な生活が隠されています。企業も国も、なんて、嘘つきなんでしょう。

私たちの組合の2017年春闘統一要求提出日は来週22日です。
中小民間の賃金はなかなか上がりません。時間給で働く労働者には、最低賃金UP以外に賃金が上がったことが無いという人がたくさんいます。
定時で安心して生活できる賃金を得ることができれば、過労状態になってまで働くことを望む労働者はいません。
低賃金で我慢して要求を出さ無いことと、長時間労働を強制されて声を上げれ無いことは、実は同じ根っこです。
黙っていたら、無権利状態になってしまいます。
低賃金と長時間労働に殺されないために、しっかりと声をあげましょう。
声をあげる労働者がいれば、労働組合は一緒に頑張ります。
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2017年01月21日

安心して働き、休むことができる職場に、労働組合で。

今年も始まってから20日も経ってしまいました。今年こそは、ブログをもってまめに書こうとおもっていたのですが、本当の月日の経つのは早いもので。
 昨年昨年9月に膝を痛めて騙し騙し動いていたところ、10月下旬に半月板が割れてしまい、その後手術、松葉杖生活と、十分に動ききれない日々が続いてしましました。昨年中は委員長を始め、組合員の皆さんに送迎協力などをしていただき、なんとか日々を乗り切ってきた結果、1月からは松葉杖から解放されるました。まだ動きすぎると足が腫れたり、できないことがたくさんあって、完治まではあと4ヶ月かかる予定ですが、とりあえずやっと両手がふさがらなくなり、車移動ができるようになりました。
 2ヶ月半の松葉杖生活でしたが、本当に不便でした。普段何気なくしていた動作も、できなかったり、できたとしてもすごく時間がかかったり。体を悪くするとあらためて、バリアフーの必要性と、、周りの人たちに気を使ってもらう事のありがたみを感じます。ドアを開けてもらうとか、ぶつからないように注意してもらうなど、気遣いというありがたみをとても感じました。私は治癒の過程でしたが、障害を持って働く事はどんなに大変なことなのでしょう。
 そして、雇用を継続しながら治療をするということの大切さです。終身制雇用制という定年までずっと同じ会社で働き続けることが、夢物語のような今の社会の中で、体を壊したら会社を辞めなければならないと思い込まされている人が増えてます。リハビリに通っていると、「フリーになってしまったから、いつでも時間が空いてます」なんて声が聞こえてきます。
 心身ともに丈夫な時でも、転職や失職はダメージの大きなものですが、心身にダメージを持った時には、雇用不安を乗り越えることは非常に困難です。ましてや、治療中はとてもお金のかかるもの。生活の安定があってこそ、体も治っていくことができます。心身にダメージを抱えた労働者が、雇用を安定させて治療できる環境作りは、労働組合が作り上げなければならないことです。
 今年の1月1日から育児休業制度、介護休業制度が改正され、制定時点よりもだいぶ使い勝手が良くなっている感じです。ただ、この制度改善の中でも、育児休業介護休業を取得して働き続けることができる環境にある労働者と、到底考えらえない環境にいる労働者との格差がひどく広がっているように感じます。
 短期雇用契約を繰り返し、権利主張をしたら次の雇用契約が打ち切られるのが目に見えている労働者、ひどいブラック企業で有給休暇申請しただけで「首」と言われる労働者、そういう人たちは子供や親の介護どころか、自分の体を壊しただけで雇用が破壊されてしまいます。せっかくの、介護保険育児休業の改定も、使える前に雇用が打ち切られてしまっては意味がありません。改定された法律や労働条件を、「自分には関係ない」と思わざるを得ない労働者は、とっても辛い気持ちに高齢者の定義が変更され、年金がもらえる年齢が高くなることが予測される中、体を壊しても治癒が完了するまで雇用不安なく体が治せる、そんな最低限の暮らしの保証から始めようと思う、今年の始まりです。
 安心して働き、休むことができる職場を作るために、労働組合に相談にいらしてください。
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2016年10月18日

権利の獲得のために、労働条件を確定させましょう。

今日の午前中、立川市にある西砂川病院で「事務当直」として働いていた元組合員のNさんの未払い残業代への指導を求めて、立川労働基準監督署に話をしに行きました。元組合員と記載したのは、現職死亡された方だからです。
 夕方17時に出勤して翌日朝9時に退社することが、病院から指示された労働時間でした。休憩時間は何時から何時なのかを尋ねても、病院側は具体的な指示をしませんでしたし、雇用契約書も無ければ、就業規則にも「事務当直」が当てはまる労働時間が明記されていません。1日の労働対価が1万円ということだけが決まっていました。Nさんもだいぶ変だと思っていたようです。

 それで昨年の組合結成の折に相談をされました。最初相談された時、「当直」というのですから、具体的にどのような労働があったのかが争いになります。そこで労働実態のメモを作ってもらうことにしました。
 
 毎日メモを書いてもらいますと、施錠・解錠から始まり、ガードマンのような見回りがあり、お亡くなりになった方に関する連絡があり、仮眠時間中も電話機を持つように言われていました。仮眠も仮眠室ではなく、応接間に毛布を敷いて使っていたようで、当直というよりも夜間勤務です。そのメモを、Nさんは亡くなる直前までつけていました。

 亡くなる直前までつけていたメモをそのままにするもの忍びなく、ご遺族のかたからも委任状をいただきましたので、病院に未払い割増賃金の請求を行いました。ところが病院の対応は「メモの筆跡がNさんのものではない」という言いがかりから始まり、9月末に来た回答は会社側社労士さんの計算した表が添付されているにもかかわらず「別途裁判所を利用した手続きを実施する予定」と記載されていました。会社側社労士さんの作成した表は、最低賃金で仮眠時間を4時間と設定し、1日12時間労働、1日4時間残業、深夜3時間で計算されていました。最低賃金での契約はしていないのですが、会社側社労士さんとしても、時間外未払いがあったこと、仮に1万円が16時間分の対価であった場合、12時時間分の対価であった場合には最低賃金以下であることを認めざるを得ないことからこのような苦肉の索の計算をしたのだろうと思われます。にもかかわらず、「裁判所で」とはおかしな回答です。労働者に「裁判所で」と言えば、怯むだろと、このような言い方をする弁護士さんが増えているのは本当に嘆かわしい限りです。

こういう時、雇用契約書が締結されていれば、労働条件が確定するのに、としみじみ思います。
問題なく働いていると思っても、雇用契約書が締結されていない、就業規則が周知されていないなどのことがあったら、問題が発生する前にまず、お近くの組合に相談してください。問題が起きた時、問題を提起する時、労働条件を確定しておくことが、何よりも大切です。
posted by 朝倉れい子 at 20:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2016年08月31日

木村建設、1年1ヶ月ぶりの自主交渉開催。

羽村市に本社のある木村建設で申し入れをしてから1年1ヶ月が経過したのちに、初めて、団体交渉が先週の土曜日に開催されました。開催場所は瑞穂町にある木村建設第2工場でした。会社内の団体交渉開催に、当該分会の人たちはそれはそれは喜んでいました。

この1年1ヶ月の間、組合切り崩し、脱退工作、解雇、労働審判とさまざまありました。昨年の8月に申告した労働基準法違反のうち、出庫から現場までの走行時間のタコメーターに記載された労働時間分の未払い残業代はこの6月にようやく払われました。でも、まだ待機時間の分の賃金が未払い割増賃金として未払いです。

さらに、解雇という事態が早く解決しないと、職場で働き続けるための労働条件向上に向けた要求という、労働組合を結成した基本の交渉が出来ません。

いろいろ未解決ですが、兎にも角にも、1年1ヶ月が経過したとはいえ、申し入れをしてから始めての団体交渉開催でした。
私たち組合としては、昨年7月30日に申し入れ要求に基づく団体交渉がやりたいと考えていましたが、会社側は「全面解決に向けて話し合いたい」と、労働委員会の席上で言いました。
団体交渉で和解案を出すのかな?とちょっと訝しがりながら出向きましたが・・・

団体交渉会場には、会社側代理人弁護士、社労士、社長、総務部、他に5〜6人、総勢10人以上が待機していました。和解に向けた雰囲気ではありません。

困ったなあ、とは思いましたが、社長の話を聞いてみることにしました。
どうも事務所に一回も来なかったり、組合の説明の話をちゃんと聞いていなかった脱退した組合員の人たちが、「前の配車係が退職したからあと2〜3ヶ月で会社が潰れる」と思い込んで組合に駆け込んできて、その思い込みが組合勧誘の文言であったというストーリーが会社の中に作られてるというそんな事でした。

いやいや、ちょっと待ってください!
労働組合は会社と交渉する前には、経営分析はしています。
土地建物登記簿謄本でしっかり抵当、根抵当金額と評価額とかも判断しています。
潰れるとわかっている会社で、会社に根を張る組合は作らないです。

経営分析もしないで、根も葉もない噂に踊らされるのは、組合員以外か、組合の会議に来ない組合員だけです。
木村建設の場合も、噂に踊らされたのは、組合の会議に来なかった人たちでした。

労働組合というと、いろんなイメージを会社も従業員も持っていますが、団体交渉もせず、接点もないと、本当に勝手な思い込みで、評価されてしまうのですね。ほんと、びっくりでした。

結局
午前10時半〜午後13時までの団体交渉予定でしたが、途中休憩を挟んで会社側からすべて「検討」「時期をみて回答」という回答で、12時過ぎには団体交渉は終了。でも結局、全体解決案は出ませんでしたし、昨年7月30日に要求した内容の交渉は一つも出来ませんでした。会社側の総務部所属の方が立ち上がって怒鳴ったり、録画いしたいようなパフォーマンスを見せてもらって帰ってきた感じです。

途中にも記載しまいたが、木村建設事件、あと2回ほどの期日で労働委員会審問が開催される見込みです。
労使紛争はまだまだ続きます。皆さんのご支援を宜しくお願い致します。

posted by 朝倉れい子 at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2016年07月09日

使い捨てはゴメンだ!そうだ、選挙に行こう。

明日、7月10日は参議院選挙です。参議院って、「衆議院よりも地味だし、なんかどうでもいい国会なんじゃない?」って思って選挙に行かなくてもいいや、と思っている人がいたら、今回は本当に大間違いです。というのは、今回の選挙の結果で、安倍自民党政権は憲法改悪を目論んでいるからです。

自民党憲法草案は読んだことがありますか?もしなければ、こちらのサイトhttp://www.news-pj.net/news/2013/0413-sugiura.htmlhttp://www.dan.co.jp/~dankogai/blog/constitution-jimin.htmlhttp://tcoj.blog.fc2.comを参考にしていただきたいと思います。

 自民党憲法草案の問題を簡単に指摘すると、現行憲法では国会議員の3分の2の賛成で国民投票が行われ、国民の過半数の賛成が必要となっています。しかし、自民党の改正草案では、過半数の国会議員の賛成で国民投票となり、国民投票の「有効投票」の過半数の賛成で成立してしまいます。現在の投票率の低下を受け、自民党の組織票がモノをいう法案です。そして、国民の権利についても「常に公益及び公の秩序に反してはならない」とされ、「自由及び幸福追求権」すらも「公益及び公の秩序に反しない限り」と制限される事になっています。私たちの人権は、自民党の秩序の前に踏みにじられるのです。そして、公の秩序とは、これまで日本国の象徴であった天皇を「元首」とする上下関係に基づく秩序です。9条の戦争放棄は削除されています。そして、今まで両性の平等が記載されて条文に、自民党案では「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として尊重される。家族は互いに助け合わなければならない」という条文が加えられ、個人の人格よりも家族が優先され、個人の生活にも踏み込んできています。「緊急事態」の自由の制限についても付け加えられ、97条の「この憲法が、日本国人に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永遠の権利として信託されたものである」という権利についての条文が丸々削除されているのです。そして最後に102条で「すべての国民は、この憲法を尊重しなければならない」という条文が付加されています。この条文は、憲法がそもそも権力を抑制するためにつくられたという歴史と相反するもので、自民党憲法法案が「憲法」という名前であっても憲法とは異なる代物であることを表しています。

つまり、今現在の日本国憲法の下で存在している生存権、幸福追求権、自由、基本的人権が存亡の危機なのです。これらの権利を基礎に、職場での権利の主張が成り立っているのですが、その根底の憲法に定めらた権利が自民党草案では失われてしまうのです。これは、戦前の労働組合が「大政翼賛会」に組み込まれたように、職場で、雇用の現場で労働者が権利主張をすることができなくなることなんです。
いくら職場で権利主張を頑張っても、憲法が改悪されてしまったら、非常に困難な闘いを私たちはおこなわなければならなくなります。権利というのは、労働基準法にさだめらた残業代支払いであり、有給休暇獲得の権利も含まれることです。

 私たちの自由と人権の危機、という意味で今回の選挙はものすごく大切です。

 新聞やマスコミは、今回の選挙の投票率は50%とか、自民公明おおさか維新の改憲勢力が過半数を占めるとか、投票行為への無力感を煽っています。でも、本当にそうなんでしょうか?今回の選挙で、初めて野党共闘が実現しました。護憲勢力という名の下に、力がまとまってきています。それだけでも、今までになくすごい事です。

 そしてもう一つ、私たち労働組合が拾い切れていない世代、ジェネレーションに、もうこういう働き方、格差、使い捨ては嫌だという声が広がり、新しい選挙運動が生まれている事も、今後の希望として考えたいと思います。

 今週の月曜日、三宅洋平候補の選挙フェスが立川https://www.youtube.com/watch?v=ErtSgf5s8wQで開催されたので見に行きました。それは、たまたま相談者からのキャンセルがあって時間が空いたためであり、you tubeで見た渋谷や新宿選挙フェスhttps://www.youtube.com/watch?v=Fx4E3mBbV6gの内容が興味深く(個人的な趣味で言えば、大好きな梅津和時さんがフェスでサックスを吹いていたからというのもあります)、そして何よりもとても沢山の人で選挙フェスが埋め尽くされていた事から、見てみたくなったからです。

 実は、私は20代の頃、当時の社会党の選挙の手伝いをだいぶしていました。土井たか子さんが消費税反対で、大躍進していたその前後です。ですので、選挙というものは、その筋のプロの人たちが仕切って演説を聴くものという感覚でした。労働組合運動も、そういう側面がありますよね。これは反省点です。

 ところが、三宅洋平候補の選挙フェスは、フジロックとかのフェスで見かけるような若い人たちがボランティアで会場整理をし、チラシを配布していました。周りも見回しても、明らかに今まで選挙とは無縁だったろう人たちばかりで、スーツの人がほとんどいません。そいう人たちが、数百人と集まっていました。無党派層と言われる人たち、選挙に今まで関わっていない人たちでも、心に通じる触媒があれば、選挙を一所懸命やるんだなあという事がとっても素晴らしい事だと思いました。どうせやっても無駄、と思っている人は、実は今の労働環境から抜け出す方法がわからないだけで、もっと多様なアプローチを労働組合もしてもいいのだろうという事です。
 推薦人の山本太郎議員が、労働者の使い捨ての元凶が経団連、安倍政権にあることをきちんと話し、三宅洋平候補は立川という場所柄を考えた結果の砂川闘争時の最高裁判例について勉強した内容を披露していました。失われた10年を生きて、労働市場の中ではおそらく新卒の時に正社員になりそびれてその後も正社員になれない人生を余儀なくされている30代〜40代の人たちがこれではいけないと、立ち上がってくれる契機になってほしいなあ、としみじみ思った次第です。

というわけで、私自身は、比例区は福島みずほ議員http://www.mizuhoto.org、東京選挙区では三宅洋平候補に入れようかな?と思っています。福島みずほ議員は労働組合運動に必要な人だからです。

誰が一番、自分の気持ちにぴったりくるのか、考え方が同じなのか、投票にあたってイメージではなくきちんと検証した上で、ぜひ、自分自身の自由と権利を守ってくれる人に投票をしてください。

そして、私は一人でも多くの護憲勢力である候補者が当選することを願って止みません。

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2016年06月28日

本日、青伸産業運輸事件都労委勝利命令出ました。支配介入のない、自主交渉で解決できる労使関係を目指しましょう!

本日、青伸産業運輸(平成26年不第37号事件)の救済命令が出されました。青伸産業運輸は、青梅市に本社がある運輸会社で、15年ほど前に私たちの組合の分会が結成されました。私たちの組合に加入して現在まで分会活動をしている人たちはトレーラー部門で働いています。大井埠頭や、本牧埠頭に運ばれるコンテナをトレーラーで運んでいます。

組合結成以来、労働委員会へのあっせんは2回、申し立ては5回目と成りますが、命令まで進んだのは今回が初めてです。命令よりも、労使が納得して捺印する和解を大切にしようという考え方で、今まではずっと和解解決してきたからです。でも、今回は、和解協定が守られていないため、命令をもらう事を選択しました。

和解で実を取るか、命令で「正しさへの確信」を確認するか、専従役員の私としては悩ましいところでしたが、「勝利命令が欲しい!」という当該の声に押され、命令交付を迎えました。

内容は、ちゃんと勝利命令でした。これまで4回にわたり、和解で済ませてきた「不当労働行為の疑い」が、「やっぱり不当労働行為だった」「組合が不当労働行為だと抗議していたのは正しかった」という自信につながりました。

少しだけ、内容を解説しますね。
今回、救済を請求した事案は
1、社長もしくは解決能力ある取締役がでない団体交渉は不誠実であり支配介入に該当する
2、エコ奨励手当金の団体交渉が不誠実であり、支配介入に該当する
3、一時金の支払いを約束した売上げ額に到達したのちには、一時金を支払うべき誠実な団体交渉をすべきだ
4、支配介入の事実があるのでポストノーティス命令をだしてもらたい
という4項目でした。
そして、今回、3項目目の一時金に関して以外がすべて救済命令が出されました。

<一時金交渉は誠実であったのかどうか。また、今後の交渉への影響>
最初に、救済命令が出されなかった一時金問題について労働委員会がどのように判断したのかを引用します。
「エコ奨励調整手当の支給などが労使間の喫緊の検討課題となったため団体交渉において競技が行われなかった。このように、25年夏季賞与及び同年冬季賞与にあたって、賞与支給の基準が主な交渉事項とならなかったのであるから、会社が賞与支給の基準を示さなかったことについて、会社に非があるとまでは言えず、団体交渉における会社の台頭をもって支配介入ということはできない」つまり、エコ奨励手当て金の交渉に労使共没頭していたんだからしょうがないだろ、と判断されています。でも、その後に、「なお、26年夏季以降の賞与に関する団体交渉については、会社の提供資料に誤りがあったり、賞与の支給基準に関する会社の提案の内容も2転3転しており、会社の対応に問題がないとは言えない面もある。しかし、これらは本件申し立て後の事情である」と労働委員会のは判断しています。ということは、申し立て後の審問にはいる直近にでも変更申し立てをしておけば、勝利命令につながった可能性があったということであり、また、26年以後の交渉というは今現在に続く交渉な訳だから、これも解決しなければ、労働委員会時効の27年以後の交渉の件で申し立てをすれば救済命令が出る可能性があるというわけです。
会社には、ここの部分をちゃんと読んで、誠実な一時金交渉をしてもらいたいものですね。

では、勝利命令が出された内容はどんなことが内容だったかを見ていきます。
<社長または解決能力のある取締役の団体交渉出席>
 ここではまず、社長の出席が団体交渉に必要である事実を労働委員会は「社長が団体交渉に参加する原則に関する協定が数度にわたり締結された理由は、会社において実質的な交渉権限を持つのは社長のみであるという共通認識があったと考えられる」と判断する一方で、「解決能力のある取締役が出席していたか否か」について検討しています。私たちもそう思います。社長さんしか交渉権限を持っていなければ、社長さんが団体交渉に出席してもらうしかありませんが、社長さんが信頼できる取締役に権限を委任していただければ問題は発生しないはずなんです。でも、今回の青伸産業運輸さんの場合は、会社の発言を引用し、「これらの発言は、社長が欠席する団体交渉では協議の進展は難しいとの認識を吐露したものと言わざるを得ず、この団体交渉は実質的な交渉権限を委ねられた、解決能力のある取締役が不在の不誠実なものであったことが認められる」「幹部会で協議しないと支払えない旨を回答するのみで、問題解決に向けた真摯な姿勢はみられず」「組合から質問されていた評価査定表についても回答しないばかりか、組合に、再度、質問事項を文書で示すように求めるなど、著しく不誠実な姿勢に終始している」と事実関係が認定され、「会社側のこのような団体交渉の姿勢は、本件申し立て以前から一貫して継続しているものであり、組合と再三にわたり締結した協定書を無視するものであって、組合の交渉能力の弱体化を図った支配介入にも該当する」と労働委員会が判断しました。
<エコ奨励手当金団体交渉の不誠実>
この二つは実は同じ時の団体交渉において、存在してます。ですので、上記を踏まえて、「組合が反発していた26年9月時点の改正案を終期後の27年1月に正式に提示したのであって、このような会社の対応は、協定書の趣旨を踏まえた誠実な交渉態度とは言い難い」「評価査定表に関する組合の疑問を解消させるような対応は行わず具体的な代案を示すこともないまま、以前、組合が疑問を呈した内容と同一の評価査定表を提案している。この会社の対応は、組合との間での妥結を目指し、誠実に交渉したものとは言い難い」「組合員に適用された制度(エコ奨励調整手当)と非組合員に適用された制度(ECO原価低減協力奨励金)のどちらの制度がより合理的かを問題として交渉を求めていたのであるから、組合員と非組合員とを分けた燃料費に関する資料は重要なものである。そして、この資料を作成することが会社にとって困難であるといった事情も特に窺われないのであるから、会社の主張は組合の開示要求を拒絶する合理的な理由とは言い難い」と認定され、「27年1月以降のエコ奨励調整手当に関する会社の対応は不誠実な団体交渉に該当する」と労働委員会は判断しました。
<エコ奨励手当金をめぐる交渉が支配介入であること>
「組合がその出席を求めたにもかかわらず、社長は27年1月以降のエコ奨励調整手当に係る団体交渉に一度も出席せず、協定違反を続けるなど、前件協定書を締結した後の一連の会社の交渉姿勢を併せて考慮すれば、27年1月以降のエコ奨励調整手当に関する会社の対応は支配介入にも該当する」と労働委員会は判断しました。

これらの結果、今日から1週間以内、つまり、7月4日までに、会社は55pバツ1️80pの白紙に、楷書で明確に墨書して会社の従業員の見やすい場所に、当組合委員長を宛名人として「第133回団体交渉及び第134回団体交渉に当社代表取締役社長が出席しなかったこと及び平成27年1月以降のエコ奨励調整手当金に関する当社の対応は、いずれも東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。今後、このような行為を繰り返さないように留意します」との文書を会社の社長名で10日間、掲示することを労働委員会は命じました。

さて、この命令の結果、会社が命令をしっかり守り、労使の交渉により解決を目指す誠実な交渉ができていくのでしょうか。労働委員会にお世話になるのがこれで最後になるように、団体交渉という労使の協力で解決できる会社にしましょうね。
posted by 朝倉れい子 at 16:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記